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2006年12月29日 (金)

オブジェとしての詩

「地球創造説」
 
 両極アル蝉ハアフロディテノ縮レ髪ノ上ニ音ヲ出ス
 男モ動物モ凡テ海ノヨウニ静カニナル
 アフロディテノ夏ノ変化ハ
 細菌学的デアル
(……)
 短刀ノ葡萄酒
 地球ノ冷タサハ襟飾ニ付着スル
 泥酔漢ハ崇高ナ鯛ノ色彩ヲシタ
 太陽ニ向ッテ再ビ微笑スル
 宇宙ハコノ時少シ動ク
 彼ノ知ラナイ彼ノ背ノ鯛
 処女航海ノ発作
(……)
 大魔術ハ空気ヲ要シナイ
 ジャスミンガドウシテモ姿ヲ見セヌ時
 アノ少女ハ簡単ニ想像シテ終ッタ
 金属ノジャスミンヲ
 終息セントスルアポロ神ノ呼吸ハ
 恐怖ト快活トガ混合シタ
 羊肉ノヨウナ薔薇ト同一デアル
 (……)
    / 瀧口修造 (1928年)

初期詩篇のアンソロジーに『瀧口修造の詩的実験1927~1937』というタイトルをつけるなど、言葉をオブジェとして捉えた美術的実験のアクチュアリティが見出されるだろう。
これらの詩編は美術家による透徹した眼差しであり、タブロウに変換されれば美術的なる空間が描かれている凹版のような表現である。

「妖精の距離」

 美しい歯は樹がくれに歌った
 形のいい耳は雲間にあった
 玉虫色の爪は水にまじった
 脱ぎ捨てた小石
 全てが足音のように
 そよ風さえ
 傾いた椅子のなかに失われた
 麦畑の中の扉の発狂
 空気のラビリンス
 そこには一枚のカードも無い
 そこには一つのコップも無い
 慾望の楽器のように
 ひとすじの奇妙な線で貫かれていた
 それは辛うじて小鳥の表情に似ていた
 それは死の浮標のように
 春の風に棲まるだろう
 それは辛うじて小鳥の均衡に似ていた
       / 瀧口修造 (1937年)

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  • 静岡新聞 2001年5月22日記事
    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
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