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2007年11月10日 (土)

老子道徳経 61章 から78章 まで

61章
大國者下流。天下之交、天下之牝。牝常以靜勝牡、以靜爲下。
故大國以下小國、則取小國。小國以下大國、則取大國。故或下以取、或下而取。大國不過欲兼畜人、小國不過欲入事人。夫兩者、各得其所欲、大者宜爲下。


大国は下流なり。天下の交(こう)、天下の牝(ひん)なり。牝は常に静を以て牡(ぼ)に勝つ。静を以て下ることを為すなり。
故に大国以て小国に下れば、則ち小国を取り、小国以て大国に下れば、則ち大国を取る。故に或いは下りて取り、或いは下りて而して取る。大国は兼ねて人を畜(やしな)わんと欲するに過ぎず、小国は入りて入りて人に事(つか)えんと欲するに過ぎず。夫(そ)れ両者、各々其の浴する所を得んとせば、大なる者宜しく下ることを為すべし。


62章
道者萬物之奥。善人之寳。不善人之所保。美言可以市尊、美行可以加人。人之不善、何棄之有。
故立天子、置三公。雖有拱璧以先駟馬、不如坐進此道。
古之所以貴此道者何。不曰求以得、有罪以免耶。故爲天下貴。


道なる者は万物の奥なり。善人の宝なり。不善人の保(やす)んずる所なり。美言は以て尊(そん)を市(か)うべく、美行は以て人に加うべし。人の不善なるも、何の棄(す)つることかこれ有らん。
故に天子を立て、三公を置くに、拱璧(こうへき)以て駟馬(しば)に先んずる有りと雖(いえ)ども、坐して此の道を進むに如(しか)ず。
古(いにえ)えの此の道を貴ぶ者は、何そ。求むれば以て得られ、罪有るも以て免れると曰(いわ)ずや。故に天下の貴きものと為る。


63章
爲無爲、事無事、味無味。
大小多少、報怨以徳。
圖難於其易、爲大於其細。天下難事、必作於易、天下大事、必作於細。是以聖人、終不爲大、故能成其大。
夫輕諾必寡信、多易必多難。是以聖人猶難之、故終無難矣。


無為を為し、無事を事(こと)とし、無味を味わう。
小を大とし少を多とし、怨みに報ゆるに徳を以てす。
難きを其の易きに図り、大を其の細に為す。天下の難事は必ず易きより起こり、天下の大事は必ず細より作こる。是(ここ)を以て聖人は、終(つい)に大を為さず、故に能く其の大を為す。
夫(そ)れ、軽諾(けいだく)は必ず信(しん)寡(すく)なく、多易は必ず難多し。是を以て聖人すら猶(な)おこれを難(かた)しとす。故に終(つい)に難きこと無し。


65章
古之善爲道者、非以明民、將以愚之。民之難治、以其智多。故以智治國、國之賊。不以智治國、國之福。知此兩者、亦稽式。常知稽式、是謂玄徳。玄徳深矣、遠矣。與物反矣、然後乃至大順。

古(いにしえ)の善(よ)く道を為す者は、以て民を明らかにするに非ず。将(まさ)に以てこれを愚かにせんとす。民の治め難きは、其の智の多きを以てなり。故に智を以て国を治むるは、国の賊。智を以て国を治めざるは国の福なり。此の両者を知るは、亦た稽式なり。常に稽式を知る、是れを玄徳と謂う。玄徳は深し、遠し。物と与(とも)に反(かえ)る。然る後乃(すなわ)ち大順(たいじゅん)に至る。


66章
江海所以能爲百谷王者、以其善下之、故能爲百谷王。是以欲上民、必以言下之、欲先民、必以身後之。
是以聖人、處上而民不重、處前而民不害。是以天下樂推而不厭。以其不爭、故天下莫能與之爭。


江海の能く百谷の王たる所以の者は、其の善くこれに下るを以て、故に能く百谷の王たり。是(ここ)を以て民に上(かみ)たらんと欲すれば、必ず言を以てこれに下り、民に先んぜんと欲すれば、必ず身を以てこれに後(おく)る。
是を以て聖人は、上(かみ)に処(お)るも而(しか)も民は重しとせず、前に処(お)るも民は害とせず。是を以て天下は推すことを楽しんで厭わず。其の争わざるを以って、故に天下能くこれと争う莫し。


67章
天下皆謂。我道大似不肖。夫唯大。故似不肖。若肖。久矣其細矣夫。我有三寶。持而保之。一曰。慈。二曰。儉。三曰。不敢爲天下先。慈故能勇。儉故能廣。不敢爲天下先。故能成器長。
今舎慈且勇。舎儉且廣。舎後且先。死矣。夫慈。以戰則勝。以守則固。天將救之。以慈衞之。


天下皆我れを大なるも不肖(ふしょう)に似たりと謂う。夫(そ)れ唯大なり。故に不肖に似たり。若し肖ならば、久しいかな其の細(さい)なるや。
我れに三宝有り、持してこれを保つ。一に曰く慈(じ)、二に曰く倹(けん)、三に曰く敢えて天下の先と為らず。慈なるが故に能(よ)く勇、倹なるが故に能く広く、敢えて天下の先と為らざるが故に能く器の長を成す。今、慈を舎(す)てて且(まさ)に勇ならんとし、倹を舎てて且に広からんとし、後なるを捨てて且に先ならんとすれば、死せん。
夫れ慈は、以って戦えば則ち勝ち、以って守れば則ち固し、天将(まさ)にこれを救わんとし、慈を以てこれを衛(まも)る。


71章
知不知上。不知知病。夫唯病病、是以不病。聖人不病、以其病病、是以不病。


知りて知らずとするは上なり、知らずして知るとするは病(へい)なり。夫れ唯だ病を病とす、是を以って病あらず。聖人は病あらず。其の病を病とするを以って、是を以って病あらず。


76章
人之生也柔弱、其死也堅強。萬物草木之生也柔脆、其死也枯槁。故堅強者死之徒、柔弱者生之徒。
是以兵強則不勝、木強則折。強大処下。柔弱処上。


人の生まるるや柔弱、其の死するや堅強なり。万物草木の生まるるや柔脆(じゅうぜい)、其の死するや枯槁(ここう)なり。故に堅強なるものは死の徒(と)にして、柔弱なる者は生の徒なり。是(ここ)を以て兵は強ければ則ち勝たず、木は強ければ則ち折る。強大なるものは下(しも)に居り、柔弱なるものは上に処る。


78章
天下莫柔弱於水。而攻堅強者、莫之能勝。以其無以易之。
弱之勝強、柔之勝剛、天下莫不知、莫能行。是以聖人云、受國之垢、是謂社稷主、受國不祥、是謂天下王。正言若反。


天下の水より柔弱なるは莫(な)し、而(し)かも堅強を攻むる者、これに能(よ)く勝る莫し。其の以てこれを易(か)うるもの無きを以てなり。
弱の強に勝ち、柔の剛に勝つは、天下知らざる莫くも、能く行なう莫し。是を以て聖人は云う、国の垢を受く、是を社稷の主と謂い、国の不祥を受く、是を天下の王と謂う、と正言(せいげん)は反するが若(ごと)し。

<参考文献>
諸橋轍次『老子の講義』大修館書店
福永光司『老子』朝日新聞社(中国古典選)
小川環樹『老子』中央公論社
金谷治『老子』平凡社(中国古典文学大系4)

道教と仙学
http://www2s.biglobe.ne.jp/~xianxue/DandX/DandX.htm

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