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2007年11月10日 (土)

「老子」(道徳経)

老子は周の王室の書庫の記録官だったが、後年周の衰えを見て立ち去った。このとき老子が通過した関所で、関守の尹喜の頼みを受けて書き残したのが『老子』上下巻5000余字であるという。上下巻の最初の一字「道」と「徳」を取って『道徳経』または『老子道徳経』とも呼ばれる。

● ● ● ● ● ● ● ● ●  
1章
道可道非常道。名可名非常名。
無名天地之始。有名萬物之母。
故常無欲以觀其妙。常有欲以觀其徼。
此兩者。同出而異名。同謂之玄。玄之又玄。
衆妙之門。


道の道とすべきは常の道に非ず。名の名とすべくは常の名に非ず。
名無きは天地の始め、名有るは万有の母。
故に常無を以ってその妙を見んと欲し、常有を以ってその徼(きょう)を観んと欲す。此の両者は、同じきに出でて而も名を異にす。
同じきこれを玄と謂い、玄のまた玄は衆妙の門なり。

2章
天下皆知美之爲美。斯惡已。皆知善之爲善。斯不善已。
故有無相生。難易相成。長短相較。高下相傾。音聲相和。前後相隨。
是以聖人。處無爲之事。行不言之教。
萬物作焉而不辭。生而不有。爲而不恃。功成而不居。
夫唯不居。是以不去。


天下みな美の美たるを知るも、斯れ悪のみ。みな善の善を知るも、斯れ不善のみ。
故(まこと)に有と無と相い生じ、難と易と相成り、長と短と相い形(あら)われ、高と下と相い傾き、音と声と相和し、前と後と相い随う。
是を以って聖人は、無為の事に処り、不言の教えを行なう。
万物焉(ここ)に作(おこ)るも、而も辞(ことば)せず、為すも而も恃まず。功成る而も居らず。夫れ唯だ居らず、是を以って去らず。

3章
不尚賢、使民不爭。不貴難得之貨、使民不爲盜。不見可欲、使心不亂。
是以聖人之治、虚其心、實其腹、弱其志、強其骨。常使民無知無欲、使夫知者不敢爲也。
爲無爲、則無不治。


賢を尚(たっと)ばざれば、民をして争わざしむ。得難きの貨を貴ばざれば、民をして盗みを為さざしむ。欲すべきを見(しめ)さざれば、民の心をして乱れざらしむ。
是(ここ)を以って聖人の治は、其の心を虚しくして、其の腹を実(み)たし、其の志(のぞみ)を弱くして、其の骨を強くす。常に民をして無知無欲ならしめ、夫(そ)の知者をして敢えて為さざらしむ。
無為を為せば、則ち治まらざる無し。

4章
道冲、而用之或不盈。淵兮似萬物之宗。
挫其鋭、解其紛、和其光、同其塵。
湛兮似或存。
吾不知誰之子、象帝之先。


道は冲(むな)しきも、これを用うれば或(ま)た盈(み)たず。淵として万物の宗(そう)たるに似たり。その鋭を挫き、その粉を解き、その光を和し、その塵に同じくす。
湛(たん)として存する或(あ)るに似たり。
吾れ、誰の子なるかを知らず、帝の先に象(に)たり。

5章
天地不仁、以萬物爲芻狗。聖人不仁、以百姓爲芻狗。
天地之間、其猶■籥乎。虚而不屈、動而愈出。
多言數窮、不如守中。


天地は不仁、万物を以って芻狗(すうく)と為す。聖人は不仁、百姓をもって芻狗となす。
天と地の間は、其れ猶(な)お、■籥’(たくやく)のごときか。虚しくして屈(つ)きず。動きて愈々(いよいよ)出(い)ず。多言はしばしば窮す。中(ちゅう)を守るに如(し)かず。

6章
谷神不死、是謂玄牝。
玄牝之門、是謂天地根。綿綿若存、用之不勤。


谷神(こくしん)は死せず、是を玄牝と謂う。
玄牝の門、是を天地の根と謂う。
緜緜として存するがごとく、これを用いて尽きず。


7章
天長地久。天地所以能長且久者、以其不自生、故能長生。
是以聖人、後其身而身先、外其身而身存。非以其無私耶、故能成其私。


天は長く地が久し、天地の能(よ)く長く且(か)つ久しき所以の者は、其の自ら生ぜざるを以て、故に能く長生す。
是(ここ)を以て聖人は、其の身を後にして而も身は先んじ、其の身を外にして而も身は存す。其の無私なるを以てに非ずや、故に能くその私を成す。


8章
上善若水。水善利萬物、而不争。處衆人之所悪。故幾於道。
居善地、心善淵、與善仁、言善信、正善治、事善能、動善時。
夫唯不争、故無尤。


上善(じょうぜん)は水の若(ごと)し。水は善(よ)く万物を利して而(しか)も争わず。衆人の悪(にく)む所に処(お)る。故に道に幾(ちか)し。
居(きょ)には地を善しとし、心には淵(えん)なるを善しとし、与(まじわり)には仁を善しとし、言には信を善しとし、正には治を善しとし、事には能を善しとし、動には時を善しとす。
夫(そ)れ唯だ争わず、故に尤(とが)め無し。


10章
載營魄抱一、能無離乎。專氣致柔、能嬰兒乎。滌除玄覽、能無疵乎。愛民治国、能無爲乎。天門開闔、能爲雌乎。明白四達、能無知乎。
生之畜之、生而不有、爲而不恃、長而不宰。是謂玄徳。


営魄を安んじ、一を抱きて、能(よ)く離れること無からんか。気を専(もっぱ)らにし柔を致して、能く嬰児ならんか。玄覧(げんらん)を滌除(できじょ)して、能(よ)く
疵(し)無からんか。民を愛し国を治めて、能く以って為すこと無からんか。天門開闔(かいこう)して、能く雌(し)たらんか。明白四達して、能く以って知ること無からんか。
これを生じこれを蓄(やしな)い、生ずるも而も有とせず、為すも而も恃まず、長たるも而も宰(さい)たらず。是を玄徳と謂う。

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