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2008年1月 4日 (金)

十分に進歩した科学技術は魔法と区別が付かない

 まだユダヤの神々のシステムもオリンポスの神々のシステムも日本の神話体系すら登場していない世界に、中央アジアでは対立分化が徹底して進んでいた。古代だからといって穿っては観れない、神学と数学の高度な発展ぶりが伺える。現代人には理解できないほどの密度の高い示唆があったにも関わらず、のちにこれを歴史の廃物として仕舞わないと厄介となる勢力が台頭してくる。それほどピンスポットとされていたようだ。現在の物理的な価値観で例えるなら、呼吸をするテンポで核爆弾や放射物が空中を飛び交うような世界といっても過言ではない。残されたどちらの教典にも核兵器を使った戦争を想像させる記述があることは多く知られている。重要な書物は焚書として焼かれてしまい、具体性は喪失させられているから実証は意味はない。実際にはもっと恐ろしい呪術系の分子核分裂をさせるような魔術兵器かも知れないし、スペクタクルなる呪いとは無縁ではないように想像する非常事態のピークに来ていたことは伺える。いずれにせよ、霊長類としての超克が望まれた時でも在ったようだ。
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 ここにザラスシュトラすなわちゾロアスターが出現した。
 インドの祭司たちが『リグ・ヴェーダ』を編集していったように、ゾロアスターは『ガーサー』を編集する。その後『アヴェスタ』に組み入れられ、このなかでゾロアスターは自身のことをザオタルと呼んだ。古代ギリシアの哲学者たちもゾロアスターが、超克する教えを創唱したということは知っていた。キケロはピタゴラスがゾロアスターのところに教えを乞いに行ったと書き、プリニウスも「ゾロアスターは笑いながら生まれた」「ゾロアスターは20年にわたって砂漠に住み、いつまでも腐らないチーズを食べて修行した」といったことを記した。
 拝火教を国教としたササン朝ペルシアやアケメネス朝があっけなく滅びていったのに対して、ゾロアスターは永劫回帰した。その教えこそはヨーロッパが最初に知った、当時、世界文化と繁栄した産業の中心地であったアジアの魂だったからか、この後に発生した宗教とは比較ができないほどだ。実に幾星霜のタイムスケールを持つ桁外れの歳月と、人々へ及ぼした影響は多大であると想われる。
 ササン朝ペルシアには、様々な文化がこの極東の島国にまで辿り着いている。
 飛鳥にある拝火教の装置としての石物たちを、初めて観た時には時空を超えてしまうほどの果てしない想いが全身へよぎった。月を見る者が、けっして触れる事の出来ない「モノリス」を最初に目前にしたかのように。 

Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.
(十分に進歩した科学技術は魔法と区別が付かない)とは、SF「2001年宇宙の旅」の作者アーサー.C.クラークの言葉である。
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「ツァラトゥストラかく語りき」 (Also sprach Zarathustra)
 
精神も徳も、百千のあやまちを犯し、百千の飛び失せ方をした。
われわれの肉体の中にも、今なお、これらの迷妄のすべてが住んでいる。
人間は一つの試みだった。
多くの無知とあやまちが、われわれの肉体となった。
肉体は知を持って試みながら、みずからを高める。
まだ踏まれたことのない幾千の小径がある。幾千の健康なありかたと幾千の隠れた生命の島がある。
耳を澄ましていれば、ひそやかな羽ばたきの音とともに未来からの風がやってくる。
そして鋭敏な耳には、よい便りが聞き取れるのだ。
大いなる正午とは、人間が、獣と超人との間に架け渡された軌道の中央に立ち、
これから夕べへ向うおのが道を、おのが最高の希望として祝う時である。
その道が最高の希望になりうるのは、新しい朝に向う道だからである。
その時、没落して行く者は、おのれが彼方へ渡って行く過渡の者であることを自覚して、おのれを祝福するだろう。そして彼の認識の太陽は、彼の真上に正午の太陽としてかかることだろう。

「すべての神々は死んだ。今やわれわれは超人が栄えることを欲する」
わたしの怒りがかつて諸々の墓をあばき、境界の石を動かし、
古い表を砕いて千尋の谷底に投げうったとするなら、
わたしの嘲りがかつて、カビの生えた言葉を吹き散らし、十字蜘蛛には箒(ほうき)として、
古いじめじめとした墓穴には爽涼の風として襲いかかったとするなら、
古い神々の葬られているほとりに心楽しくすわり、
古い世界誹謗者たちの記念碑の傍らで、世界を祝福し、世界を愛してしばしの時を過したとするなら、
おお、それならどうしてわたしは永遠を求める激しい欲情に燃えずにいられよう。
指輪のなかの指輪である婚姻の指輪---あの回帰の円環を求める、おお、永遠よ。
わたしがかつてわたしの頭上に静かな天空を張りめぐらし、
自分自身の翼をふるって自分自身の天空に飛び入ったとするなら、戯れながら深い光の遠方の中を泳ぎ、自由に鳥の知恵が訪れて来たとするなら、
(つまり鳥の知恵はこう語るのだ
「見よ、上もなく、下もない。
 おまえを投げよ、周りへ彼方へ後方へ。
 軽快なおまえは、歌え、もはや語るな。
 ---言葉は飛べないものたちの為に作られたものではないか。
 軽やかな者にとっては、言葉はすべて虚言者なのではないか。
 歌え、もはや語るな」と)
おお、それならどうしてわたしは永遠を求める激しい欲情に燃えずにいられよう。
すべての悦びは、深い永遠を欲する !

ツァラトゥストラ【Zarathustra】
ゾロアスター教の開祖ゾロアスターのドイツ語名。
紀元前628年 - 紀元前551年、 それまでの多神教を改革し、倫理的色彩の強いゾロアスター教を開いた。
7世紀にイスラム教に取ってかわられるまでイランの国教であった。
ザラスシュトラは、日本では英語名ゾロアスター (Zoroastor)で知られる。 これはギリシャ語名ゾーロアストレース に由来する。ギリシャの歴史家の著述の中には、紀元前6000年以上遡る、 バビロンでピタゴラスに秘教を伝授したなどの説もある。ペルシャからインドに移住したゾロアスター教徒(パーシー)の間では、ザラスシュトラは『個人の名称であるという説』と、個人の名前ではなく『代々引き継がれていた称号だという説』がある。

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『2001年宇宙の旅』の進化考察

2001: A Space Odyssey    監督 製作  スタンリー・キューブリック
                    脚本 アーサー・C・クラーク  スタンリー・キューブリック
配給 MGM 1968年  上映時間 139 分

http://koinu2005.seesaa.net/article/45052712.html

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