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2008年9月23日 (火)

、「アキレスと亀」は死の想念が偏執にいたった傑作

呪われた傑作「アキレスと亀」
 ベネチア映画祭が終わり、北野武、宮崎駿、押井守と、世界に通用する才能を揃(そろ)えた日本勢は無冠に終わったが、北野武はベネチアですでに、金獅子賞(グランプリ)と銀獅子賞を獲得し、自作の題名を冠した「監督・ばんざい!」賞の初代受賞者にもなっているから、今回の参加は受賞をほとんど度外視した名誉出品と考えてもよいだろう。

 それにしても、今回の出品作「アキレスと亀」は途方もない映画である。美術好きの父親に真知寿(マチス)と名づけられた男の絵画三昧(ざんまい)の一生を描いた作品で、少年、青年、初老の真知寿を異なった役者で描き、初老の真知寿はビートたけし自身が演じている。

 宣材の文章によれば、「売れない画家」と「まっとうに励ます妻」が「人生にとって本当に大切なものを見つけた夫婦愛の物語」ということになるが、これは宣伝戦略にすぎない。

 かつて私は「DOLLS」の評で北野映画の「死の想念」の異様な突出ぶりを指摘し、これは日本文化の、三島由紀夫などにも通じる、深い不吉な底流とつながるものだと考えたが、「アキレスと亀」はそうした死の想念が偏執にまで至った、異端の、呪(のろ)われた傑作なのだ。

 真知寿が絵を描くたび、周囲の人々はほとんど無意味に死んでいく。父母も、友人たちも、娘さえも。まるで、芸術に生きることは、生きながら死の世界に入っていくことであるかのように。最後は一見、ハッピーエンドのように演出されているが、私には、主人公が死ぬ瞬間に見た一場の幻としか思えない。つくづく北野武とは端倪(たんげい)すべからざる異能の天才である。(学習院大学教授 中条省平)http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080923/acd0809230817003-n1.htm

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