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2008年10月 9日 (木)

ノーベル文学賞作家ル・クレジオ「アマミ、黒い声、裏からの声」

  39年ぶりに来日したル・クレジオの特集した昂(2oo6年5月号)「ル・クレジオ『大陸』の終焉」。ル・クレジオは、60年代以降のフランス文学を代表する作家で、その年3月には、自らの原点を語った回想録『アフリカのひと 父の肖像』を集英社より刊行された。

ル・クレジオ特別寄稿「アマミ、黒い声、裏からの声」は、来日の際に訪れた奄美群島の日常や聖なる木々、岩山、そして闇の深い陰影の気配などに感応して描いた作品。彼はそこに、「本土」の破壊的な力に抗してみずから均衡を保つのに必要な力を、大地から木々から汲み上げる「ひとつの世界」を見出す。
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死の霊が島々の上を漂い、超越的な光で浸す。
それは始まりの思考、いまだに誕生の閃光が滲んだ生きて震える思考だ。
それは千の蝶の羽のように漂う。幾千の浦に、渓谷に、塚に宿る。

木々の霊は泉に似て、大地より空へとほとばしる。
それは人間たちの思考に先立つ。
それは時に家族の小さな守護霊の気まぐれで、ぐずぐずしている人達の髪をひく住処になっている。

魔女めいた夜の霊ではなく、太陽と命の霊だ。
たわわに実った田圃のうえを通り過ぎる、風の波の霊、果物の霊だ。

東京、横浜、調布、死が訪れることなどないと信じ込むことができた街。
しかし死はそこにも忍び足で入ってくる、病室という病室へ、そして養老院という養老院へ。

わたしたちはみな、樹の力を感じている。
わたしたちはみな、ノロの霊の力を感じている。
それは自然なことであって、超自然などではない。
大地の結び目を、幾多の泉を、心を信じている。

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本日ノーベル文学賞を受けた作家ル・クレジオのテキストなど
初期のル・クレジオ「大洪水」「物質的恍惚」「巨人たち」について考察ページ
http://koinu2005.seesaa.net/archives/200508.html

円熟を迎えた作家の原点と、照らし合わせて読み比べるのも一興であるだろう。特に詩人の吉増剛造との言葉と魂について、向きあい方と表し方、遍歴の共通することが多くあるように思う。

吉増剛造『黄金詩編』抜粋
http://koinu2005.seesaa.net/article/6630506.html 

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