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2010年2月 2日 (火)

魔術(まじゅつ)magic: magie: magie

人間の意志を宇宙の事象に適用することによって何らかの変化を生じさせることを意図して行われる行為、その手段、そのための技術と知識の体系、およびそれをめぐる文化である。ただし一般通念としての魔術は科学技術と異なり、少なくとも見かけ上は超常的、超自然的なものとされる傾向がある。また、魔術によって引き起こすことができると想像される事象は、超自然的なもの、外面的・物理的なもの、内面的・精神的なものなど、文脈によりさまざまなケースがある。
1から長じて、ケルト神話などの神話や、ファンタジーなどの物語で描写される不思議な術、技。

呪術、妖術、邪術、託宣、奇跡、仙術などの総称。
奇術、手品のこと。
日本に魔術という概念が入ってきたのは明治の頃、英: magic、仏: magie、独: magie などの訳として入ってきた。英語のマジックは奇術の意味も持つ。

魔術は白魔術と黒魔術という二つに大分類されているが、この分類は便宜的なものであり、統一見解とはいえない。

一方、魔術に似た概念として文化人類学などで呪術が定義されている。この呪術は未開文化の調査より見出され、定義された概念である。こうした未開文化由来の背景を持つゆえに、呪術は魔術よりも広範で原始的であると共に、洗練されておらず、いわば土着的なイメージを伴う。そこで、文化圏を問わない魔術的だと思われる内容は「呪術的」と荒くひとくくりにされることが一般的である。というのも、呪術は改定の余地を残しつつも学問的に定義されているが、魔術はほとんど注目されず、触れられず、また定義されていない。加えて、魔術の実践者と自称する人々がごく個人的な考えで、他の事例・用法との詳細な比較検討及び摺り合わせがない実践上の定義を行っているので、互いに整合しない内容が乱立している。学問的な知識集積方法の欠如と、一般用法の混乱という二つの要因により、魔術を語るときにその意味を確定できるような信頼できる情報源はない。この複雑な状況を睥睨できる目端の効く人々は、魔術という語を説明できないために自ら用いることを避ける。誰かが断定的に魔術を述べるとき、多くの場合は誤解に基づいた不完全な理解が行われている。

日本では古くから神道と共に陰陽という概念が取り入れられ、風水や祈祷によって現状の改変を計るという呪術は存在しており、祈祷師や霊媒師などを生業とする専門家も存在するが、「魔術」という語が使用される場合は、特に西洋の古典魔術や儀式魔術などを指すことが一般的であり、風水などを指して呼称することは稀である。

アカデミックな場面で魔術らしきものを扱う場合は、既存の定義からの曲解や誤解を避けるため、より把握しやすい「信仰」、「神秘」、「慣習」などといった魔術以外の概念と絡めるほか、既に誰かが使用した内容に準拠している。その他に、不思議な技術、未知の現象、非日常的な内容が魔術として扱われる場合があるものの、それらは明確に「魔術」として分類されている訳ではなく、多くの場合が「喩え」としてのそれである。

尚、どんなに例が多くとも、現状としては統一見解としての魔術の語義すらも明言できないことに留意する必要がある。

西洋の言語には魔術・呪術・妖術と翻訳される語彙がいくつかある。

古代ギリシアの魔術を示す語にはマゲイア(μαγεια、magia)、ゴエーテイア(γοητεια、goetia)、パルマケイア(φαρμακεια、veneficium)が挙げられる。マゲイアはペルシアのゾロアスター教の司祭階級の呼称とされるマゴスより派生した。ヘロドトスによればマゴイ(マゴスの複数形)はメディア王国の一支族名であるが、後に神託や占星術を司る知者と見なされるようになり、彼らの評判からマゲイアという言葉が生じた。マゲイアおよびそのラテン語形マギアは賢者たるマギの神学という本来の意味でも使われたが、まじないや魔法といった意味でも用いられた。ゴエーテイアは古代ギリシアの呪術師が霊の口寄せをする際のうなり声から生じた言葉とも言われ、時には詐欺的または侮蔑的な意味合いを込めて使われた。パルマケイアは薬であり毒薬でもあるという両義性をもつパルマコンより派生した。悪行を意味するラテン語: maleficium(マレフィキウム)は犯罪的な加害魔術を指す言葉として用いられた。イアンブリコスやプロクロスといったネオプラトニストらは、テウルギア(神働術)と呼ばれる、ダイモーン(神霊)に働きかける哲学的魔術に言及もしくは実践した。テウルギアは神の業もしくは神を働かせる術の意であり、一説には『カルデア神託』の集成者とされる2世紀のカルデア人ユリアノスの造語とも言われる[1]。ゴエーテイアは下等な魔術、テウルギアは高等な魔術、マゲイアは普通の魔術に分類された[2]。

英語の magic という語彙は中英語の magik として14世紀に登場した。これは、マゴスより派生した形容詞マギコス(μαγικο?)がラテン語形 magicus を経て古フランス語: magique となり、中世イングランドの言語に取り入れられて名詞化したものである。

歴史
魔術の歴史は、人類の歴史が始まるとほぼ同時に始まっている。世界各地の部族社会において、シャーマンや呪術師と呼ばれるような者たちが治療、祈祷、雨乞いの儀式などを行い、占術や呪術を用いて人々の悩みを解決していた。先史時代にも行われていたと想像されるこの呪術的営為が魔術の起源であるといえる。旧石器時代の洞窟遺跡には、呪術師であると解釈できる人物像もみられる[3]。

西洋魔術は中東、メディナを起源とするとされる[要出典]が、歴史的にはもっと遡ることができる。古代になると、魔術は体系を持つようになる。古代ギリシアや古代エジプトの神殿巫女たちは、気象や薬草など様々な知識を体系的に学んだとされる。ローマ時代に、キリスト教は国教となりアニミズム的な考えなどを邪教として、排除する方向に進んだ。神殿巫女たちは戦乱に巻き込まれたり、奴隷として売られたりした。また、中世後期の異端審問や近世に盛んになった魔女狩りで裁判にかけられ火刑にされた人々の中には、薬草知識のある者、古い神を信仰する者、占いをする者などが含まれていたとする説もある。そうした人々はキリスト教以前の古い多神教が形を変えて生き残った呪術的儀礼を実践する人々であったとも考えられる[4]。

もともと古代より存在した魔術は、メディチ家が活躍していたルネサンス期の欧州に流入した時、当時のキリスト教会を揺さぶることとなった。そして、キリスト教会から「異教徒の教え」として異端視され「魔術」というレッテルを貼られ、地下水のごとく潜伏することになってしまった[要出典]。

近代西洋儀式魔術
現代の英米を中心に行われている儀式魔術は、黄金の夜明け団とその後継団体による19世紀末から20世紀前半にかけての儀式魔術復興運動を主要な起源とする。アレイスター・クロウリーは「魔術とは意志に応じて変化を生ぜしめる学にして術である」(Magick is the Science and Art of causing Change to occur in conformity with Will)と定義した[5]。クロウリーは自分の提唱する魔術を旧来の魔術の洗練されていない部分から区別するために[6] Magick という英語の古い綴り[7]を用い、自分の魔術体系の独自性を強調した[8]。以降、この Magick という言葉はアレイスター・クロウリーの影響下にある魔術の流儀を示す用語として使われ、その意味において日本ではマギックと表記されることもある。が、近年の北米などでは、単に現代オカルティズムとしての魔術全般を奇術(ステージマジック)から区別するために magick と表記することも多い。

系統について少し専門的な区別すると、黄金の夜明け団が解散後の団体でのカバラ系儀式魔術、混沌魔術(ケイオス)、セレマなどと分類される。また、これと関連する分野としてウイッカ、ウイッチクラフトなども魔術的な側面をもっている。またブードゥー教などの密儀宗教と結び付けての研究・実践なども行われている。具体的な修行法には、逆向き瞑想、四拍呼吸、アストラル投射などがある。多くの修行法には視覚化(ビジュアライゼーション)の能力が基本として要求される。

奇術と魔術
魔術は不思議なものとして認知されている。奇術を行う際には、行われるものがタネも仕掛けもある奇術であるというよりも、不思議な魔術であると喧伝された。大仰な身振りと魔術という触れ込みで奇跡めいた見世物を披露されることが多くなり、世間で奇術が「魔術」と呼ばれることが定着した。

近代になり、一般的にオカルティックな奇跡の技という魔術の意味が縁遠くなったことも、魔術と奇術の混同の一因と見られる。奇術師が魔法使いと呼ばれるよりも、魔術師と呼ばれることが多いのはこのためである。

類義語など
魔法 奇術 呪術 妖術 邪術 託宣 奇跡 仙術 魔法使い 陰陽道 錬金術 占星術 数秘術 タロット  秘密結社 薔薇十字団 黄金の夜明け団

人名
プラトン  プロティノス  デッラ・ポルタ  ピコ・デラ・ミランドラ  フィチーノ  アレイスター・クロウリー  その他

新プラトン主義 ヘルメス文書 生命の樹

魔術についての書籍
日本においても近代魔術に関する書籍が発行されている。特に国書刊行会からは近代魔術に関する関連書籍が出版されている。

黄金の夜明け魔法体系 全6巻
現代魔術体系 全7巻
世界魔法大全 全5巻 

関連図書
エリファス・レヴィ 『高等魔術の教理と祭儀 祭儀篇』
エリファス・レヴィ 『高等魔術の教理と祭儀 教理篇』
エリファス・レヴィ 『魔術の歴史 - 附・その方法と儀式と秘奥の明快にして簡潔な説明』人文書院
H. P. ブラヴァツキー 『シークレット・ドクトリン』 竜王文庫
H. P. ブラヴァツキー 『沈黙の声』 竜王文庫
ハワード・マーフェット 『H・P・ブラヴァツキー夫人―近代オカルティズムの母』 田中恵美子訳
H. P. ブラヴァツキー 『実践的オカルティズム』 竜王文庫
郷尚文 『覚醒の舞踏―グルジェフ・ムーヴメンツ 創造と進化の図絵』 市民出版社

脚注
1 Flowers, Stephen Edred. Hermetic Magic, Samuel Weiser, 1995.
2 ローレンス・E・サリヴァン編 『エリアーデ・オカルト事典』 鶴岡賀雄・島田浩巳・奥山倫明訳、法蔵館、2002年(平成14年)。
3 ミルチア・エリアーデ 『世界宗教史1』5 洞窟壁画--イメージか、シンボルか?
4 ミルチア・エリアーデ 『世界宗教史6』306 「魔女狩り」と民衆宗教の消長
5 Crowley, Aleister. Book 4, Part 3, Definition and Theorems of Magick .
6 アレイスター・クロウリー 『神秘主義と魔術』 島弘之訳、国書刊行会、1986年(昭和61年)、フランシス・キング 「日本語版著作集への序」。
7 たとえば、シェイクスピアの戯曲の現行版は綴りがモダナイズされているが、17世紀に出版されたファースト・フォリオには magick という綴りがみられる。
8 フランシス・キング 『アレイスター・クロウリーの魔術世界』 山岸映自訳、国書刊行会、1987年(昭和62年)。

(Wikipedia)

西洋オカルティズム 魔術 http://www5e.biglobe.ne.jp/~occultyo/seiyou1.htm
ヴィーナスプロジェクト ヴードゥー魔術 http://www.voodoo.co.jp/
イスラムと魔術 http://www5e.biglobe.ne.jp/~occultyo/isuramu/isuramumajutu.htm
http://www.jccme.or.jp/japanese/11/pdf/11-05/11-05-09.pdf -

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