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2010年3月20日 (土)

牧野 信一(まきの しんいち1896年11月12日 - 1936年3月24日)

神奈川県足柄下郡小田原町で、旧小田原藩士の家に生まれ育つ。神奈川県立第二中学校から早稲田大学高等予科を経て、1919年、早稲田大学英文科卒業。
同人誌『十三人』に発表した短篇小説『爪』が、島崎藤村に認められて文壇へでる。
私小説から出発して昭和初期に特異なギリシア趣味の幻想小説に新境地を開いた。

主な著作
『爪』 http://hello.ap.teacup.com/applet/koinu/20090324/archive
『父を売る子』
『ゼーロン』 http://hello.ap.teacup.com/applet/koinu/20091231/archive
『西瓜喰ふ人』
『鬼涙村』 http://hello.ap.teacup.com/applet/koinu/20090530/archive
『吊籠と月光と』
『村のストア派』http://hello.ap.teacup.com/applet/koinu/20090331/archive

牧野 信一:作家別作品リスト(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person183.html

■日本幻想文学全集15 牧野信一 種村季弘編 [国書刊行会]

繰舟で往く家 http://smakino.sakura.ne.jp/kurihune.html
風媒結婚  http://www.aozora.gr.jp/cards/000183/files/45360_29429.html
夜の奇蹟  http://smakino.sakura.ne.jp/yorunokiseki.html
痴酔記  http://www.aozora.gr.jp/cards/000183/files/45323_37469.html
吊篭と月光と
淡雪 http://smakino.sakura.ne.jp/awayuki.html
月あかり  http://smakino.sakura.ne.jp/tsukiakari.html
鬼涙村  http://www.aozora.gr.jp/cards/000183/files/1890_19617.html
風流旅行  http://smakino.sakura.ne.jp/huryuryoko.html
バラルダ物語  http://www.aozora.gr.jp/cards/000183/files/45223_29425.html
ピュグマリオンふたたび(種村季弘)

坂口安吾の「風博士」を大絶賛して、新進作家として世に出るきっかけを作った。
井伏鱒二、青山二郎、小林秀雄、河上徹太郎らと交流があり、
雑誌『文科』を創刊して、新進作家の発表の場を作った。

「風博士」牧野信一

 厭世の偏奇境(ベロナ)から発酵したとてつもないおしやべり(アストラカン)です、これを読んで憤らうつたつて憤れる筈もありますまいし、笑ふには少々馬鹿/\し過ぎて、さて何としたものかと首をかしげさせられながら、だんだん読んで行くと重たい笑素に襲はれます。この笑素は化学読本で御存じのあの酸素中の一原素の謂です。決してペーソスなんていふしやれたものではなくて、それはとても悠長なトアパイロン見たいな、出来損ひのアミーバ見たいな奇怪なデタラメさ加減なのですが、さうかと思ふと洒落たアカデミアンで、読んでゆくうちに何だか得体の知れない信用を覚えさせられて来るのです。
 そんな感じの小説を読みました。二三日前に、この頃読んだ小説のうちで傑れたものといふ質問をうけた時、私は何うしたことだつたか何時にも小説を読まなかつたことに気づき、慌てゝ傍らの一冊の雑誌をとりあげたところ、そんなやうな不思議な風みたいな作品を発見しました。風と云へばその中には斯んな個所があります。「諸君、偉大なる博士は風となつたのである。果して風となつたか? 然り、風となつたのである。何となればその姿が消え失せたではないか、姿見えざるは之即ち風である乎? 然り、之即ち風である。何となれば姿が見えないではない乎。これ風以外の何物でもあり得ない。風である。然り風である。風である風である。」
「諸君、彼は余の憎むべき論敵である。単なる論敵であるか? 否否否。千辺否。」
「かりに諸君、聡明なること世界地図の如き諸君よ、諸君は学識深遠なる蛸の存在を認容することが出来るであらうか? 否否否。万辺否。」
 私は、フアウスタスの演説でも傍聴してゐる見たいな面白さを覚えました。奇体な飄逸味と溢るゝばかりの熱情を持つた化物のやうな弁士ではありませんか。
「風博士」といふ題の短篇です。作者の名は坂口安吾です。私にははぢめての、これ以外には未知の人ですが、この作者は今後も屹度愉快な――わかりにくい作品を発表して屡々私に首をかしげさせるだらうと思ひました。云ひおくれましたが、その、変な、傑れた小説といふのは『青い馬』と称ふ同人雑誌に載つてゐます。

「文藝春秋 第九巻第七号」巻末折込みの「別冊文壇ユウモア」
1931(昭和6)年7月1日発行 

坂口 安吾(1906年10月20日 - 1955年2月17日)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E5%8F%A3%E5%AE%89%E5%90%BE
「風博士」坂口 安吾 http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42616_21000.html

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