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2010年8月21日 (土)

ペルディード・ストリート・ステーション (Perdido Street Station)チャイナ・ミエヴィル

ペルディード・ストリート・ステーション (Perdido Street Station)チャイナ・ミエヴィル
2001年アーサー・C・クラーク賞、英国幻想文学大賞受賞

Perdido_street

 都市ニュー・クロブゾンは蒸気機関と魔術学を文明基礎にする《バス=ラグ》という異世界にある。その中央に巨大な駅、ペルディード・ストリート・ステーションがあり放射状に鉄道線路が伸びている。駅のすぐ横には民兵の巨大塔がそびえ、市中にスカイレールを張り巡らせている。政治体制は少数独裁制で、市中の治安を担うのは民兵で、人類の他に多様な種族が住んで其々がコミュニティを形成させている。
 生物めいたタクシーが走りまわり、夜の街にはカマキリの鎌を持つ義賊が出没、市中広場には古代の超巨大生物の骨格が放置され、廃棄物処分場のジャンクがいつの間にか勝手に意識を持ち、芸術家たちは自分の唾液でモニュメントを作り、辺境の未開種族が実は移動式の大図書館を持つ……。

 科学者アイザックは遥か彼方の砂漠にいるはずの種族、鳥人ガルーダ族の訪問を受ける。彼は部族内で禁忌とされる罪を犯し、罰として翼を取られてしまったのだ。自分のための新たな翼を作ってくれと頼む。
この依頼を引き受けたアイザックは飛翔の研究を始めると、研究材料として謎の芋虫状の生物を入手した。試しにドラッグを与えると、一晩にして巨大化してしまった。
 この生物は「夢蛾スレイク・モス」という知的生物の夢を食い荒らし精神を崩壊させてしまう恐るべき存在だった。アイザックの研究所から逃げ出した夢蛾は、政府の管理下にあった数匹の仲間を解き放って市中に飛び去る。
そして市民たちが次々と餌食となり始める。このことが発端となりアイザックたちは政府と犯罪組織の黒い関係に気がついてしまう。モスを解き放ってしまったことから複数の勢力から負われる身となったアイザックは、夢蛾を追って、この卑しき大都市をさまようことになる。窮まったかに見えた時、都市の機械の集合知性が助力を申し出てきた。

 夢蛾の被害を抑えるために、ニュー・クロブゾン総督ラドガダーは地獄の大使を召還する。しかし彼ら悪魔たちも、夢蛾に恐れをなして協力を断って来た。困り果てたラドガダーらは、異次元に巣食う大蜘蛛ウィーヴァーを呼び出して、夢蛾退治を依頼する。ウィーヴァーは要請に応じたように見えたが、異次元の存在ゆえ完全な意志疎通が難しくその真意は掴みかねている。 種々雑多な要素によるカオスな雰囲気が、架空の大都市のリアリティを極限にまで高めている。ニュー・クロブゾンは汚く喧しく危険にみちた強烈な存在感をもって迫ってくる。

ミエヴィル作品は M・ジョン・ハリスン、マイケル・デ・ララベッティ、マイケル・ムアコック、トマス・M・ディッシュ、チャールズ・ウイリアムズ、ティム・パワーズ、J・G・バラードなどの影響を受けている。自身の小説を「ニュー・クロブゾンは架空の都市であるが、イアン・シンクレアが描写するロンドンに対するように」読ませたいと語っている。「トールキンを馬鹿馬鹿しく保守的」と評してファンタジーからトールキンの影響を排除することを積極的に試みている。

Perdido_street_station

チャイナ・ミエヴィル(China Tom Mieville、1972年9月6日 - )
イギリスのファンタジー作家。チャイナ・ミーヴィルとの表記も。自身の作品を(特にH・P・ラヴクラフトのような20世紀初期のパルプ・マガジンに掲載されるような)「怪奇小説」と説明することを好んでいる。またファンタジーを商業主義や陳腐なJ・R・R・トールキンのエピゴーネンから排除することを目的とする、ニュー・ウィアードと呼ばれるゆるやかな作家グループに属している。

また社会主義労働者党SWPの党員であり、社会主義者同盟 (en:Socialist Alliance) を支持し、マルクス主義や国際法に関する本を出版するなど、左翼としての政治活動を行も行っている。
現在ウォーリック大学においてクリエイティブ・ライティングの教鞭を執っている。

ミエヴィルはイギリスノリッチで生まれ、ロンドン北西部ウィルズデンで育った。両親はミエヴィルの誕生後しばらくして離婚しており、女兄弟一人と教師である母と共に暮らし、「父について知ることは全くなかった」と言う。2年間勉強したオーカム・スクールを卒業し、1990年18歳の時1年間エジプトに滞在し、英語の指導を行った。この場所でアラブの文化や中東の政治に対する興味を培う。

1994年ケンブリッジ大学で社会人類学の修士課程を修了。1995年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスにおいて国際関係論の博士号を取得、2001年国際法学の博士課程を修了。またフランク・ノックス記念奨学金を受け、ハーバード大学でも学ぶ[2]。博士論文のタイトルはBetween Equal Rights: A Marxist Theory of International Lawであり、2005年ブリル出版よりイギリスでHistorical Materialismのシリーズで刊行され、2006年ヘイマーケット・ブックスよりアメリカでも刊行された。
- Wikipedia

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