貸本劇画『悪魔くん』東考社版
主
人公は一万年に一人という天才児で、「悪魔くん」と呼ばれている。
悪魔くんは全人類が幸せに生きられる世界を築こうとして、悪魔の力が必要と考えている。「悪魔」と呼ばれる存在は世界中の神話や民話に語られる様々な妖怪と怪物も含んでいる。
悪魔の召喚に成功していない悪魔くんは、魔術の研究と実験を繰り返していた。
魔術師ファウスト博士が現れ秘儀を授けて、悪魔を呼び出すことに成功する。
博士は悪魔くんに「ソロモンの笛」を与えた。悪魔を従わせる力をもつ笛でソロモン王が使ったという。
悪魔くんには「十二使徒」と呼ばれる部下がいる。悪魔を呼び出す時は、魔法陣を前に「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」と呪文を唱える。フランスで流布した魔法書に記された、悪魔を呼び出すために黒い雌鶏を引き裂いて唱える呪文(Eloim, Essaim, frugativi et appelavi.)に由来する。
貸本各誌で数々の傑作を描きながらも「売れない漫画家」とのレッテルをはられた水木しげるの、凄まじいエネルギーのこもった筆致で描かれている貸本劇画『悪魔くん』。当時まっとうな評価をされなかった水木の才能に惚れ込んだ、東考社社長・桜井昌一との、強い結びつきによって誕生した作品。自分たちの不遇を振り払うべく描かれたが、現実は厳しく「悪魔くん」や水木しげるの才能が一般に認められるのには、まだ数年の時間を要した。
桜井昌一の功績については、正当な評価を受けてしかるべきであろう。この貸本劇画『悪魔くん』は、編集者と作家の「執念」「歓喜」「失望」「苦渋」等、様々な感情が込められた作品となっている。強烈な放射能のごとくエネルギーは、鬼気迫る貧困よりの一大想像絵巻となり圧巻である。
◆伝説の奇書・東考社版全3巻が 初刊行時の体裁で完全復刻!
1.「悪魔くん」A5単行本 3冊
2.直筆「悪魔くん」複製色紙
3.別冊付録「うじ虫」
「一番槍」(1960年)掲載の短編作、「蛙男」初登場!
4.別冊小冊子「『悪魔くん』単行本資料集」
「悪魔くん」全単行本の書影・書誌データを完全収録!
【内容紹介】何千年に一度の天才児「悪魔くん」こと松下一郎少年が、人類が平等に幸せな生活ができる理想社会『千年王国』の樹立を目指して現代社会に戦いを挑む、著者の貸本時代を代表する傑作。「努力しても報われない」不遇さへの著者の憤怒が爆発した代表作で、格差が広がる現代社会の希望の書でもあります。全体に漂う巧まざるユーモアも飄逸。
忘れられていた本物の悪魔くんは、凄まじいエネルギーをこめて蘇生したのだった。文庫本でも同じ内容の貸本劇画『悪魔くん』が復活しています。
●東考社 桜井文庫シリーズ
http://www.geocities.jp/norin/gegege/books/gentei/sakuraibunko/sakuraibunko-top.htm
●「河童の三平事件」が無ければ、『悪魔くん』桜井文庫は、もっと早くに出されていたものと思われます。
http://www.geocities.jp/norin/gegege/books/akumakun/akumakun-top.htm
「むかし、貧乏するのは、世の中が悪いんじゃないか、ということになり、世の中を作りかえる話をかいてみようとしたが、途中でむつかしくなり、悪魔くんを殺してしまったわけだが、世の中はいろいろな要素があって、なかなか単純にはいかないことが、悪魔くんでわかった。」水木しげる
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