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2010年9月19日 (日)

きっと子どもたちは実在する唯一の神々

 子どもは言葉や思考に頼ることなく、それができる。子どもの身体や顔は、すみずみまで生命で輝いている。その生命を傷つけることなどできないだろう。それは、開聞の日に現れた生命と同じものなのだ。

 未来などに大した意味はない。とはいうものの、幼な子の瞳は未来を思わせるもので輝き、大空の色、泉に湧く水の色、若草の色をしている。肌もまた同じ色に、今まで見たこともなく名前もないけれど、すぐにそれとわかる同じ色に輝いている。夜が明け、草葉や蜘昧の巣に朝露がきらめく時の光の色だ。人生のはじめの頃には確かにその啓示を受けたのに、年月を重ねるうちに遠ざかり、手の届かないものになってしまったかのようだ。子どもから向けられたまなざしに貫かれると、軽やかになる。

 どんなに鎧を着込んでいても逃れることはできない。言語や文化、歴史、習慣、社会生活を送る上での身なりや仮面、そしてさらには欲望だとか所有物、あるいは財産や職業の重荷、子どもの単純なまなざしはすべてを一挙に覆し、はるか彼方までまっすぐに貫く。そのまなざしの光には、風や海と同じ力強さが、生命そのものの力が備わっているかのようだ。

子どもは壁など知らない。大層なものを構築したり、砦をめぐらしたりはしない。あるがままの自分と、自分が眼にしたり耳にしたりするもの、それがすべてだ。ぼくたち大人は、重い岩石に胸を押しっぶされ、手足を砕かれ、顔をぐしやぐしやにされているというのに。子どもがやってくる。まなざしが太陽のように熱く輝く。するとぼくたちはすべての重荷から解き放たれる。

ル・クレジオ『地上の見知らぬ少年』より

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