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2010年11月13日 (土)

『妻の超然』絲山秋子

文学がなんであったとしても、化け物だったとしても、おまえは超然とするほかないではないか。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」を収録した異色の三部作。
超然主義(ちょうぜんしゅぎ)とは、外の動静には関与せず、超然(平然)として独自の立場を貫く主義をいうらしい。

Mumacho

1)妻の超然
妻の理津子は夫文麿の浮気にも動じず阪神を応援し1人グーグルに明け暮れる。
少々、捻くれてしまった50近い女性の心理と、無神経な夫の心理。
不倫をめぐる脳内会話も、生活をめぐる描写も一つ一つが巧いです。
この短編の「超然」という言葉の結末は予想外のカタルシスがあります。

2)下戸の超然
30前後の男女をめぐる話。下戸の広生は付き合っている美咲のNPO活動の誘いにも動じずマイペースを貫く。
善悪をめぐる議論、いろいろと面倒な周辺の事情が面白いです。
この短編の「超然」で描かれる現代の青年の絶望に、男の読者は胸を抉られるでしょう。
あと、出てくる食べ物が美味しそうなのが印象的ですね。

3)作家の超然
病気の作家をめぐる話。「おまえ」という二人称で進みますが、絲山さん本人の心境が
投影されているようにも思われます。「生死」に関わる話をしつつも「超然」とした態度で
メディア批判をする作家というもの、これがこの短編のポイントの一つだと思います。

絲山 秋子 1966年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。2003年「イッツ・オンリー・トーク」で文学界新人賞。2004年「袋小路の男」で川端康成文学賞。2005年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2006年、「沖で待つ」で芥川賞受賞

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