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2011年2月 8日 (火)

三島由紀夫 幸福号出帆 (角川文庫)

 オペラ歌手が相続した十億円の遺産をめぐって、オペラ歌手を目ざす娘、元歌手の母、伯母、兄の家族を中心に密輸団の女ボスなどが暗躍する。
 デパートのネクタイ売り場に勤める山路三津子は、元オペラ歌手だった母・正代と、何をして生活しているのか分らない兄の敏夫、オールドミスの伯母ゆめ子と暮らしている。母と同じくオペラ歌手志望の三津子には税関吏の富田というボーイフレンドがいる。しかし、三津子にとって、兄、敏夫の方が富田以上に親しみが持てた。その日も、富田とのデートを早々に切り上げ、兄と会った。敏夫は混血らしいのびやかな体をもった男で、レストラン・イタリア亭のマダム房子という愛人がいて、兄妹は房子の店で食事をした。食事が終ると、敏夫は房子と戯れあい、三津子はひとり家に帰った。家では、ゆめ子の伴奏で、正代が声をはり上げて歌っている。「うるせえ!家賃もろくに払わねえくせに」と突如怒声が。一家は大家に追いたてをくっていた。翌朝、新聞に「ソプラノ歌手、コルレオーニ歌子さん、亡夫の遺産十億円を承く」と出ている。コルレオーニ氏とは敏夫の父で、歌子と正代は恋敵だったのだ。一方、敏夫は密輸のブツを横流ししたことが、姿も知れないボスにバレて、金を弁償するか遂げるか迫られていた。そして、一家四人は、遺産の一部を貰おうと、歌子の家へ向かった。四人は、“ゆすり”という言葉を決して使わなかったが、その言葉に心を熱くしていた。ところが、話はおかしな方向に進み、一四人は歌子邸に同居することになった。他の歌手の同居人を混え、鬼気迫る晩餐の連夜。そして、遺産の一部を資金に武道館で大オペラを開催することになる。ある夜、血まみれの敏夫が房子の部屋に転がり込み、優しい手当てを受けていた。実は、房子は密輸組織のボスで、敏夫は自分を襲った連中のボスが彼女であることも知らなかった。数日後、兄妹は歌子の部屋から一千万円の札束を盗み、脱出を企でた。何故かゆめ子もついて来た。埋立地を走る三人。ロックグループの群れ。いつの間にかゆめ子の姿は消えていた。二人は持ち出した金で船を入手、それを「幸福号」と名付けた。三津子は富田から房子の実体を知らされる。幸福号の二人は密輸に賭けることにした。霧の中を進む幸福号。水上警察のランチも霧の中へ消えていく。税関では富田がイタリア亭に電話をしている。朝。ひろがる海と空。その溶けあったあたりを一そうの船がいく。白い船。それは、はたして幸福号か……。

「あとがき」には「フランス伝統の物語 形式を積極的に取り入れた実験小説」とあるが、、面白がってすらすらと書かれた作品として充分に楽しめる。 (2010/10/23)

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三島由紀夫の小説「幸福号出帆」の映画化
脚本清水邦夫、監督斎藤耕一、
美術 朝倉摂  撮影 兼松煕太郎
キャスト(役名) - 幸福号出帆
藤真利子 (山路三津子)
倉越一郎 (敏夫)

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