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2011年2月11日 (金)

命売ります (ちくま文庫) 三島 由紀夫

 まったく社会がゴキブリに見えたのだ。羽二男は自殺に失敗したことで軽くなり、これまで感じたことのないような気持ちになった。何もかもどうでもよく、生き死にを超越したのだ。
そこで三流新聞に広告を出した。「命売ります。当方27歳。秘密は守ります」。
数日後、ドアのベルが押され、依頼人が訪れる。

Photo

 主人公は自分の命の始末に失敗し、一回捨てるという難関を越えたことで、「何だかカラッポな、すばらしい自由な世界」を手に入れる。超越した存在になった<気>になる。依頼人が行う説明に対して「通俗でつまらない」というあたりから、主人公は「反通俗的でつまらなくない」ことを欲して、スパイにギャングに吸血鬼まで登場して、荒唐無稽なエピソードがつづく。ドタバタ漫画を読むような軽快でナンセンスな展開。ところが実際にそれを経験したとき、<死ぬほど>嫌っていたはずの「家族」「安定」「社会」にも触れた瞬間、命の価値が逆転してエンディングへ疾走する。

Inoci

「会社等組織に属して生活し、生きることに必死な時代に、
死ぬことを恐れない主人公を登場させることで、
現代に対する強烈な風刺となっている」
週刊誌に連載された三島由紀夫の最後の娯楽大作となっている。

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    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
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    タロットアルカナの22枚には、世界の変化を表すことが記されています。カードの意味を知るには、図案のもつ表のイメージから解放されることが大切です。

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