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2011年3月21日 (月)

ミシェル・レリス『幻のアフリカ』

奇跡の民族誌/告白文学。「僕は《女ザール》の詳細を科学的に知るよりは、《女ザール》を身体で知りたいのだ……」。

1929年にシュルレアリスム・グループから脱退したレリスは、バタイユの『ドキュマン』に協力。そして31-33年のフランスによる「ダカール・ジブチ、アフリカ横断調査団」に書記兼文書係として参加します。34年に刊行された本書は、その公式記録。
本書は「多面性を持った、分類しにくい、不思議な書物である。
それは旅日記であり、アフリカについての民族誌であると同時に、省察録、裸な告白、夢の記録でもあった[…]単なる文学でも、単なる民族誌でもない」(本書1005頁)。
「人々は僕たちがこれらの聖具の一つを持ち去ることを許す。
しかし、僕たちがそれに手をかけると[…]彼らはみな顔をそむける
[…]洞窟の右手、小さな聖祠の中に、美しい木像が一つ[…]
今晩、シェネフェルと僕とがそれを奪いにゆくことになる」(238頁)

ミシェル・レリスは『成熟の年齢』において、フロイト的なアレゴリーとシュルレアリスム流のモンタージュを用いながら、20世紀に生きる人間の自伝とは何かを示した。さらに四部作『ゲームの規則』において自画像の提示を発明して、実存主義への道を切り拓いた。そして学術報告書の域をはみ出した『幻のアフリカ』という不思議な著作。

「一方には外部の出来事の流れ、また一方には自分の内面で繰り広げられるもの。「日記」に意味があるとすれば、それはただこのような不条理な賭、つまり、必ずや分断されたものとしてあらわざるをえない要素を融合し絶対的統一をえようとする錬金術的な試みのうちにある」と1936年10月30日にレリスは記している。

Mla

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ミシェル・レリス Michel Leiris
1901年、パリ生まれ。作家・民族学者。1920年代にシュルレアリスム運動に加わり、その後ダカール=ジブチ調査旅行(1931-33)を経て民族誌研究の道に進み、人類博物館に勤務。自伝的作品として『成熟の年齢』および『ゲームの規則』全4巻があリ、民族誌の分野ではとくに憑依現象に関する著作を残す。1990年歿。
邦訳として『黒人アフリカの美術』(新潮社、1968)、『ミシェル・レリスの作品』(全4巻、思潮社、1970-72)、『夜なき夜 昼なき昼』(現代思潮社、1970)、『闘牛鑑』(現代思潮社、1971)、『幻のアフリカ』(河出書房新社、1995)、『オランピアの頸のリボン』(人文書院、1999)、『ピカソ・ジャコメッティ・ベイコン』(人文書院、1999)など。

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