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2011年6月22日 (水)

時間と空間のかなた (創元推理文庫)ヴァン・ヴォークト

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  本書はヴオークトが1952年にハードカバーで刊行した『時間と空間のかなた (Away and Beyond)』を、1959年版のペーパーバックをテキストとして訳出したものである。
 ヴオークトの短編集には、もう一冊、同じく1952年刊の『終点:大宇宙 (Destination: Universe!』があり、『時間と空間のかなた』同様、主として1940年代に各種の雑誌に書いた短編を収録している。

 共に筆者が油の乗り切った時期の作品を網羅しているため、大いに読みごたえがある。翻訳に際し、どちらを選ぶか、甲乙つけがたく、弱ったほどであるが、とりあえず『時間と空間のかなた』を選んだ理由は、訳者が巻末の「避難所」に、以前から一方ならぬ愛着を覚えていたという、はなはだ勝手なものにすぎない。

『時間と空間のかなた』は、短編作家としてのヴオークトを知るには、好個のコレクションで、ショート・ショートと呼んでも良い「偉大な裁判官」から、中編といったほうがふさわしい「避難所」にいたるまで、その長さ、内容のヴァラエティが、読む者を飽かせない。長編作家としてのヴオークトはすでにうんぬんする必要がないが、本書などで見る短編作家としての彼の力傾は、やはり第一級のものである。「避難所」などは、吸血鬼のような伝統的なゴシック的主題に、ヴオークトが名人芸を発揮する「超人」を巧みにからませたもので、これをふくらませれば、優に数百枚の長編になりうるだろうが、あえてこの長さにとどめたところは、想像力に自信満々の最盛期の筆者の作品である所以だろうか。

 ちなみに、ヴオークトは、本書中の「偉大なエンジン」を、一九六四年刊行のThe Beastの一部に用い、「第二の解決法」を1959年刊行のTheWarAgainstRullの一章に利用しているが、この二つの長編は、いずれも、その材料になった短編の出来には及ばぬようである。やはり「原液」と「水まし」の相違かもしれない。
 本書を通じ、ヴォーグト独特の華麗にして膿密なストーリー・テリングを、読者に十二分にお味わいいただければと願っている。 (訳者あとがき)

偉大なエンジン The Great Engine 1943
偉大な裁判官 The Great Judge 1948
永遠の秘密 Secret Unattainable 1942
平和樹 The Harmonizer 1944
第二の解決法 The Second Solution 1942
フィルム・ライブラリー Film Library 1946
避難所 Asylum 1942 

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