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2011年8月30日 (火)

「あの日からのマンガ」しりあがり寿(エンタープレイン)

Anohikarano

 「あの日」とは、もちろん3月11日を指す。朝日新聞紙で「地球防衛家のヒトビト」を連載する作者があの日以降に発表した震災をテーマとする作品を、時系列に沿ってまとめた一冊だ。
 3月14日には被害状況を伝えるテレビを無言で見つめるだけだった地球防衛家が、4月22日にはボランティアとして被災地に出動。実際にボランティアに行った作者白身の体験に基づくリアルな心理や現地の深刻な状況を描きながらユーモアも失わない筆致には、圧倒的咤耕得力がある。セリフなしで瓦礫の絵だけを4ユマ続けた5月6日の日。不特定多数を読者とする新聞マンガで、あえてこういラジカルな表現を選んだ作者の凍気に戦慄した。
一方、月刊誌に発表された作品では、50年後の世界や風刺に満ちた寓話、鎮魂の祈りが描かれる。希望と絶望が入り交じった語り口は、安易な慰めや啓蒙とは違う複雑な読後感を残す。
 「『たとえ間違えているとしても、今、描こう』と思いました」との帯コメントどおり、迷いながら考えながら発信を続ける作者と同様、読者も迷いながら考えながら生きていくしかない。その思考の糧として、まさに今読むべきであり、10年後、20年後にも読まれるべき作品。復興も原発の後始末も、まだまだ続いていくのだから。(683円)

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羽衣ストーブ館

  • 静岡新聞 2001年5月22日記事
    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
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    タロットアルカナの22枚には、世界の変化を表すことが記されています。カードの意味を知るには、図案のもつ表のイメージから解放されることが大切です。

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    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。