« 紫の薔薇 | トップページ | 金環日食なう »

2012年5月20日 (日)

[黄色い雨] フリオ・リャマサーレス

この小説を読むことで、あなたの世界は全てが変わってしまうだろう
沈黙と記憶に蝕まれて、すべてが朽ちゆく村で、亡霊とともに日々を過ごす男。
「悲しみ」や「喪失」といった言葉はこの小説には必要ない。
悲しみや喪失は、ここには空気のように偏在しているから。
なのに、なぜ、すべてがこんなにも美しいのだろう? 柴田元幸

Dscn9366

毎年秋になると必ずあの雨が降る。家々と墓石を埋め尽くす雨。人々を老いさせる雨。人の顔を、手紙や写真を少しずつ破壊してゆく雨。

それはまるで、遠くの森で切り倒された木の音が耳に届くようなもの、今では死んでしまった星の存在しない光を夜の闇の中に見るようなもの。夜中に目を覚まし、誰も聞かなかったほんの一声に気づくようなものなのだ。これは歴史の表に刻まれることはない声だ。ほとんどの人が気づかなかった声なのだから。詩人の耳と目だけがこの声を拾い、我々はその声を聞く。悲しみに流す涙はない。そんなものに意味はないし、誰も要求することもないのだから。詩人の声を聞くとき、我々はこの村を現実の映像として目の前に見る。廃墟となったアイニェーリェ村を歩く私と後に続く雌犬の影を見る。なぜか家の形まではわかるけれど、私の顔は見えない。既に影になってしまっているからだろうか。

Julio Llamazares  La lluvia amarilla  (翻訳)木村 榮一 

« 紫の薔薇 | トップページ | 金環日食なう »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

羽衣ストーブ館

  • 静岡新聞 2001年5月22日記事
    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
フォト

22カードの意味

  • _0 愚者
    タロットアルカナの22枚には、世界の変化を表すことが記されています。カードの意味を知るには、図案のもつ表のイメージから解放されることが大切です。

オンライン状態

ペンギンタロットの原画

  • 0の愚者から21の宇宙(世界)まででひとつの話が結ばれる
    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。