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2012年6月22日 (金)

入沢康夫「ランゲルハンス氏の島」

ランゲルハンス島は哺乳類の膵臓内に散在する内分泌腺の組織で、インシュリンを分泌する。詩人は「ランゲルハンス島」という言葉から、新たな不思議な世界を構築していく。

 ランゲルハンス氏の執事から彼の令嬢の家庭教師を頼まれ、依頼に応じて島に行く。氏は旅行中で不在、迎えたのは美しい夫人と令嬢。

島は不思議なところである。歩いは、決して海に行けない。道はすべて島の中央に戻ってくる。でも乗り物を使えば、海に出るのは簡単。島に一軒しかない本屋の前で、その本屋に本が届くのを邪魔するためだけに延々と続けられている道路工事。淋しい歌を歌い続けるバーの歌うたい。

 やがて沖にランゲルハンス氏の帆船らしい船が着く。船は水平線の彼方にあり、それ以上は島に近づいてこない。 やがて夫人と夫人の情人だといわれていた釣具屋の主人が殺される。ランゲルハンス氏の船は消えている。

この不思議でしかも魅力的な名前を持つ内臓の組織を本当の島に見立てれば、そこでは何が起こってもおかしくはない。その場に居合わせると決めたときに感じるミゾオチの痛みが、唯一その島の存在の証のようでもある。

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