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2012年6月 6日 (水)

キース・リチャードの力量

1964年10月に撮影されたT.A.M.I. Show。数千回に上るステージをこなしたストーンズだがこの演奏はトップ5に入るだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=JGURtu-pJRc
この演奏でサウンドの核になっているのはキース・リチャードだ。彼なくしてストーンズは成立し得ない。
サウンド力配分 キース 5 ミック 3 ブライアン、ビル、チャーリー三人足して 2
サウンド重要性が低いのはブライアン・ジョーンズが弾くリズムギター。演奏された楽曲全てキースがリードギターを弾いてソロは勿論ベーシックリフもリズムギターも担当している。当時バンドリーダーのブライアンはおまけコードを鳴らしている看板男となっていたのに目を疑ったものだ。

イギリスのポップシーンで逸早く名器の誉れ高いレス・ポールを選択したギタリストこそキース・リチャードに他ならない。ジョージ・ハリスンやジミー・ペイジ、ジェフ・ベックがレスポールを弾きだすのはもっと後になってからだった。このステージでブライアン・ジョーンズはビジュアル要員に過ぎない。本人も分かっているのか最後の曲「アイム・オールライト」では途中でギターを弾くのを止めてタンバリンを叩いてサウンドにアクセントをつけている。

http://www.youtube.com/watch?v=s5EbJKMXNXY&feature=related

ギターを自分弾かなくてもステージが成立することに気付いたブライアンは1965年以降、ライブでもレコーディングでもほとんど弾かなくなってしまった。ギタリストとしての彼はスライドギターを弾かせたら当時イギリスではトップ・クラスだった。ボ・ディドリー・スタイルのギターを弾かせたら世界第2位であった。1位はディドリー本人。ブライアンはボ・ディドリーとジミー・リードに心酔しておりこのスタイルを弾かせたら相当なものだった。
レノン=マッカートニーが作った「彼氏になりたい」でリードギターを弾いているのはブライアンだと言われるが肝心のギターソロになるとたどたどしい。対してチャック・ベリー曲を弾かせたらキース・リチャードの独壇場になる。その演奏は驚異的でベーシックリフもギターソロもほとんどノーミスで時折アクションも交えて絶妙の演奏している。ジョージ・ハリスンやジョン・レノンもこんなに動きながらギターを弾くことは出来なかっただろう。キースは当時20歳の若僧に過ぎなかった。

ファンク帝王ジェームズ・ブラウンのダイナマイトが炸裂した後、ステージに立つだけでなくこのショーでトリをやれる。イギリスから突然出て来たプラスチック・ソウル・グループに「お前達が二度とアメリカに来たくないと思うステージをしてやる!」と脅しをかけた。だがキース・リチャードの肝っ玉の太さは並ではなかった。

以下はブライアン、ミック、キースの3人の性格の違いを表す例えとして有名。
ブライアンは自分を自分の理想の人間に見せることに必死だった
ミックはいつも自分を出すことに慎重だった
キースは自分を自分以外の何者にも見せようとしなかった

危機的状況に至ってもキースは平気のマイペースで彼以外の何者でもなかった。努力家で自分を出すことに慎重だったのミックは必死奮闘して4曲で息を上げている。しかし若干21歳に過ぎなかった駆出ロッカーとしてはパフォーマンスもイカシテいた。

タミー・ショーを企画したプロデューサーは、ジェームズ・ブラウンが抗議しても頑としてトリの座は譲らず出演者の筆頭はローリング・ストーンズであった。アメリカのミュージシャン達のプライドも傷つけたようでストーンズの楽屋に挨拶に来たのはシュープリームスだけだった。ダイアナ・ロスも不世出のバンドの未来を分かっていたのであろう。

キースのベースに関してはロックンロール・サーカスでの逸話も忘れることは出来ない。
当初ダーティ・マックのメンバー
ジョン・レノン  ヴォーカル&リズム・ギター
エリック・クラプトン  リード・ギター
ミッチ・ミッチェル  ドラムス
ビル・ワイマン   ベース
この錚々たる顔ぶれを知ったキースは当日になってビルを外してベースを弾いている。飛び入りで参加したにしては中々のテクニックだったから侮れない。ストーンズの看板はミック・ジャガーで、ミック&ローリング・ストーンズといわれていたが、90年代に入るとキースの評価は上がって行った。ストーンズはギターバンドで、サウンド核のイニシアティヴを握った者が覇権を掌握してきた。初期はブライアン・ジョーンズで彼がが凋落してからはキースとなったいった。ジェフ・ベックやジミー・ペイジと比較してもキース・リチャードは全く遜色はない。ヤードバーズの演奏でタミー・ショーを上回るものがあるか探してみるといいだろう。
全てのジャンルで技術は手段に過ぎないと思う。

熱心なキース信者であるジョニー・デップに継承され、2000年代映画界最高のヒットシリーズになった「パイレーツ・オブ・カリビアン」になって完全昇華された。それがキース・リチャードの力量というものだ。

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