« 1910年(明治43年)に発表された説話集 | トップページ | 米の展開 »

2013年1月 7日 (月)

『遠野物語』(とおのものがたり)

柳田國男が1910年(明治43年)に発表した説話集。日本民俗学の黎明を告げた名著である。現在は、岩波文庫、角川ソフィア文庫、集英社文庫等にある。

岩手県遠野町(現・遠野市)出身の小説家・民話蒐集家であった佐々木喜善によって語られた遠野盆地~遠野街道に纏わる民話を、柳田が筆記・編纂し自費出版した初期の代表作。その内容は天狗、河童、座敷童子など妖怪に纏わるものから山人、マヨヒガ、神隠し、死者などに関する怪談、さらには祀られる神、そして行事など多岐に渡る。『遠野物語』本編は119話で、続いて発表された『遠野物語拾遺』には、299話が収録されている。もう一人大きな影響を与えたとされるのが、やはり遠野出身で、佐々木喜善の先輩格である伊能嘉矩であった。

1910年、僅か350部余りで自費出版(聚精堂)された。柳田の前著である『石神問答』は、難解だったためかあまり売れ行きが芳しくなかったのに対し、『遠野物語』は僅か半年ほどで印刷費用をほぼ回収できた(200部は柳田が買い取り知人らに寄贈した)。寄贈者では、島崎藤村や田山花袋・泉鏡花が積極的な書評を書いた。『遠野物語』を購読した人たちには芥川龍之介や南方熊楠、言語学者のニコライ・ネフスキーなどがいる。特に芥川は本著を購入した当時19歳であったが、親友に宛てた書簡に「此頃柳田國男氏の遠野語と云ふをよみ大へん面白く感じ候」と書き綴っている。当時はあくまで奇異な物語を、詩的散文で綴った文学作品として受け入れられた。

民間伝承に焦点を当て、奇をてらうような改変はなく、聞いたままの話を編纂したこと、それでいながら文学的な独特の文体であることが高く評価されている。日本民俗学の発展に大きく貢献した。1935年に、再版覚え書きを入れた『遠野物語 増補版』(郷土研究社)が刊行されている。また初版復刻本『遠野物語 名著複刻全集』(日本近代文学館監修、発売・ほるぷ、新版1984年)も重版されている。

[関連書籍]
※初版刊行からちょうど一世紀を経た2009-10年に、相次いで出版された。
石井正己 『「遠野物語」を読み解く』(平凡社新書 2009年)
赤坂憲雄・三浦佑之 『遠野物語へようこそ』(ちくまプリマー新書、2010年)、入門書
東雅夫 『遠野物語と怪談の時代』(角川選書、2010年)

[関連項目]『水木しげるの遠野物語』

【wikipedia】より

Mizuki

[外部リンク]
『遠野物語』 :デジタル画像(近代デジタルライブラリー)
http://iss.ndl.go.jp/api/openurl?ndl_jpno=40011235
『遠野物語』:新字新仮名 - 青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/001566/card52504.html

« 1910年(明治43年)に発表された説話集 | トップページ | 米の展開 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

羽衣ストーブ館

  • 静岡新聞 2001年5月22日記事
    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
フォト

22カードの意味

  • _0 愚者
    タロットアルカナの22枚には、世界の変化を表すことが記されています。カードの意味を知るには、図案のもつ表のイメージから解放されることが大切です。

オンライン状態

ペンギンタロットの原画

  • 0の愚者から21の宇宙(世界)まででひとつの話が結ばれる
    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。