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2013年7月27日 (土)

「五色の舟」津原泰水

見世物屋の一家は、異形の世帯。脚のないお父さん、一寸法師の昭助兄さん、元はシャム双生児で今は体中に鱗の刺青をしている桜、膝の関節が後ろ前の牛女の清子さん、そして、腕無し「僕」の五人。

「僕」は耳も聞こえず、桜とは以心伝心で話す。他人が何を言ったか知覚出来る。

当時のお父さんは,先を失った脚に義足を縛りつけ,杖に縋って歩きながら,よく身投げの場所を探していた。ある晩,杖が折れて河原に転げ落ちて,大切な顔に怪我をした。

それからもお父さんの脱疽は進み,すでに切っていた脚の残りも,また反対の脚もほとんど失ってしまったけれど,自分から死ぬことは考えなくなった。僕らのよく知る,今のお父さんになっていった。

元旅芝居の花形役者だった「お父さん」に執心する「犬飼先生」の振る舞いが、両脚を失って異形の見せ物として生きることを決意実行している。

見世物屋一家は、各地を巡る生活をしていて、舟に住んでいる。

一家が乗る舟が沖合に出ていて、他の舟とぶつかりそうになる。すれ違う時、家族の誰かがそちらの舟に乗り移ってしまう。相手の舟が見えなくなってから、気づくと元の舟に家族全員が揃っている。

この舟の夢は「くだん」によって起こされる、パラレルワールドへの乗り換えを予知する。
そして箱に詰められて運ばれた一家が、自分たちの居場所を知る。

はじめ戸外かと思ったのだが,塀だと感じていたものを見上げていくと,ずいぶんな高さに天上の梁があった。あちこちに大量の木箱が積まれている。全貌が分からないほど広大な倉庫の片隅に,僕らはいた。

「くだん」によるパラレルワールドへの移動によって、五人のヒーローは多重世界に存在するという感覚が提示される。

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★『コミックビーム』8月号より、津原泰水=原作/近藤ようこ=漫画「五色の舟」の連載がスタート。
原作では最後の情景を、タイトル前の最初のページに、マンガ表現ならではの「五色の舟」がカラー描写される。原作者さんも綿密に構成されたネームとコンテに、作品の到達地点をみたと、絶賛している。

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