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2013年8月15日 (木)

『白い旗』 水木しげる (講談社文庫)

終戦を考えるシーズンには接しておきたい戦記劇画。
戦争の悲惨さが迫力ある描写で、貸本劇画版を複製して再録している。

☆「白い旗」
作者兄さんの親友であった海軍中尉の奇妙な戦死について雜誌記事が掲載された。それを読んで驚いたお母さんが手紙で伝えてきて、硫黄島の激戦などを調べたのが執筆動機。武器も水も食糧も無いのに無為な闘いを試みる陸軍に対して、部下の命のために敢えて「白旗」を掲げる海軍将校の姿を通して、命の尊さ、戦争が持つ無意味さ・狂気を描いた悲痛な作品。 あの時に白旗を掲げた、彼の行為は正しかったのではないか?

☆「ブーゲンビル上空涙あり」
山本五十六長官搭乗機の撃墜の真相を、日本側の暗号が筒抜け状態であったアメリカ側の資料に基づいて再現。
戦争を反対して、挑めば猛虎のようだった山本長官の死は惜しまれた。

☆「田中頼三」
ガダルカナルでは"コマねずみ"の様に駆逐艦を操り、アメリカ軍を翻弄した田中少将の活躍を描いた痛快劇。
事績はアメリカ海軍は高く評価されたが、日本海軍では冷遇され知られていない兵站軽視を問う。

☆「特攻」
戦艦大和を守ろうとした撃墜王と、「特攻」を志願したその弟との交流が描かれる。
沖縄に向かう大和には20機の零戦が掩護にあたったが、燃料のために途中で引き返している。主人公の撃墜王上代守大尉は帰途についたけれど、大和を見捨られず一度引きかえして、大編隊に波状攻撃をかけられ激戦の末に沈没する大和を見守る。 鹿屋基地にもどった上代には神風特別攻撃隊を先導して、援護するという新たな任務が待っていた。皮肉なことに特攻に志願した実弟へ先導する死の案内役であった。弟の特攻を見とどけて、空母に体当たり攻撃をかける。

「戦争と生きる事の意義」
「死んだ人間は再び生きて返れない」
「過ぎ去った過ちは二度と繰り返してはならない」
 そんなメッセージが胸に迫る力作。

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