朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものは何か
スフィンクス(Sphinx、ギリシャ語で「絞め殺す者」の意) は、ギリシャ神話に登場する、ライオンの身体、人間の女性の顔、鷲の翼を持った存在。高い知性を持っており、なぞ解きやゲームを好む。 オイディプスの神話によれば、フェキオン山に住んでいたスフィンクスは、美しい顔と乳房のある胸、ライオンの身体と翼を持っていた。旅人を捕らえて謎を出し、答えられぬ者を食べていた。
この謎は「一つの声をもちながら、朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものは何か。 その生き物は全ての生き物の中で最も姿を変える」というものであった。この謎が解かれた時スフィンクスの災いから解放されるであろう という神託をテーバイ人達は得ていた為、この謎を解くべく知恵を絞ったが 何人も解く事は出来ず、多くの者がスフィンクスに殺された。身体は獣だが美しい女性の上半身を持つスフィンクス。今まで何人もの人間を食してきたにもかかわらず、オイディプスも憐れむような優しくて悲しい目。
テーバイに来たオイディプスはこの謎を解き、スフィンクスに言った。 答えは人間である。
何となれば人間は幼年期には四つ足で歩き、青年期には二本足で歩き、 老いては杖をついて三つ足で歩くからである。このなぞなぞでの「朝」「昼」「夜」は人間の一生を一日に例えた比喩的表現である。一部の間では「朝も昼も夜も赤ん坊は4本足、その後は2本足、その後は3本足」という解釈も出てきている。一部のなぞなぞでは「最初は4本、次は2本、最後は3本」と変えられている場合もある。謎を解かれたスフィンクスは自ら城山より身を投じて死んだ。 これは謎が解かれた場合死ぬであろうという予言があったためである。
もうひとつの解釈として、スフィンクスの謎かけの答えは「オイディプス」であるとも言われる。初めは立派な人間(=二つ足)であったが、母と交わるという獣の行いを犯し(=四つ足)、最後は盲目となって杖をついて(=三つ足)国を出て行くという以下のオイディプスの数奇な運命を表すものである。王となったオイディプスは国に災いをもたらした先王殺人の犯人を追及するが、それが実は自分であり、更に産みの母と交わって子を儲けていたことを知るに至って自ら目を潰して王位を退くのだった。
ソポクレス 「オイディプス王」 物語 あらすじ
1. そもそもは、 オイディプスの父王ライオスが、おのれの情欲に負け、再三にわたるアポロンの神託を無視して、 妻イオカステとの間に一子を設けたことに始まる。 この結婚には、生まれた子供が父を殺す、という呪いがかけられていた。 呪いは、ライオスが若い頃、放浪の身を寄せた王家の美少年に邪恋し、ついにこれをさらって 殺してしまった罪による。
2. 王ライオスは、生まれた男児についての呪われた神託を恐れ生まれるとすぐ、嬰児の両かかとをピンで刺し貫いた上で、山奥に捨てさせた。 しかし嬰児は、じつは捨てられず、子の無いコリントス王家の手に渡って、 コリントスの王子として育てられ、見事に成人する。 この王子の名、オイディプスとは、貰われた時のかかとの腫れゆえにここでつけられた 「腫れ足」という意味の名前である。
3. みずからの出生を知らぬまま成長したオイディプスは、自分がコリントス王の実子にあらずとの噂に悩み、アポロンの神託に答えを求めデルポイに赴く。しかし、そこで得た神託は求める答えではなく、 「もし故郷に帰れば、汝は父王を殺し、母と褥(しとね)を共にすることになるであろう」 という予言であった。
4. コリントスをみずからの故郷と、まだ固く信じるオイディプスは、この神託を恐れコリントスには戻らずにそのまま旅の途につくが、 旅の途中、狭い三叉路で、二頭立て馬車に乗る老人と従者の一行と出会い押しのけ合いから争いとなって、これらを殺してしまう。 やがて、テバイの都にまで辿りついたところ、都は大混乱の真っ最中だった。 ただ一人逃げ帰った従者の話では、王の一行が山賊に出会い、皆殺しにされたと言う。 オイディプスはまだ知らないが、彼が殺した老人こそ、彼の実父、ライオスであった。
5. しかもその上、テバイ郊外の丘には怪物スフィンクスが現れて、人々を悩ませていた。 下を通る者に、誰にも分からない謎をかけ、解き得ないと捕って食う。 神託はこの謎を解けば、スフィンクスの災いはおのずから除かれるであろう、という。
6. 王を失ったテバイでは、妃イオカステの弟クレオーンが摂政に立ち、 スフィンクスの謎を解いてこれを退治した者を、イオカステの夫としテバイの王とすると、ふれを出していた。
7. スフィンクスが出す謎とは、 「一つの声を持ち、二つ足にして四つ足にして三つ足なるものが、地上にいる。」
「それが最も多くの足に支えられて歩くとき、その肢体の力は最も弱く、その速さは最も遅い。」というもの。
8. オイディプスは、スフィンクス退治の役を買って出て、その謎の答えを「人間」と解く。
謎を解かれたスフィンクスは谷に身を投じて死に、オイディプスは約束どおり王位について、イオカステを妻とした。
こうして、予言は全て成就した。
9. オイディプス王は、イオカステによって二男二女を設けるが、 やがて、テバイには凶作が続くようになり、さらに悪疫が流行し、国運が傾き始める。
10. これの原因をたずねて得た神託は、こうであった。
「この国には、一つの穢れが巣くっている。
されば、これを国土より追いはらい、決してこのままその穢れを培って不治の病根としてしまってはならぬ。
その穢れの因、国内にいるライオス殺しの犯人を突き止め、これを追放せよ。もしくは殺して罰せよ。」
11. 王オイディプスは、熱心に探索をはじめるが、 やがて、まさにみずからが、その恐ろしくも忌まわしい穢れの元であることを知る。
12. 真相を知った母イオカステは、みずから首を吊って死に、高潔なオイディプス王は、激しい心の苦しみの果てに、みずから両目を突きつぶして放浪の旅に出た。
以上のプロットは限りなく応用の効く物語の力がある。
古代ギリシャ演劇を新たな解釈で映画化したのが、監督 ・脚本 ピエル・パオロ・パゾリーニの「アポロンの地獄 Edipo Re」である。
http://hello.ap.teacup.com/applet/koinu/20070622/archive
« 羽衣ストーブ館 | トップページ | 美と風土・絵筆で記録する・筑豊・火床の画家たち »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント