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2015年10月15日 (木)

「人が土地を囲い込むわけ」

もしも池の主が一匹の蛇だとして、
今われわれが知っている土地の所有者と同じように考えてしまう。
人と土地には所有とその対象という関係があるが、
蛇と池の間には魂と肉体のように、所有する所有される関係はない。

このような外と内の境界地点について、
民族学者の戸井田道三さんは「比叡開山された伝承」と伝承神話などを比較している。

「比叡開山された伝承」

その国の人々はまだ、釈迦の名前さえ聞いたことがありません。しかしながらこの国は、太陽神に起源を持つ宇宙の根源として、あらゆる菩薩本来の住む土地であり、仏教を東方に向って広めるための霊地にしようと決めました。

仏や菩薩がそれぞれの人に応じた姿で現れて、衆生を救済するための場所を探そうと、遍歴している内に、比叡山の麓、さざなみ立つ志賀の浦ほとりで、釣り糸を垂れている老人に出会いました。

『翁よ、もし貴方がこの土地の主であるなら、この山を私に譲ってください。この地に結界を構成して、仏教を広めよう』

『私は年齢六千歳の初めより、この地の主として、この琵琶湖が七度にわたって葦原となったのを見てきました。もしも、この土地に結界など構えられたなら、私は釣りをする場所を失うことになります。
釈尊よ、早くここを去って、他国に土地を求められよ』と強く断りました。

この翁は白髭神社の祭神で、琵琶湖の主、白髭明神でした。釈尊はやむなく自分の住む世界である寂光土に帰ろうとしましたが、その時、東方にあるという薬師如来のいる浄土、浄瑠璃世界の教祖である医王善逝(薬師如来)が突然来られました。釈尊は大いに喜び、先ほど老翁の話されたことを語ったところ、医王善逝は感心して褒め称えた。

『良いことだよ、釈尊、この土地に仏教を普及させることは。私は二万歳の初めからこの国の地主である。その老翁はまだ私のことを知らないのだ。どうしてこの山を提供することを惜しむのだろうか、提供させよう。この地にて布教の成果があがり、仏教が東方に普及すれば、釈尊は教義を伝える大師となって、この山を開くが良いでしょう。そして私はこの山の王となって、今後久しく五百年間仏教を保護しよう』

二人の仏は東西に別れて行きました。このようにして千八百年が過ぎて、釈尊は伝教大師として生まれ変わりました。
そこで顕教と密教と戒学を含む三学の基本を修行して奥義を極めて帰国されたのです」

「太平記 巻第十八」 より


シメや縄を張ったり、垣根を作ったり土地を囲い込むのは、所有するものだと他人へ知らせる目的がある。
したがって地主神は囲い込みをした人に似て、その地を所有しているとイメージされるのも無理はないという。

この辺の所有する価値観の感覚と知識が、外来された「仏教」からの特有のことで、
もともとが「和」をもってハイブリットに受け入れてきた日本人とは異なる匂いが感じられる。

「人が土地を囲い込むわけ」は考察の対象を、現代の事例まで数々掘り下げてみたい。

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