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2015年11月 7日 (土)

『素晴らしきソリボ』パトリック・シャモワゾー

「カーニヴァルの夜、謝肉の日曜日と灰の水曜日の間に、語り部ソリボ・マニフィークは言葉に喉を掻き裂かれて死んだ」

パトリック・シャモワゾーが記した小説『素晴らしきソリボ』は、こんな幻惑される書き出しで始まる。

舞台はフランス植民地マルティニーク島。ソリボの死を調査する警察は、目撃者から聴取するが難航する。島民は時間の観念や、近代的な言葉を知らない。死亡時間もわからないし、調書を作ることも出来ない。

生年月日を聞くのに「いつの台風の時に生まれたか?」などといわなければならない。

この怪奇な小説は「終わりつつある口承文学と、生まれつつある記述文学との出会いを扱っている」

島民と警察のやり取りが、コミカルで愉快な気持ちにさせている。理解することはなくて、熱帯でラム酒の芳醇な香りかぐようにして、笑い飛ばしていれば堪能される。まるで音楽を聴くように、身を任せられる不思議な小説体験だ。

『素晴らしきソリボ』を日本語に翻訳したチームの、鮮やかなユーモア感覚と言語探究へ感謝したい。

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309206707/

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