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2016年9月 6日 (火)

『宇治拾遺物語』を現代感覚で読む

池澤夏樹個人編集『日本文学全集』シリーズ『日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集』の一編。

町田康による超大胆な訳が話題になっているので、高価な本巻を図書館で閲覧してみた。中世説話がアベノミクスに喘ぐ平成末期に読んでも、腹抱えて笑えるものになるとは……。ぶっ飛んだ言語感覚と文体グルーヴ感が活かされてる「芋粥」の説話はストーリート系の文体で語られる。

「え? 芋粥を飽きるほど食いてぇ? それマジ?」
「マジっす」
「よりによって芋粥かよ。滓みてぇな奴だな。あ、わりぃ、わりぃ。ごめんな。お客さん、滓とか言っちって」

などなど、現代感覚あるれるセリフと違和感なく、根本の伝達速度が上がってる。

そして「前世よりキャリーオーバーした宿業」「あり得ないルックスの鬼」「入水の聖(ひじり)・狂熱のライブ」「なにかとストレスが多い宮廷社会に笑いを齎(もたら)してくれる貴重な人材」という現代語の用い方が、拾遺物語の流れからも無理なくフィットするのだ。

芥川龍之介の短編「芋粥」「鼻」「地獄変」になった説話や、昔話「わらしべ長者」「こぶとりじいさん」「舌切り雀」のネタになった説話も収められていて、関西言語のなんとも柔軟無比てでありつつも、御伽草子の新感覚なる可能性を感じとる現代訳だ。うふふふ。

本巻は日本霊異記、今昔物語、宇治拾遺物語、発心集のセレクト版。もともと仏教説話である発心集などと比べて、ナンセンス逸話を収録している『宇治拾遺物語』の世界へ、物語展開の愉しさを笑いながら堪能するのだった。あははははは。Image

 

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