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2017年3月13日 (月)

「文豪怪談傑作選 吉屋信子集 生霊」(東峰夫編)ちくま文庫

『生霊』
別荘地に訪れた菊冶が、勝手に空き別荘に上がりこんで生活する。やがて管理人の爺さんに見つかるが、彼を「坊ちゃん」と呼んで一緒に山鳥を食ったりする。菊冶はとぼけて「坊ちゃん」のふりをした。翌日すぐに逃げ出す。しばらくしてやってきた別荘の持ち主母娘と管理人の爺さんが会い、「坊ちゃん」が戦死していたことを知る。娘は兄にそっくりだったその男(菊冶)に会ってみたかったと思うのだった。

高原のバンガローを去る「生霊」である主人公菊治が、世話になった爺さんのいる家の方に向かって『蔭ながら遠くから手を振る恰好をして、急ぎ足に通り過ぎて――菊治はやがて朝霧の中にその姿を没した』

Img_7760

表紙絵は金井田英津子さんが「生霊」のワンシーンからインスパイア作画した。
http://www.chikumashobo.co.jp/special/bungokaidan/popup03.html?height=500&width=540

後半「鳥」シリーズ三作『鶴』『夏鶯』『冬雁』が収録されている。プロットが複雑で、哀愁と日本情緒に溢れて幻想味が微妙な余韻を残して終わる。『鶴』は川端康成が激賞した。『海潮音』はかなり不思議な奇妙な短篇。解説では久生十蘭との類似性が記されている。

▼ 吉屋信子は、少数の女が百メートル翔ぶよりも、多数の女たちが十センチ飛ぶことを望んだのだ。(p.126)

『文豪怪談傑作選 吉屋信子集 生霊』の収録作品一覧
生霊
生死
誰かが私に似ている
茶碗(碗は別字)
宴会
井戸の底
黄梅院様
憑かれる
かくれんぼ

夏鶯
冬雁
海潮音
【巻末資料〜関連エッセイ集】
私の泉鏡花
梅雨
霊魂
鍾乳洞のなか

本巻は朝日新聞社版『吉屋信子全集』未収録の短篇5篇、文庫初収録「茶碗」「宴会」「鶴」を除く全作品が該当する画期的な内容。吉屋怪談の代表作「鬼火」は収録されてないのは、現在唯一新刊で入手可能な講談社文芸文庫『鬼火・底のぬけた柄杓』に配慮している。

 

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