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2017年3月18日 (土)

『感性の限界 ― 不合理性・不自由性・不条理性』高橋昌一郎( 講談社現代新書)

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『理性の限界』『知性の限界』の「限界シリーズ」三冊目にあたる。本書テーマは「人間理性の限界」

フロイトの精神分析に代表される20世紀以降は科学も哲学も「自分の知らない自分」が大きなテーマ。行動経済学やミームからカミュの実存主義にまで、二重過程理論を中心にした「自分」の中の「自分の知らない自分」を探求する。シンポジウム形式で、様々な立場、考え方さんが集まり議論を重ねていく。
「急進的フェミニスト」さんや「カント主義者」さんなど、極端なまでに戯画化された各種「主義者」さんたちは、キャラが立っていて笑え、人間の内なるものという哲学的なテーマだけに、本当の意味で活躍する箇所があったりする。

「限界シリーズ」がわかりやすいのは、専門家たちの説明が簡略で巧みなこと以上に、「素人」キャラたちの存在が大きい「コミュニケーション・プラットフォーム」が盛り込まれている。

《方法論的虚無主義者「科学」を視野に入れない「哲学」も、「哲学」を視野に入れない「科学」も、もはや成立しないことは明らかじゃないか!
いいかげんに理系と文系という構図に拘るのは止めたらどうだ!》
p.245 原文ママ (^。^)

簡単なことを「難しく」言うのは簡単だけど、難しいことを「簡単に」言うのは難しい。 良き書き手というのは、例外なく後者に長けている気がする。

アロウの不可能性定理/ハイゼンベルグの不確定性原理/ゲーデルの不完全性定理/不可能、不確定、不完全と限界に迫る/感覚的に分かるがそれを学問的に厳密に議論しようとするときっと崩壊する/システムを定義すると同時にその内部での不完全性が成立し、その根底にランダム、不確実性が横たわっている。

「相対性理論は、時間と空間ばかりではなく、質量やエネルギーの概念も根本的に変革しました。アインシュタインの有名な方程式「E=mc²」は、物体の質量に光速度の二乗を掛けた結果がエネルギーと同等であることを示しています。原子力発電所では、ごく微量のウランの核分裂反応を利用して、膨大な原子力エネルギーを取り出しているわけですが、質量が膨大なエネルギーを秘めているという発想も、相対性理論に基づくものです。」

しかし科学や宗教や哲学の領野は、ぶち当たった「理性という壁」がある。

「理性の最後の一歩は、理性を超える事物が無限にあるということを認めること」パスカル『パンセ』より。

完全な民主主義は完全には存在しない/帰納により自然科学は矛盾を突きつけられる/ゲーム理論・ゼロサムゲーム/数学・論理学における「矛盾」/粒子であり波である光、シュレーディンガー、神のサイコロetc。

以上の議題には司会者がいて、非専門家を代表する人間として「会社員」と「大学生」が登場。専門家が各専門分野の知見から、意見を述べる形式になって分かりやすい。


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