« ネルヴァルの傑作 | トップページ | 新譜紹介 »

2017年9月 7日 (木)

ネルヴァル「緑色の怪物」

やがて次第に、ほろ酔い機嫌とその場の陽気な雰囲気に誘われて、大胆になった彼は、そこにあった薄色のボルドー葡萄酒の、念入りに赤い封印をした、頸の長い魅力的な形の一本を拾いあげると、ほれぼれと胸に抱きしめた。
 すると突然、気違いじみた笑い声がまわり中からどっと湧き起り、憲兵隊長はどぎまぎして、瓶を手から取り落した。瓶は粉々に砕け散った。
 踊りがぴたりと止まり、恐怖の叫びが穴倉の四隅に響きわたった。ぶちまけられた葡萄酒が、血の沼のようにひろがるのを見ると、憲兵隊長は髪の毛がぞっと逆立つのをおぼえた。
 彼の足もとには、裸の女の屍体が横たわっていた。その金髪は床にひろがり、葡萄酒の血に浸されていた。

ジェラール・ド・ネルヴァル=作 澁澤龍彦=訳「緑色の怪物」
平井呈一=編 『怪奇小説傑作集4』より

Img_1239


« ネルヴァルの傑作 | トップページ | 新譜紹介 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

羽衣ストーブ館

  • 静岡新聞 2001年5月22日記事
    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
フォト

22カードの意味

  • _0 愚者
    タロットアルカナの22枚には、世界の変化を表すことが記されています。カードの意味を知るには、図案のもつ表のイメージから解放されることが大切です。

オンライン状態

ペンギンタロットの原画

  • 0の愚者から21の宇宙(世界)まででひとつの話が結ばれる
    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。