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2017年9月 4日 (月)

「全てに感覚がある!」そして全てはお前の上に力を及ぼす。

「黄金詩篇」ネルヴァル

人間、自由思想家よ! お前は自分だけが考えると思うのか、
生命があらゆるものに輝いている、この世界の中で?
お前の持つ力を、お前の自由は勝手に扱う、
然し、お前のあらゆる意見に、宇宙は耳をかさぬ。

獣の中に、うごめく精神を尊重せよ。
一つびとつの花が、現れ出た自然の魂なのだ。
愛の神秘は、金属の中に息う。
「全てに感覚がある!」そして全てはお前の上に力を及ぼす。

盲いた壁の中に、お前を覗う視線を恐れよ。
物質にさえも、言葉は与えられている……
不敬な事に、それを使うな!

しばしば暗い存在の中に、匿された神が住む。
そして瞼に覆われた眼が生れ出るように、
清らかな精神は、石の殻の下に育つ!
(『幻想詩篇』より)

《註解》
『黄金詩篇』 Vers dores は、元来はピタゴラスの著と称される、詩句で綴られた教訓・箴言集の標題であり、この書名を題名とする本詩篇は、ピタゴラス派神秘主義に深く根ざしたネルヴァルの世界観の吐露となっている。
 ピタゴラス派神秘思想は、万物の根元に「数」をおき、霊魂の転生(メタンプシコーズ)と、物活論(アニミスム)とによって、世界を説明する。そこから万物有情・万物交感の考え方が出て来る。

「自由思想家」普通には十八世紀啓蒙主義の流れの中で、カトリックのドグマにとらわれない自由検討にもとづく思考法をはぐくまれた者をいうが、ここでは、その中でも特に、一切の霊的な存在や汎神論的世界観を許容しない、唯物的思想家を指しており、そこから来る人間中心主義や、そのような傾向を持つものとしての「人間」全体が、対象となっていると言えよう。
「宇宙は耳をかさぬ」 第三行第四行の大意は次のごとくであろう。「人間よ、おまえは、おのれの持つ(思考するという)能力を、自分だけの特権のように勝手気ままに使っていい気になっているが、その小ざかしい分別のどれをとってみても、そこには宇宙の真理は欠けているではないか。」
第十三行第十四行の大意は次のごとくであると考えられる。
「赤ん坊が生れて来るとき、その目はまだまぶたに覆われて(つまり目をつむって)いるのだが、それと同様に、生命のないと見える石ころについても、その固い外殻の内部では、一個純粋な精神が、ひそかに生長をつづけているのだ。」

『ネルヴァル全集』筑摩書房より

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