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2017年10月29日 (日)

「君たちはどう生きるか」吉野源三郎さんの霊にささげる

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昭和12年初版の本を著者が二度改訂して、1967年の二度目の改訂後ポプラ社と岩波文庫は初版があり表現や内容は初版に詳しい。
大人向きに書かれた初版を苦労して読まなくても、子供向きに改訂されたポプラ社の本で、内容の奥深さ著者の考えは伝わってくる二つのバージョンとなっている。
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主人公は「コペル君」という綽名を持つ、日本が急速に軍国主義化していった戦前の中学1年生。2年前に父を亡くし母と暮らしているが、母の弟である「おじさん」が、何かとコペル君の相談に乗ってくれたり、知らない知識の世界への目を開かせてくれる。

いずれはコペル君に読んでもらおうと、おじさんは密かに「Note」を書き続けている。「コペルニクスのように、自分たちの地球が広い宇宙の中の天体の一つとして、その中を動いていると考えるか、それとも、自分たちの地球が宇宙の中心にどっかりとすわりこんでいると考えるか、この二つの考え方というものは、じつは、天文学ばかりのことではない。世の中とか、人生とかを考えるときにも、やっぱり、ついてまわることだ。・・・君がおとなになるとわかるけれど、こういう自分中心の考え方を抜け切っているという人は、広い世の中にも、じつにまれなのだ。ことに、損得にかかわることになると、自分をはなれて正しく判断してゆくということは、非常にむずかしいことで、こういうことについてすら、コペルニクスふうの考え方のできる人は、非常に偉い人と言っていい。たいがいの人が、手まえがってな考え方におちいって、ものの真相がわからなくなり、自分につごうのよいことだけを見てゆこうとするものなんだ。・・・きょう君が感じたこと、きょう君が考えた考え方は、ちょうど天動説から地動説にかわったようなものなのだよ」

東大法学部教授の丸山真男による、文末付録での解説文。「君たちはどう生きるか」をめぐる回想ー吉野さんの霊にささげるー
「ところが、この書は、ちょうどその逆で、あくまでコペル君のごく身近に転がっている、ありふれた事物の観察とその経験から出発し、「ありふれた」ように見えることが、いかにありふれた見聞の次元に属さない、複雑な社会関係とその法則の具象化であるか、ということを十四歳の少年に得心させてゆくわけです。一個の商品のなかに、全生産関係がいわば「封じ込められている」という命題から始まる資本論の著名な書き出しも、実質的にはおなじことを言おうとしております。」
丸山真男が記したとおり、経済学・社会学に通じる話を学問の論から演繹して書いた机上の話ではなく、子どもの体験と視点で伝えながら、学問知識がどんな意味を持つという命題にたどり着く。


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