ダンテ『神曲』全三部 L'Inferno (1911) Satan eating human
『地獄篇』34歌『煉獄篇』33歌『天国篇』33歌より構成される。
『地獄篇』の第一歌は、地獄界に入る以前、ダンテが暗い森で道に迷っていると、ダンテがかねて私淑していた古代ローマの大詩人ウェルギリウスの霊と出会い、その導きで、地獄・煉獄・天国へと旅を開始する発端がうたわれている。従って、三つの世界について33歌づつの構成。
『地獄篇』はダンテたちが地下に降りる。地獄は地下にある大きな空洞で、すり鉢の形をして、擂鉢の表面に棚のように幾つもの段があり広い。この段にある世界が地獄で、地上に近い部分から地下の最深部まで段=地獄の圏が続いている。ダンテは段を一つづつ下に降りながら、罪を犯したが故に永遠に天国には行けないで苦しむ罪人たちの姿を見る。様々な罪に応じて、別の圏があり、下に降りるほど、重い罪となっている。九圏の地獄の最深奥は地球の中心に当たる、擂鉢の一番底には氷があり、氷に逆立ちに半身を埋められた大悪魔ルチーフェロ(サタン)がいる。
『煉獄篇』はルチーフェロの傍らを通って、ダンテ達一行は、地球のなかに開いた地下道を伝って、地球の反対側になるエルサレムの反対の場所にある「煉獄界」へと至る。煉獄界は地獄に落とされるほどではないが、生前やはり罪を犯した人々が、魂を浄化されている。
煉獄は円盤型の世界を、大きな円盤の上により小さな円盤を積んだように、段階状になっている。「煉獄山」ともいわらる下の段から順に、浄化された人は一段上の段へと昇って行く。ダンテたちは、七冠の煉獄の段を上り、最上界・山頂の「地上の楽園」に至るのだった。
『天国篇』はウェルギリウスが導けるのは煉獄の山頂までだと云い、代わって永遠の処女ベアトリーチェが、ダンテを導いて、天上世界へと昇って行く(ウェルギリウスは、キリスト出現以前に生き、敬虔な魂を持っていた善なる詩人などが住む「リンボー」という世界にいたが、ベアトリーチェの依頼で、ダンテを導いてきた)。
天上世界は、プトレマイオスの地球中心の宇宙観に従っており、月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星、そして恒星までの第一天から第八天まであり、更にその上に、第九原動天がある。そして第十至高天(エンピレオ)があり、諸天使、諸聖人が、天上の薔薇を構成している。ダンテは、三重の三重なる至高者を前に、瞬間の見神体験を持つのだ。
L'Inferno (1911) Satan eating human
https://youtu.be/TL3wLLf_AZo
This is the 1911 silent Italian film based on Dante Alighieri's Inferno. It is the first full length Italian film ever made, and is regarded as the finest adaptation of Dante's Inferno.
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