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2018年2月28日 (水)

特別小冊子「桃子さん」

若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』刊行記念〈小幡彩貴さん=絵/若竹千佐子さん=文〉による特別小冊子「桃子さん」
2017年文藝賞受賞作。63歳、史上最年長受賞。渾身のデビュー作。
74歳、ひとり暮らしの桃子さん。おらの今は、こわいものなし。
新たな「老いの境地」を描いた感動作。
https://bpub.jp/kawade/item/5000005048179fc1aa07cbe040218f83b895c053299b

作品は、子育てを終え、夫を看取った主婦が感じる孤独と老いの境地を綴った物語である。舞台は生まれ育った東北で、語り口も東北弁だ。「あいやぁ、おらの頭(あだま)この頃、なんぼがおがしくなってきたんでねべか」

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2018年2月27日 (火)

アマゾン、取引先に「協力金」要求販売額の1~5%

アマゾンジャパンが国内の食品や日用品メーカーに対して、通販サイトで販売した金額の1~5%を「協力金」として支払うよう求めていることがわかった。
物流費の上昇のほか、システムの更新費用が経営の負担になっているためとみられる。人手不足をきっかけにしたコストの上昇が取引企業や消費者の負担につながる可能性が出てきた。

2018年2月26日 (月)

国税庁長官の“逃亡生活ホテル”は役人特権で3割引き

国税庁長官の“逃亡生活ホテル”は役人特権で3割引き
「佐川を追え!」──霞が関では、国民の怒りから逃げ回る佐川宣寿・国税庁長官の“潜伏場所”を突き止めようとするメディア各社の取材班による追跡劇が連日展開された。
週刊ポストは佐川氏の乗った公用車を追跡し、ついに滞在ホテルを突き止めたことを2月19日発売号で報じた。そのホテルは、皇居の内堀に面した一等地に建つ「KKRホテル東京」であった。地上15階建てで下層階は政府全額出資の国際協力銀行の本部、上層階が客室になっている。
財務省所管の国家公務員共済組合連合会が経営し、公務員は一般料金の約3割引きという格安価格で宿泊できる。財務省の会議が開かれることも多く、同省御用達なのだから“セキュリティ”は万全だ。
「我々が国会対応で帰宅できない時に利用するのは1泊8000円ほどのシングルだけど、長官が滞在するなら、部屋で打ち合わせができるようにスイートに泊まるんじゃないか」
若手官僚はそう語る。ちなみに、眼下に皇居の森を一望できるスイートルームは1泊約3万円。近隣の民間ホテルなら1泊10数万円するグレードだ。
佐川氏の国民からの“逃亡生活”は昨夏以来、半年近くになるとみられている。
その間のホテル代や食費などの費用は相当な金額になっているはずだ。一体、誰が払っているのか。国税庁長官のホテル暮らしが「公務」扱いで、領収証を役所に出して経費精算しているなら、国民の税金で賄われていることになる。当然、国税庁には領収証が保存されていなければならない。この記録まで「廃棄した」という言い逃れは通用しない。
2018年02月26日 07時00分 NEWSポストセブン

KKRホテル東京(国家公務員共済組合連合会東京共済会館)、KKR宿泊施設は国家公務員共済組合連合会が組合員等の利用を目的として運営しています。
緑豊かな皇居に隣接するKKRホテル東京 。東京駅まで車で5分、地下鉄竹橋駅直結という絶好のロケーションで、ビジネスや観光にも最適。

2018年2月25日 (日)

東京湾フェリーの景色

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2018年2月24日 (土)

ネアンデルタール人の壁画はデザイン感覚がある

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スペインのラ・パシエガ洞窟、マルトラビエソ洞窟、アルダレス洞窟の3カ所で、壁面にネアンデルタール人の手形や幾何学模様、赤い丸などが描かれている。それぞれの洞窟は最大700キロ離れている。
「ネアンデルタール人が象徴的表現をしていたという主張は以前からあったが、年代特定が不明確だった。あるいは、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが同時に存在したとされる、4~6万年前のことだと言われてきた。つまり、発見された象徴的表現は現生人類のものかもしれない、あるいは現生人類に影響されたネアンデルタール人によるものかもしれなかった」
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43165670


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2018年2月23日 (金)

アマゾン課税強化案

20カ国・地域(G20)は、米アマゾン・ドット・コムのような電子商取引業者に対する課税強化案を検討する。現在の租税ルールでは、国境を越えてインターネットで売買される電子書籍などの利益に、各国が法人税をかけられないためだ。国ごとの売上高に課税する欧州連合(EU)の案を軸に協議が進むが、実現すればネット企業の立地戦略やサービス展開に大きな影響を及ぼす可能性がある。

2018年2月22日 (木)

ソーラーパネル設置される

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2018年2月21日 (水)

遠近法である風景

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2018年2月20日 (火)

東京湾フェリー

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2018年2月19日 (月)

オットセイが潜んでいた

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2018年2月18日 (日)

古代の器を描く

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2018年2月17日 (土)

BIG BOX

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高田馬場にあるビル。

2018年2月16日 (金)

新譜紹介

1. Calexico / Dead in the Water
2. Calexico / End of the World with You
3. Calexico / Voices in the Field
4. Calexico / Bridge to Nowhere

ザ・スレッド・ザット・キープス・アス ザ・スレッド・ザット・キープス・アス
キャレキシコ


5. Baths / Yeoman
6. Baths / Human Bog
7. Baths / I Form

ロマプラズム [歌詞・対訳・解説付き] ロマプラズム [歌詞・対訳・解説付き]
バス


8. Fleet Foxes / Helplessness Blues (2011)

Helplessness Blues [Import] Helplessness Blues [Import]
Fleet Foxes

9. King Crimson / Cat Food (1970)

In the Wake of Poseidon : 40th Anniversary Series [CD, Import] In the Wake of Poseidon : 40th Anniversary Series [CD, Import]
King Crimson

10. Led Zeppelin / Immigrant Song (Live 1972)

伝説のライヴ ─HOW THE WEST WAS WON─ <2018リマスター>【3CD】 伝説のライヴ ─HOW THE WEST WAS WON─ <2018リマスター>【3CD】
レッド・ツェッペリン

11. Thundercat / Show You the Way (feat. Michael McDonald and Kenny Loggins) (2017)

Drunk [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] Drunk [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤]
サンダーキャット

2018年2月15日 (木)

「キャスター&コメンテーター好感度ランキング」

文春オンラインを対象にアンケート募集された。

「好き」部門ではフリーアナウンサーの羽鳥慎一(46)がV1を達成。、ジャーナリストの池上彰(67)が2位、TBSの安住紳一郎アナ(44)が3位。

民放の朝の情報番組のキャスターが数多くベストテン入りし、女性では水卜麻美(30)や夏目三久(33)がランクイン。
NHK勢では11位に武田真一アナ(50)、13位に有働由美子アナ(48)が入った。

「嫌い」部門は、3位がフリーキャスターの小倉智昭(70)、4位が古舘伊知郎(63)、5位が関口宏(74)、8位が恵俊彰(53)など、長寿番組のベテラン司会者の名前が目立っている。

ベスト50とワースト50、それぞれのランキングと、文春メルマガ会員によるコメントは、2月15日(木)発売の「週刊文春」に掲載する。
http://bunshun.jp/articles/-/6208

2018年2月14日 (水)

芳年 躍動の瞬間と永遠の美

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2018年2月13日 (火)

堀辰雄 『燃ゆる頬』

燃ゆる頬

堀辰雄

 私は十七になった。そして中学校から高等学校へはいったばかりの時分であった。
 私の両親は、私が彼等らの許もとであんまり神経質に育つことを恐れて、私をそこの寄宿舎に入れた。そういう環境の変化は、私の性格にいちじるしい影響を与えずにはおかなかった。それによって、私の少年時からの脱皮は、気味悪いまでに促されつつあった。
 寄宿舎は、あたかも蜂はちの巣のように、いくつもの小さい部屋に分れていた。そしてその一つ一つの部屋には、それぞれ十人余りの生徒等が一しょくたに生きていた。それに部屋とは云うものの、中にはただ、穴だらけの、大きな卓つくえが二つ三つ置いてあるきりだった。そしてその卓の上には誰のものともつかず、白筋のはいった制帽とか、辞書とか、ノオトブックとか、インク壺つぼとか、煙草の袋とか、それらのものがごっちゃになって積まれてあった。そんなものの中で、或る者は独逸ドイツ語の勉強をしていたり、或る者は足のこわれかかった古椅子にあぶなっかしそうに馬乗りになって煙草ばかり吹かしていた。私は彼等の中で一番小さかった。私は彼等から仲間はずれにされないように、苦しげに煙草をふかし、まだ髭ひげの生はえていない頬ほおにこわごわ剃刀かみそりをあてたりした。
 二階の寝室はへんに臭かった。その汚よごれた下着類のにおいは私をむかつかせた。私が眠ると、そのにおいは私の夢の中にまで入ってきて、まだ現実では私の見知らない感覚を、その夢に与えた。私はしかし、そのにおいにもだんだん慣れて行った。
 こうして私の脱皮はすでに用意されつつあった。そしてただ最後の一撃だけが残されていた……

 或る日の昼休みに、私は一人でぶらぶらと、植物実験室の南側にある、ひっそりした花壇のなかを歩いていた。そのうちに、私はふと足を止めた。そこの一隅に簇むらがりながら咲いている、私の名前を知らない真白な花から、花粉まみれになって、一匹の蜜蜂みつばちの飛び立つのを見つけたのだ。そこで、その蜜蜂がその足にくっついている花粉の塊かたまりを、今度はどの花へ持っていくか、見ていてやろうと思ったのである。しかし、そいつはどの花にもなかなか止まりそうもなかった。そしてあたかもそれらの花のどれを選んだらいいかと迷っているようにも見えた。……その瞬間だった。私はそれらの見知らない花が一せいに、その蜜蜂を自分のところへ誘おうとして、なんだかめいめいの雌蕋めしべを妙な姿態にくねらせるのを認めたような気がした。
 ……そのうちに、とうとうその蜜蜂は或る花を選んで、それにぶらさがるようにして止まった。その花粉まみれの足でその小さな柱頭にしがみつきながら。やがてその蜜蜂はそれからも飛び立っていった。私はそれを見ると、なんだか急に子供のような残酷な気持になって、いま受精を終ったばかりの、その花をいきなりむしりとった。そしてじいっと、他の花の花粉を浴びている、その柱頭に見入っていたが、しまいには私はそれを私の掌てで揉もみくちゃにしてしまった。それから私はなおも、さまざまな燃えるような紅や紫の花の咲いている花壇のなかをぶらついていた。その時、その花壇にT字形をなして面している植物実験室の中から、硝子戸ガラスどごしに私の名前を呼ぶものがあった。見ると、それは魚住うおずみと云う上級生であった。
「来て見たまえ。顕微鏡を見せてやろう……」
 その魚住と云う上級生は、私の倍もあるような大男で、円盤投げの選手をしていた。グラウンドに出ているときの彼は、その頃私たちの間に流行していた希臘ギリシヤ彫刻の独逸製の絵はがきの一つの、「円盤投手ディスカスヴェルフェル」と云うのに少し似ていた。そしてそれが下級生たちに彼を偶像化させていた。が、彼は誰に向っても、何時いつも人を馬鹿にしたような表情を浮べていた。私はそういう彼の気に入りたいと思った。私はその植物実験室のなかへ這入はいっていった。
 そこには魚住ひとりしかいなかった。彼は毛ぶかい手で、不器用そうに何かのプレパラアトをつくっていた。そしてときどきツァイスの顕微鏡でそれを覗のぞいていた。それからそれを私にも覗かせた。私はそれを見るためには、身体を海老えびのように折り曲げていなければならなかった。
「見えるか?」
「ええ……」
 私はそういうぎごちない姿勢を続けながら、しかしもう一方の、顕微鏡を見ていない眼でもって、そっと魚住の動作を窺うかがっていた。すこし前から私は彼の顔が異様に変化しだしたのに気づいていた。そこの実験室の中の明るい光線のせいか、それとも彼が何時もの仮面をぬいでいるせいか、彼の頬の肉は妙にたるんでいて、その眼は真赤に充血していた。そして口許くちもとにはたえず少女のような弱弱しい微笑をちらつかせていた。私は何とはなしに、今のさっき見たばかりの一匹の蜜蜂と見知らない真白な花のことを思い出した。彼の熱い呼吸が私の頬にかかって来た……
 私はついと顕微鏡から顔を上げた。
「もう、僕……」と腕時計を見ながら、私は口ごもるように云った。
「教室へ行かなくっちゃ……」
「そうか」
 いつのまにか魚住は巧妙に新しい仮面をつけていた。そしていくぶん青くなっている私の顔を見下ろしながら、彼は平生の、人を馬鹿にしたような表情を浮べていた。

 

 五月になってから、私たちの部屋に三枝さいぐさと云う私の同級生が他から転室してきた。彼は私より一つだけ年上だった。彼が上級生たちから少年視されていたことはかなり有名だった。彼は瘠やせた、静脈の透いて見えるような美しい皮膚の少年だった。まだ薔薇ばらいろの頬の所有者、私は彼のそういう貧血性の美しさを羨うらやんだ。私は教室で、屡しばしば、教科書の蔭から、彼のほっそりした頸くびを偸ぬすみ見ているようなことさえあった。
 夜、三枝は誰よりも先に、二階の寝室へ行った。
 寝室は毎夜、規定の就眠時間の十時にならなければ電燈がつかなかった。それだのに彼は九時頃から寝室へ行ってしまうのだった。私はそんな闇やみのなかで眠っている彼の寝顔を、いろんな風に夢みた。
 しかし私は習慣から十二時頃にならなければ寝室へは行かなかった。
 或る夜、私は喉のどが痛かった。私はすこし熱があるように思った。私は三枝が寝室へ行ってから間もなく、西洋蝋燭ろうそくを手にして階段を昇って行った。そして何の気なしに自分の寝室のドアを開けた。そのなかは真暗だったが、私の手にしていた蝋燭が、突然、大きな鳥のような恰好かっこうをした異様な影を、その天井に投げた。それは格闘か何んかしているように、無気味に、揺れ動いていた。私の心臓はどきどきした。……が、それは一瞬間に過ぎなかった。私がその天井に見出した幻影は、ただ蝋燭の光りの気まぐれな動揺のせいらしかった。何故なぜなら、私の蝋燭の光りがそれほど揺れなくなった時分には、ただ、三枝が壁ぎわの寝床に寝ているほか、その枕まくらもとに、もうひとりの大きな男が、マントをかぶったまま、むっつりと不機嫌ふきげんそうに坐っているのを見たきりであったから……
「誰だ?」とそのマントをかぶった男が私の方をふりむいた。
 私は惶あわてて私の蝋燭を消した。それが魚住らしいのを認めたからだった。私はいつかの植物実験室の時から、彼が私を憎んでいるにちがいないと信じていた。私は黙ったまま、三枝の隣りの、自分のうす汚よごれた蒲団ふとんの中にもぐり込んだ。
 三枝もさっきから黙っているらしかった。
 私の悪い喉をしめつけるような数分間が過ぎた。その魚住らしい男はとうとう立上った。そして何も云わずに暗がりの中で荒あらしい音を立てながら、寝室を出て行った。その足音が遠のくと、私は三枝に、
「僕は喉が痛いんだ……」とすこし具合が悪そうに云った。
「熱はないの?」彼が訊きいた。
「すこしあるらしいんだ」
「どれ、見せたまえ……」
 そう云いながら三枝は自分の蒲団からすこし身体をのり出して、私のずきずきする顳こめかみの上に彼の冷たい手をあてがった。私は息をつめていた。それから彼は私の手頸てくびを握った。私の脈を見るのにしては、それは少しへんてこな握り方だった。それだのに私は、自分の脈搏みゃくはくの急に高くなったのを彼に気づかれはしまいかと、そればかり心配していた……
 翌日、私は一日中寝床の中にもぐりながら、これからも毎晩早く寝室へ来られるため、私の喉の痛みが何時までも癒なおらなければいいとさえ思っていた。

 数日後、夕方から私の喉がまた痛みだした。私はわざと咳せきをしながら、三枝のすぐ後から寝室に行った。しかし、彼の床はからっぽだった。何処どこへ行ってしまったのか、彼はなかなか帰って来なかった。
 一時間ばかり過ぎた。私はひとりで苦しがっていた。私は自分の喉がひどく悪いように思い、ひょっとしたら自分はこの病気で死んでしまうかも知れないなぞと考えたりしていた。
 彼はやっと帰って来た。私はさっきから自分の枕許に蝋燭をつけぱなしにしておいた。その光りが、服をぬごうとして身もだえしている彼の姿を、天井に無気味に映した。私はいつかの晩の幻を思い浮べた。私は彼に今まで何処へ行っていたのかと訊いた。彼は眠れそうもなかったからグラウンドを一人で散歩して来たのだと答えた。それはいかにも嘘うそらしい云い方だった。が、私はなんにも云わずにいた。
「蝋燭はつけておくのかい?」彼が訊いた。
「どっちでもいいよ」
「じゃ、消すよ……」
 そう云いながら、彼は私の枕許の蝋燭を消すために、彼の顔を私の顔に近づけてきた。私は、その長い睫毛まつげのかげが蝋燭の光りでちらちらしている彼の頬を、じっと見あげていた。私の火のようにほてった頬には、それが神々こうごうしいくらい冷たそうに感ぜられた。

 私と三枝との関係は、いつしか友情の限界を超こえ出したように見えた。しかしそのように三枝が私に近づいてくるにつれ、その一方では、魚住がますます寄宿生たちに対して乱暴になり、時々グラウンドに出ては、ひとりで狂人のように円盤投げをしているのが、見かけられるようになった。
 そのうちに学期試験が近づいてきた。寄宿生たちはその準備をし出した。魚住がその試験を前にして、寄宿舎から姿を消してしまったことを私たちは知った。しかし私たちは、それについては口をつぐんでいた。

 

 夏休みになった。
 私は三枝と一週間ばかりの予定で、或る半島へ旅行しようとしていた。
 或るどんよりと曇った午前、私たちはまるで両親をだまして悪戯いたずらかなんかしようとしている子供らのように、いくぶん陰気になりながら、出発した。
 私たちはその半島の或る駅で下り、そこから二里ばかり海岸に沿うた道を歩いた後、鋸のこぎりのような形をした山にいだかれた、或る小さな漁村に到着した。宿屋はもの悲しかった。暗くなると、何処からともなく海草の香りがしてきた。少婢こおんながランプをもって入ってきた、私はそのうす暗いランプの光りで、寝床へ入ろうとしてシャツをぬいでいる、三枝の裸かになった脊中に、一ところだけ脊骨が妙な具合に突起しているのを見つけた。私は何だかそれがいじってみたくなった。そして私はそこのところへ指をつけながら、
「これは何だい?」と訊いてみた。
「それかい……」彼は少し顔を赧あからめながら云った。「それは脊椎せきついカリエスの痕あとなんだ」
「ちょっといじらせない?」
 そう云って、私は彼を裸かにさせたまま、その脊骨のへんな突起を、象牙ぞうげでもいじるように、何度も撫なでてみた。彼は目をつぶりながら、なんだか擽くすぐったそうにしていた。

 翌日もまたどんよりと曇っていた。それでも私たちは出発した。そして再び海岸に沿うた小石の多い道を歩きだした。いくつか小さい村を通り過ぎた。だが、正午頃、それらの村の一つに近づこうとした時分になると、今にも雨が降って来そうな暗い空合になった。それに私たちはもう歩きつかれ、互にすこし不機嫌になっていた。私たちはその村へ入ったら、いつ頃乗合馬車がその村を通るかを、尋ねてみようと思っていた。
 その村へ入ろうとするところに、一つの小さな板橋がかかっていた。そしてその板橋の上には、五六人の村の娘たちが、めいめいに魚籠びくをさげながら、立ったままで、何かしゃべっていた。私たちが近づくのを見ると、彼女たちはしゃべるのを止やめた。そして私たちの方を珍らしそうに見つめていた。私はそれらの少女たちの中から、一人の眼つきの美しい少女を選びだすと、その少女ばかりじっと見つめた。彼女は少女たちの中では一番年上らしかった。そして彼女は私がいくら無作法に見つめても、平気で私に見られるがままになっていた。そんな場合にあらゆる若者がするであろうように、私は短い時間のうちに出来るだけ自分を強くその少女に印象させようとして、さまざまな動作を工夫した。そして私は彼女と一ことでもいいから何か言葉を交かわしたいと思いながら、しかしそれも出来ずに、彼女のそばを離れようとしていた。そのとき突然、三枝が歩みを弛ゆるめた。そして彼はその少女の方へずかずかと近づいて行った。私も思わず立ち止りながら、彼が私に先廻りしてその少女に馬車のことを尋ねようとしているらしいのを認めた。
 私はそういう彼の機敏な行為によってその少女の心に彼の方が私よりも一そう強く印象されはすまいかと気づかった。そこで私もまた、その少女に近づいて行きながら、彼が質問している間、彼女の魚籠の中をのぞいていた。
 少女はすこしも羞はにかまずに彼に答えていた。彼女の声は、彼女の美しい眼つきを裏切るような、妙に咳枯しゃがれた声だった。が、その声がわりのしているらしい少女の声は、かえって私をふしぎに魅惑した。
 今度は私が質問する番だった。私はさっきからのぞき込んでいた魚籠を指さしながら、おずおずと、その小さな魚は何という魚かと尋ねた。
「ふふふ……」
 少女はさも可笑おかしくって溜たまらないように笑った。それにつれて、他の少女たちもどっと笑った。よほど私の問い方が可笑しかったものと見える。私は思わず顔を赧らめた。そのとき私は、三枝の顔にも、ちらりと意地悪そうな微笑の浮んだのを認めた。
 私は突然、彼に一種の敵意のようなものを感じ出した。

 私たちは黙りあって、その村はずれにあるという乗合馬車の発着所へ向った。そこへ着いてからも馬車はなかなか来なかった。そのうちに雨が降ってきた。
 空すいていた馬車の中でも、私たちは殆ほとんど無言だった。そして互に相手を不機嫌にさせ合っていた。夕方、やっと霧のような雨の中を、宿屋のあるという或る海岸町に着いた。そこの宿屋も前日のうす汚ぎたない宿屋に似ていた。同じような海草のかすかな香かおり、同じようなランプの仄ほのあかりが、僅わずかに私たちの中に前夜の私たちを蘇よみがえらせた。私たちは漸ようやく打解けだした。私たちは私たちの不機嫌を、旅先きで悪天候ばかりを気にしているせいにしようとした。そしてしまいに私は、明日汽車の出る町まで馬車で一直線に行って、ひと先まず東京に帰ろうではないかと云い出した。彼も仕方なさそうにそれに同意した。
 その夜は疲れていたので、私たちはすぐに寝入った。……明け方近く、私はふと目をさました。三枝は私の方に脊なかを向けて眠っていた。私は寝巻の上からその脊骨の小さな突起を確めると、昨夜のようにそれをそっと撫でてみた。私はそんなことをしながら、ふときのう橋の上で見かけた、魚籠をさげた少女の美しい眼つきを思い浮べた。その異様な声はまだ私の耳についていた。三枝がかすかに歯ぎしりをした。私はそれを聞きながら、またうとうとと眠り出した……
 翌日も雨が降っていた。それは昨日より一そう霧に似ていた。それが私たちに旅行を中止することを否応いやおうなく決心させた。
 雨の中をさわがしい響をたてて走ってゆく乗合馬車の中で、それから私たちの乗り込んだ三等客車の混雑のなかで、私たちは出来るだけ相手を苦しめまいと努力し合っていた。それはもはや愛の休止符だ。そして私は何故かしら三枝にはもうこれっきり会えぬように感じていた。彼は何度も私の手を握った。私は私の手を彼の自由にさせていた。しかし私の耳は、ときどき、何処からともなく、ちぎれちぎれになって飛んでくる、例の少女の異様な声ばかり聴きいていた。
 別れの時はもっとも悲しかった。私は、自分の家へ帰るにはその方が便利な郊外電車に乗り換えるために、或る途中の駅で汽車から下りた。私は混雑したプラットフォムの上を歩き出しながら、何度も振りかえって汽車の中にいる彼の方を見た。彼は雨でぐっしょり濡ぬれた硝子窓に顔をくっつけて、私の方をよく見ようとしながら、かえって自分の呼吸でその硝子を白く曇らせ、そしてますます私の方を見えなくさせていた。

 

 八月になると、私は私の父と一しょに信州の或る湖畔へ旅行した。そして私はその後、三枝には会わなかった。彼は屡しばしば、その湖畔に滞在中の私に、まるでラヴ・レタアのような手紙をよこした。しかし私はだんだんそれに返事を出さなくなった。すでに少女らの異様な声が私の愛を変えていた。私は彼の最近の手紙によって彼が病気になったことを知った。脊椎カリエスが再発したらしかった。が、それにも私は遂ついに手紙を出さずにしまった。
 秋の新学期になった。湖畔から帰ってくると、私は再び寄宿舎に移った。しかし其処そこではすべてが変っていた。三枝はどこかの海岸へ転地していた。魚住はもはや私を空気を見るようにしか見なかった。……冬になった。或る薄氷りの張っている朝、私は校内の掲示板に三枝の死が報じられてあるのを見出みいだした。私はそれを未知の人でもあるかのように、ぼんやりと見つめていた。

 

 それから数年が過ぎた。
 その数年の間に私はときどきその寄宿舎のことを思い出した。そして私は其処に、私の少年時の美しい皮膚を、丁度灌木かんぼくの枝にひっかかっている蛇へびの透明な皮のように、惜しげもなく脱いできたような気がしてならなかった。――そしてその数年の間に、私はまあ何んと多くの異様な声をした少女らに出会ったことか! が、それらの少女らは一人として私を苦しめないものはなく、それに私は彼女らのために苦しむことを余りにも愛していたので、そのために私はとうとう取りかえしのつかない打撃を受けた。
 私ははげしい喀血かっけつ後、嘗かつて私の父と旅行したことのある大きな湖畔に近い、或る高原のサナトリウムに入れられた。医者は私を肺結核だと診断した。が、そんなことはどうでもいい。ただ薔薇ばらがほろりとその花弁を落すように、私もまた、私の薔薇いろの頬ほおを永久に失ったまでのことだ。
 私の入れられたそのサナトリウムの「白樺しらかば」という病棟には、私の他には一人の十五六の少年しか収容されていなかった。
 その少年は脊椎カリエス患者だったが、もうすっかり恢復期かいふくきにあって、毎日数時間ずつヴェランダに出ては、せっせと日光浴をやっていた。私が私のベッドに寝たきりで起きられないことを知ると、その少年はときどき私の病室に見舞いにくるようになった。或る時、私はその少年の日に黒く焼けた、そして唇くちびるだけがほのかに紅あかい色をしている細面ほそおもての顔の下から、死んだ三枝の顔が透かしのように現われているのに気がついた。その時から、私はなるべくその少年の顔を見ないようにした。
 或る朝、私はふとベッドから起き上って、こわごわ一人で、窓際まどぎわまで歩いて行ってみたい気になった。それほどそれは気持のいい朝だった。私はそのとき自分の病室の窓から、向うのヴェランダに、その少年が猿股さるまたもはかずに素っ裸になって日光浴をしているのを見つけた。彼は少し前屈まえこごみになりながら、自分の体の或る部分をじっと見入っていた。彼は誰にも見られていないと信じているらしかった。私の心臓ははげしく打った。そしてそれをもっとよく見ようとして、近眼の私が目を細くして見ると、彼の真黒な脊なかにも、三枝のと同じような特有な突起のあるらしいのが、私の眼に入った。
 私は不意に目まいを感じながら、やっとのことでベッドまで帰り、そしてその上へ打つ伏せになった。

 少年は数日後、彼が私に与えた大きな打撃については少しも気がつかずに、退院した。

初出:「文藝春秋」 1932(昭和7)年1月号
初収単行本:「麥藁帽子」四季社
1933(昭和8)年12月5日

2018年2月12日 (月)

「ペンギンタロット」限定800部

◆ペンギンタロットカードは不可思議なシンボルが描かれて、これらキーワードを繋ぎ合わせることでタロットは世界の側面を照らし出すとことができる。漠然とした無意識の断片が、元型のイメージとしてのカードによって具現化され、その人固有の無意識の形を喚起させる。
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◆自分の無意識を知ることで、これから自分の身に起こることや、未来に起こる出来事を予測することができる。
◆ペンギンタロットは普遍な無意識を発掘する道具であり、その無意識を意識化する手段として、占い師が相談者の未来を予測する際に行うカード解釈は、まさしく医師が患者に質問を出して、その内容から医学的に解釈し、患者の精神状態を推測しながらカウセリングを行う心理学の手法そのものです。
◇「ペンギンタロット」について http://koinu.cside.com/
◇ペンギンタロット21+0の原画の図案

I 奇術師 II 女教皇 III 女帝 IV 皇帝 V 教皇 VI 恋人 VII 戦車  VIII 正義 IX 隠者 X 運命の輪 XI 力XII 吊された男  XIII 死神  XIV 節制 XV 悪魔  XVI 塔 XVII 星 XVIII 月 XIX 太陽 XX 審判 XXI 世界 0 愚者
◇タロットの意味と占い方など独自にページを展開 http://koinu.cside.com/ 
pen2.jpg
「ペンギンタロット」http://pentacle.jp/?pid=108373260
◇楽天でもペンギンタロット販売中
https://item.rakuten.co.jp/hrtg/t9521/
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2018年2月11日 (日)

幻のアフリカ

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植民地主義の暴力とそれを告発する私的吐露。客観性を裏切る記述のあり方が、ポストコロニアリズム等の現代的文脈で、科学性の問題の突破口として絶対参照される奇跡の民族誌。改訳決定版。 文庫本で1070ページ以上ある大冊。
アフリカの幻ではなくて、レリスが体験した旅行記録。

 

2018年2月10日 (土)

Rhye

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衝撃のデビュー・アルバムから4年、2017年のフジロック:フィールド・オブ・ヘブンのトリを務め観客を魅了したマイケル・ミロシュ率いるソウルフル・バンド=Rhye(ライ)、待望のセカンド・アルバムをリリース!天性のソングライティング・センスと息を飲む程美しいヴォーカル、卓越した楽曲アレンジが見事に調和し、R&Bに影響を受けたソウルフルで官能的な作品

前作『ウーマン』とは別のもの、もう少しサイケデリックな雰囲気、ソウルフルで素朴な色を出したかったというバンドが“生のパーカション、生のピアノを使って人間が持つ親密さを表現した”という期待作

2018年2月 9日 (金)

新譜紹介

1. Black Label Society / Room of Nightmares
2. Black Label Society / Trampled Down Below

グリメスト・ヒッツ グリメスト・ヒッツ
ブラック・レーベル・ソサイアティ


3. Rhye / Taste
4. Rhye / Please
5. Rhye / Count To Five

ブラッド ブラッド
ライ


6. Camila Cabello / Havana (feat. Young Thug)
7. Camila Cabello / She Loves Control
8. Camila Cabello / Real Friends

Camila [CD, Import] Camila [CD, Import]
Camila Cabello


9. The Style Council / My Ever Changing Moods (1984)

Cafe Bleu [CD, Remastered, Import] Cafe Bleu [CD, Remastered, Import]
ザ・スタイル・カウンシル

10. The Fall / Totally Wired (1980)

Singles 1978 [Box set, CD, Import] Singles 1978 [Box set, CD, Import]
Fall

11. Kendrick Lamar & SZA / All the Stars
12. Kendrick Lamar, Jay Rock, Future, Blake / King's Dead

Black Panther: The Album [Import] Black Panther: The Album [Import]
Weekend SZA Kendrick Lamar

13. Thundercat / Show You the Way (feat. Michael McDonald and Kenny Loggins) (2017)

Drunk [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] Drunk [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤]
サンダーキャット

2018年2月 8日 (木)

プロジェクト「銭湯ぐらし」

若者たちが銭湯の隣にある風呂なしアパートに住みながら、銭湯の活性化策を実践するプロジェクト「銭湯ぐらし」の、舞台となった杉並区の銭湯「小杉湯」であった。
アパートの一室を使った外国人の宿泊利用や、営業開始前の音楽イベントなど集客アップにつながった事例。

アパートの一室をゲストハウスとして無料提供する「銭湯文化に触れられた」。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201801/CK2018013102000119.html

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氷の世界へ

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2018年2月 7日 (水)

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する

「成功ルール」を検証した全米ベストセラー『残酷すぎる成功法則』(飛鳥新社)。
序章「なぜ、『成功する人の条件』を誰もが勘違いしているのか」「このままではダメ」になる理由とは――。

『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』序章を再編集した。
https://news.nifty.com/article/magazine/12179-20180207-24355/

作家ダニエル・コイルは『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄せた記事のなかで、
ロビックがレース・アクロス・アメリカ史上最強ライダーの強みを彼の「狂気」だと分析している。レース中の彼は半泣き状態で、偏執的な神経症に陥り、足元の道路のひび割れにさえ何か意味が隠されていると思い込む。ふいに自転車を投げだしたかと思うと、血走ったまなこで拳を振りかざし、スタッフが乗る後続車に向かってくることもしばしばだ。郵便ポストを相手に殴りかかったこともある。幻覚に襲われるのはしょっちゅうで、あるときは武装したイスラム戦士の一団に追われ続けていた。

実社会で成功を生みだす要素はいったい何なのか
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「いい人は勝てない」のか、それとも「最後はいい人が勝つ」のか?
諦めたら勝者になれないのか、それとも頑固さが仇になるのか?
自信こそが勝利を引き寄せるのか? 自信が妄想に過ぎないのはどんなときか?
仕事量がすべてなのか、ワーク・ライフ・バランスを考えたほうがいいのか?
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成功とは、テレビで華々しく取りあげられるものとは限らない。
パーフェクトであることより、自分の強みをよく知り、それを最大限生かせるような状況に身を置くことが何より重要だ。

エリック・バーカー(Eric Barker)
大人気ブログ“Barking Up The Wrong Tree”の執筆者。脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴をもち、『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』は、初の書き下ろしにして全米ベストセラーに。
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2018年2月 6日 (火)

【ブルーリボン賞の外国作品 受賞結果】

『怪盗グルーのミニオン大脱走』
『SING/シング』
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
『ダンケルク』
『沈黙 -サイレンス-』
『ドリーム』
『美女と野獣』
『ブレードランナー 2049』
『ムーンライト』
『LION/ライオン ~25年目のただいま~』
『ラ・ラ・ランド』

https://www.cinematoday.jp/news/N0097911

https://www.cinematoday.jp/news/N0089196

https://m.cinematoday.jp/news/N0097911?__ct_ref=http%3A%2F%2Fwww.smartnews.com%2F

2018年2月 5日 (月)

寒い季節にアイスクリーム

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2018年2月 4日 (日)

コインよりウドンだ!

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2018年2月 3日 (土)

仮想通貨取引所の監視体制を強化

金融庁は仮想通貨取引所の審査・監視体制を強化する方針を固めた。審査にあたる職員の増員も検討する。

 2日には、約580億円相当の仮想通貨「NEMネム」が流出した仮想通貨取引所大手「コインチェック」(東京都渋谷区)に対し、改正資金決済法に基づく立ち入り検査に着手した。

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 金融庁は2日、改正資金決済法に基づき、コインチェックを除く国内の31社の仮想通貨取引所から、顧客の資産をどのように管理しているか報告を受けた。今後、各取引所からの報告内容を精査し、不備があれば是正を促す方針だ。

 また、コインチェックの事件の影響が拡大していることなどから、仮想通貨取引所に対する審査・監視体制を強化する。取引所が顧客から預かった資産を適切に管理出来ているかどうかきめ細かく審査出来る体制を整える。

【読売新聞】

ビットコイン、2カ月ぶりに9000ドル割れ

 代表的な仮想通貨ビットコインの価格が下げ続けている。
情報サイト、コインデスクによると、2日は朝方にドル建て価格が1ビットコイン=8500ドル台まで下がり、その後も9000ドルを割り込んでいる。9000ドル割れは2017年11月以来、約2カ月ぶり。

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 インドの規制強化の観測が重荷になった。インドのジャイトリー財務相が1日、ビットコインなどの仮想通貨を合法な通貨と認めないと述べたと伝わった。

日本でも金融庁が取引所大手コインチェック(東京・渋谷)に立ち入り検査を実施し、仮想通貨を持つ人の心理を冷やした。価格は17年12月半ばの最高値から半分以下になった。

  httpswww.nikkei.comarticleDGXMZO26460780S8A200C1EAF000n_cid=TPRN0003

【心霊研究会の怪】 海野十三

「宝石」1949(昭和24)年8月号掲載。野十三の死後に雑誌に掲載された怪奇短編。本作品の後編にあたるのは「あの世から便りをする話」です。

    
       その頃の研究

 昭和五年から十年頃まで、わが國で、心靈研究がかなり盛んだつたことがある。
 外國では、その當時も心靈研究が盛んであり、有名なシャーロック・ホームズ探偵の物語をたくさん書いたコーナン・ドイル翁も熱心な研究家であり、その著書もその頃わが國へ渡來し、紹介された。
 アメリカでは、もつと早くから、心靈研究が盛んであつた。そしてそれが詐術であるといふ證明をすることが、通俗科學雜誌の紙面を毎月賑はしてゐた。
 わが國では、むしろドイル翁などの研究に加擔してゐた人が多かつたやうである。たとへば、大本教の幹部として知られてゐた淺野和三郎文學士などは、そのひとりであつた。
 淺野氏は、どつちかといふと、研究に獨自の立場を取つてゐたやうで、いはゆる心靈研究會や招靈會などの經營には、あまり興味を持つてゐないやうに見えた。
 とにかくその頃、心靈研究者が急に殖えた。それは當時の絶望的國情を反映し、信者が日増しに殖えて來たものだと思はれる。
 心靈研究會でやることは、第一に、靈媒を使つての招靈問答であり、第二には、やはり靈媒を使つて招靈し、その心靈にいろいろふしぎなる現象を見せてもらふことだつた。第三には、惡い心靈に取憑かれてゐる患者を治療することであつた。これにも靈媒の力を借りなくてはならなかつた。第四には、自分が靈媒となる修行であつた。まづ、當時の心靈研究會のスペクタルは以上の四つであつた。
 これによつて分るとほり、心靈研究には、靈媒の良否が直接に影響するのであつた。だから、いい靈媒を探し出すこと、靈媒の修行を積ませることが、心靈研究會の重大なる投資的仕事であつた。いい靈媒には、常に爭奪戰がついてつた。いい靈媒はたいへん忙しくなり、席の温まる遑もない位であつた。
 靈媒には婦人が多かつた。そして彼女たちは、地方に於て奇異を演じ、それがだんだん有名になつて來ると、心靈研究會が聞きつけて都會へ引張り出しに來るといふのが普通の順序であつた。
 心靈研究會に興味を持つ人々が、だんだん多く集つて來ると、心靈の科學的考察が盛んとなり、新しい科學の分野にわれこそ先に踏みこむのだといふ篤學の熱心家が現はれ、「心靈電子論」だとか、「心靈四次元論」だとか、「心靈三世説」とかを提唱して體系づけ、心靈の存在に確乎たる裏打ちを施すのであつた。電子論の上つ面だけしか知らない手合は、この論説にころりと參つてしまつて、次には自分がそれを説く立場へ進むのであつた。
 理論の方は、山の芋のやうなもので、いくら捕へようとしても、ぬらぬらして、逃げられてしまふが、心靈實驗の物理化學的説明となると、これはなかなかうまく行かず、實驗の條件がどうのかうのとの爭ひが頻發し、揚句の果は、折角會の方へ半分位引摺りこんだ本格的理學者たちに逃げられてしまつたり、惡い場合は、尻尾をおさへられさうになつたりして、結論本格的學者からは見離されるに至つた。
 石原純博士の如きは、ずゐぶん長期に亙つて熱心に心靈實驗に立合はれた一人である。其他、現存の權威ある博士達で、心靈研究會へ引張だされた人々は少くない。しかし石原博士が一番熱心のやうに見えた。
 石原博士の臨席が、靈媒にとつてだんだん苦痛になつて來たものと見え、しばしば實驗が不成功に陷つた。そればかりか、暗闇の中に於て、心靈が石原博士の横面を毆つて眼鏡を叩き壞したり、同伴の原阿佐緒女史の扇を心靈が引裂くなどの暴行があり、そこで博士はこれ以上の臨席は危險だと悟つて、それつきり出席されなかつた。博士は、生命の危險を感じたから、手を引いたのですと、私に語られたことがある。

   死後の世界

 一體心靈とは何であらうか。
 それは魂のことである。肉體の中に、魂が宿つてゐる。その魂が、肉體の死後、それから拔けだして、次の世界へ行く。
 その魂は、場合によつては元の世界に現はれることもある。
 この魂は、この世に肉體が出來る前からあつた。つまり魂は三世にまたがつて存在するのである。
 心靈研究者は、さう説いてゐる。
 或る一派では、四世にまたがつてゐるといつてゐる。すなはち、前の世、この世、次の世、もう一つ先の世、この四つの世がある。魂はこの四つの世を旅行するものだといふのである。
 芝居などで幽靈が姿をあらはし、恨みを含んだ目で、きつと睨み、細い手首でぐるぐると圓を描き『迷うたわい』と血を吐くやうな聲で訴へる。この幽靈も、肉體をはなれた魂であつて、假りに生前の形を生ある人に見せながら、それに乘つて現世へやつて來る。
 心靈研究者たちは、そのやうな幽靈は、インチキ心靈であると排斥してゐる。
 未來の世、すなはち死後の世界から、現世へ戻つて來て、現世の人と、言葉を交はす心靈は、普通は靈媒の力を借りなければならない。普通はと制限を附したが、靈媒なしに、現世へ現はれる心靈は、いはゆる守護靈といふ修行を積んだ心靈に限るのである。
 人間が死ぬと、肉體は亡ぶが、心靈は殘る。その心靈は、いはゆる死後の世界へはいる。
 死後の世界へはいつた心靈は、その世界では新參者であるが故に、あたかも現世に於ける嬰兒の如く、甚だたよりない存在である。
 普通の場合は、死んだことすら自覺してゐない。そして死の直前に感じた苦しみの中に依然として浮き沈みしてゐる。胃病で死んだ者ならば、「胃が痛い痛い」と叫びつづけてゐるし、肺病で死んだ者ならば「呼吸ができない、苦しい苦しい」と叫びつづけてゐる。
 これは靈媒の力を借りて、その心靈を靈媒の肉體に一時宿らせると、そのことがはつきりする。つまり、靈媒の肉體へ、亡靈を招きよせるのである。招靈するのだ。
 これを行ふには、靈媒を無我の境に陷し入れるもう一人の術者が要るのが普通である。しかしその靈媒が修行を積んだ人ならば、自分で無我の境に入つて行くから、術者は要らない。
 靈媒が無我の境に入ると呻り聲を發する。すると傍についてゐる心靈研究會側の主が、『心靈が出ましたから、話をしてごらんなさい』といふ。尚、『この樣子では、この方は、まだ御自分が死んだことを自覺してゐませんな』と、言葉を繼ぐ。
 そこでこつちから、靈媒へ聲をかける。すると靈媒が返事をする。『ああ、誰ですか。苦しい苦しい。ここが痛い』などと身體をひねつて苦痛の色を示す。
『ああ、氣の毒に。この方は肺病で亡くなられたな』と主事が言ひあてる。そして『早く聲をかけてあげなさい。あなたはもう死んでゐるのですぞと教へておやりなさい』と助言する。
 そこでこつちは、恐る恐るそのことを告げる。すると靈媒に現はれた心靈は、強くそれを否定する。それから雙方で押問答をくりかへしてゐるうちに、心靈は、はじめて自分の肉體がないことに氣がつく。そこで心靈は、はげしく歎き悲しむ。
 死をやうやく自覺した心靈を慰めるために、かなり骨が折れる。こつちはいい加減にくたくたとなる。
 が、とど心靈は諦めの境地に達し、生前の好意を感謝したり、現在居る世界の樣子をぼつぼつと語り出す。
 普通第一囘の招靈では、その心靈は、ほとんど闇の空間に置かれてゐると告げる。それが第二囘目になると、夕暮ぐらゐの明るさになり、第三囘第四囘と、囘を重ねるごとに、その心靈の環境はだんだんと明るさを増して行く。
 何十囘に及んだ後は、曇り日ぐらゐの明るさになつたと告げる。そしてあたりの風物について語つてくれる。
 あたりは廣々とした野原であること。花は咲いてゐないが、自分が花が見たいと思ふと、その直後にこの野原に美しく花が咲き出でると告げる。机が欲しいと思ふと、野原に忽然と机が出て來る。なんでも欲しいものは、自由に出て來るのださうである。
 だが、その心靈は孤獨を告げる。野原に、自分ひとりで生活してゐるのださうである。ただ、いつだか老人の神主さんのやうな人が遠くを歩いてゐるのを見かけたといふ。心靈研究會の主事は、『その神主姿の人こそ、守護靈さんですよ』と、あとで解説してくれる。
 それから日が立つと、死因をなした病氣の痛みはとれる。それがとれると、こんどは集團生活にはいる。
 はじめは、同じ頃死んだ同性の者だけの集りである。そして知人は一人も見つからないので心細い。しかし孤獨で暮してゐたときよりは賑やかである。
 一同は、守護靈さんを師として、毎日修行を重ねていくのである。それはなかなか面倒なことであり、娑婆のやうにいい加減で放つておくことは許されないので、骨が折れるさうである。
 やがて試驗の日が來る。この試驗に合格すると、階段が一つ上る。そしていよいよ修行の内容がむづかしくなる。その代り自分の教へ子が成人が出來るし、その世界に於て、行動の自由が少しづつ附與される。
 さうなると、心靈は、その世界を方々見物したり、また自分よりも先に死んで、ここへ來てゐるはずの親類縁者や友人たちを探しまはつて出會ふこともある。
 それから先は、ますます修行を積み、やがて守護靈さんにまで昇格するのを目標として勵むのである。守護靈さんになるには、普通の心靈では、早くても四百年はかかるさうである。
 守護靈さんになると、かずかずの技能が與へられる。一分間に千里を飛ぶことができたり、娑婆へ自由に日がへり旅行が出來たりする。そして守護靈さんだけの第四世へ入籍することが出來、そこでも修行と、後から來る若い心靈たちへの世話の成果によつて、大守護靈となる出世の途がある。そして天下のことは自分の心次第で、どうにもなるといふ大能力者になる。これが心靈の『上り』である。

   自殺した友人のこと

 呼び出した心靈と話をしてゐると、はじめは違つた人の心靈が出て來たやうに思つてゐた者も、だんだんにその本人の心靈に間違ひないやうに思つて來る。
 その心靈に、『こつちの娑婆の世界が見えるか』また『こつちの顏が見えるか』と質問すると、心靈は次のやうに答へる。
『あなたがたの住んでゐる世界を見たいと思ふが、よく見えません。それは雨戸の僅かの隙間から、うす暗い夜の外景を見るやうなもので、視野は狹く、その上にはつきり見えないのです。しかしあなたのお聲はよく聞えます。修行を積むと、娑婆の世界がもつと明るく見えるのださうですから、修行をはげみませう』
 死後の世界の有樣を、こんな風に心靈は傳へる。そして靈の修行は、死後の世界へ來て始めて意味と效驗を生じ、未來の榮達が約束される。娑婆でいくら修行してみても、それは砂で塔を建てるやうなもので、何にもならない。娑婆は、單に幻想の世界に過ぎない。
 かういふことを心靈は述べるので、それを信じて自ら生命を縮め、自殺によつて死後の世界へ出發した私の友人がある。彼は勝れた技術者であつたが、心靈研究に凝り出し、本當に價値ある世界――すなはち死後の世界のことだが、そこへ早く乘りこんで、心靈科學を確立させるのが賢明であると氣がつき、そこで自らの生命を斷つたのである。そして私たち友人にも遺言して、一日も早く自分と同じ氣持となり、次の世界へ突入することを諄々として薦めてあつた。
 彼の場合、死後の世界へ引きつける重大な力が、その外にもあつた。それは彼の妻君が既に死んでゐたのである。娑婆には彼と、女兒とが殘つてゐた。彼はたいへんな愛妻家であつて、妻君に死に別れてからも、短歌や詩に託して妻君を想い偲ぶのであつた。この妻君の心靈を彼は呼び出したのである。
 これが彼に大きな歡喜を與へた。靈媒の肉體を通じて話しかけて來る相手は、たしかに亡妻の心靈に違ひなかつた。別の言葉でいふと、それが彼は亡妻の心靈に違ひないと思つたのである。
 彼は自決するまでに、七十數囘もその心靈研究會へ通つて、亡妻の心靈と語り合つてゐる。彼は、有能な技術者であり、その方面では勝れた研究を發表し、工場を經營し、多數の工場の顧問として活躍してゐた人物だつた。それほどの彼であるから、靈媒を通じて出て來る心靈が、果して合理的なる亡妻心靈と認めることが出來るかどうかについて、注意を怠らないでゐた。
 殊に友人たちから、『それは靈媒と稱する女が讀心術を心得てゐて、巧みに話の辻褄を合はせてゐるのだよ。しつかりしろ』などといふ抗議に對して、彼はさうでないことを證明してみせた。
『讀心術でない證據がある。この前、僕の全く知らない事實を、妻は私に語つた。生前のことであるが、僕には内緒で、妻の妹にルビーの指環を買つてあたへたといふ話が出たのだ。そこで僕は、親類へ立寄つて、そんな事實があるかどうかを尋ねた。すると、確かにその事實があつたことが分つた。但しルビーではなくてサファイァだつたがね。しかしこれ位の些細な喰ひ違ひは、心靈實驗にはよく起る普通のことなのだ。とにかく靈媒が讀心術を使つてゐるものとすれば、この指環の件なんかは、僕の記憶にない知らない事實なんだから、靈媒が話に持ち出すわけはないんだがね』
 かういふことが、彼を心靈研究に深入りさせる一つの階程になつたことは明白だ。それ以後は、彼はますます熱心に心靈研究會へ通ふやうになつた。
 彼の亡妻の心靈が乘り移る靈媒は、當時靈媒として最高の評判のある人だつた。その人は中年の婦人で、やや肥滿し、青白い艷々とした皮膚を持つてゐた。家は近畿地方に在り、暮しはいいところの有夫の婦人であつたが、出張の日がかなり多くて、郷里には殆んど居ないやうであつた。
 この靈媒女は、始めの頃は、夜間に限り招靈實驗を引受けた。部屋は電燈を消し、うす赤いネオン燈一個の光の中で、實驗をした。指導者の手を借りてでないと、彼女は無我の境に入ることが出來なかつた。
 右に述べた愛妻家の友人は七十何囘もこの靈媒女を通じて亡妻と語り合つたが、その後半に至つては、靈媒女は指導者を必要とせず自分で無我の境にはいれた。從つて第三者たる指導者も不用で、靈媒と例の友人の二人だけが對座して、綿々たる夜語りに時間を送つたのである。
 その友人は、にこやかな顏を私に向けて、語つた。
『僕と亡妻の對談時間は一時間以上かかるのでね、主事は一番後につてくれといふ。だから始まるのは、いつも夜の十時頃になる。二階の部屋には、靈媒と僕の二人だけだ。ほんとに心おきなく、しんみりと樂しい對談が出來るのだ。妻はいろいろと思ひ出して、喜んだり懷しがつたり泣いたりする。僕は今幸福だよ』
 私は質問した。
『そんな甘つたるい話を續けて、靈媒さんに恥かしくないのかい』
 すると彼は應へた。
『靈媒が居るなんて、そんな意識はないよ。亡妻と僕と二人切りの世界なんだ。二人がどんな甘つたるい話をしようと、氣がねは全くないんだ。だから妻も、昂奮してくると、僕の方へ凭れかかつて來るよ』
『それはたいへんだね。靈媒が倒れて、目をさましやしないかい』
『手をしつかり握り合つてゐるから、そんな心配はない』
『ふーン、それはどうも』
 私は、靈媒と手を握り合つて語らふなどといふ心靈實驗があることを、この時始めて耳にしたので愕いた。
 それにしても、この友人の代りに、私がさういふ状況でもつて、脂ぎつた女の靈媒と喋々喃々の時間を、他に人氣のない夜の部屋で續けてゐたら、俗人らしい間違ひをしでかしたかも知れないと思ふ。
 とにかく、その友人は、やがて自殺した。自殺するよ、と彼は私たちに豫告してゐた。しかしそれはにこにこと冗談めいて語られるので、誰も本當にしなかつた。
 もしもその時、もつと深く友人の家庭の事情や、心靈研究會や靈媒との關係を深く知つてゐたら、私たちは彼の計畫が本物だといふことを知つて、警戒したことであらうが、そこは手ぬかりがあつた。
 自殺する少し前、彼はいつもより少し落着かない態度で、私たちに言つたことがある。
『妻がね、あなたはなぜ早くこつちの世へ來て下さらないんですと、恨めしさうにいふんだ。妻は、今では僕を一刻もそばから離したくないらしい。折角心靈を呼び出して、妻を救つたつもりだつたが、今は反つて妻を煩惱に追ひやることとなつた。僕は責任を感ずるよ』
 彼が自殺したとき、亡妻の忘れがたみの女兒を道伴れにした。私たちは、その自殺の場所である千葉縣の某海岸へ赴いて、哀れな親子心中の有樣を見た。
 悼しいのは、その女兒が、小兒麻痺症であつて、學齡期を相當過ぎてゐるのに登校をさせることも出來ず、親類中で同情してゐたといふことを、其の時始めて知つた。私たちには、さうは語られず、七歳の女兒が居るのみ知らされてゐた。
 彼が死んで、新聞にも大きく記事が出、もちろん心靈研究會へも傳はつた。私たちは、その後、その會へ行つてみた。
 そのとき、靈媒にも會つたが、彼女はたいへん狼狽して、
『私は、實驗が終つてから、あの方に、いくども御注意したんです。どうかお間違ひをなさらないやうに。亡くなつた奧さんがどんなことを仰有らうと、あなたは自殺なんかなすつてはいけませんよと、懇々と御注意しておいたんですがね』と、殘念がつた。
 會の主事は主事で、澁い顏を振りながら、『どうもわしたちの見てゐたところでは、あの方は少し深入りしすぎて居られるやうぢや、間違ひがなければいいがなと、心配してゐたところへ、こんどの事件です。おどろきました』と、述懷した。
 友人の遺書には、『いづれ次の世界へ行つたら、心靈科學を確立し、君たちに對して通信を行ふから、待つてゐるやうに』といふことであつた。だが、彼の死後、もう十五年以上の歳月が流れたが、今もつて彼からの靈界通信に接しない。
 近來、心靈研究が又盛んになつて來たといふ話を聞く。今度流行りだしたものは、私が先に經驗したものとは、又色合の變つたものであらうと思ふ。
 私のやうな淺學菲才な者には、果して心靈が存在するのやら、靈媒が本物かインチキか、そのいづれか分らない。しかし本物の靈媒も時には商賣氣が出て尻尾を出したり、俗人に戻つたりするのではなからうかと思ふ。
 また心靈の見せる物理化學的實驗は、決つて暗室でやることになつて居り、實驗のお膳立も心靈又は靈媒の側のみで要求するが、これは本當に證しを立てるつもりなら、白晝の實驗にしなくてはならず、實驗のお膳立も理化學者に委せるのがよろしく、さうでなくては本格的の心靈實驗は確立するものではないと思ふ。これらの點が、石原純博士や、現存の某博士たちに心靈研究會から手を引かせた根本的原因である。
 新しい心靈研究は、どの方向へ行く。どんな形でお目見得するか。興味は依然として存在するのだ。

―― 完 ―

《海野十三メモリアル・ブック》没後五十年追悼特別出版. 著者:, 佐野英 [ほか] 監修. 海野十三の会 編著

http://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card43668.html

海野十三:日本におけるSFの始祖となった小説家。本名は佐野昌一。徳島市の医家に生まれ、早稲田大学理工科で電気工学を専攻。逓信省電気試験所に勤務するかたわら、1928(昭和3)年、「新青年」に『電気風呂の怪死事件』と名付けた探偵小説を発表して小説家としてデビュー。以降、探偵小説、科学小説、加えて少年小説にも数多くの作品を残した。太平洋戦争中、軍事科学小説を量産し、海軍報道班員として従軍した海野は、敗戦に大きな衝撃を受ける。敗戦翌年の1946(昭和21)年2月、盟友小栗虫太郎の死が追い打ちをかけ、海野は戦後を失意の内に過ごす。筆名の読みは、「うんのじゅうざ」、「うんのじゅうぞう」の二通りが流布している。丘丘十郎(おか・きゅうじゅうろう)名でも作品を残し、本名では電気関係の解説書を執筆している。

2018年2月 2日 (金)

新譜紹介

1. Starcrawler / I love LA
2. Starcrawler / Let Her Be

Starcrawler [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] Starcrawler [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤]
スタークローラー


3. The Go! Team / Mayday
4. The Go! Team / Chain Link Fence

SEMICIRCLE [CD, Import] SEMICIRCLE [CD, Import]
ゴー・チーム


5. SZA / Supermodel
6. SZA / Drew Barrymore
7. SZA / Anything
8. SZA / 20 Something

Ctrl [CD, Import] Ctrl [CD, Import]
SZA


9. Nothing But Thieves / Ban All the Music (2015)

Nothing But Thieves [CD, Import] Nothing But Thieves [CD, Import]
ナッシング・バット・シーヴス

10. The Cranberries / Linger (1993)

Everybody Else Is Doing It So Why Can Everybody Else Is Doing It So Why Can't We [Import]
クランベリーズ

11. Fatboy Slim / Praise You (The Kite String Tangle Remix) (2018)

Fatboy Slim VS Australia [Import, Maxi] Fatboy Slim VS Australia [Import, Maxi]
Fatboy Slim

12. Thundercat / Show You the Way (feat. Michael McDonald and Kenny Loggins) (2017)

Drunk [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] Drunk [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤]
サンダーキャット

2018年2月 1日 (木)

ロボットカフェ店舗【変なカフェ(H.I.S.渋谷本店)】

 旅行にはイベント的な要素があると考えています。旅の計画をワクワクしながら立てていただく際に、美味しいコーヒーをよりリーズナブルにお楽しみいただくのにも、エンターテインメント性を大切にしたいとの思いから、H.I.S.店舗内に併設するに至りました。

[画像1: https://prtimes.jp/i/5110/519/resize/d5110-519-820272-0.jpg ]

[画像2: https://prtimes.jp/i/5110/519/resize/d5110-519-864408-1.jpg ]

 「変なカフェ」とは、協働ロボット(※1)が本格ドリップコーヒーの提供を行う、ロボットカフェ店舗となります。「変なカフェ」では、ロボットを導入することで、人による少しのサポートで、カフェの運営が可能となりました。提供メニューは7種類、一杯あたりを提供するのに必要な時間は、本格ドリップコーヒーがおよそ3~4分、それ以外のメニューでおよそ2~3分となります。
 使用ロボットは、米国Rethink Robotics社が開発・生産する、単腕型・高性能協働ロボット「Sawyer(ソーヤー)」と、同時に複数杯のドリップコーヒーを淹れられるバリスタマシンの「Poursteady(ポアステディ)」の2台です。本格ドリップコーヒーを淹れるロボットは、現在日本でここでしか実稼動しておらず、唯一の商業利用となります。
 また、本格ドリップコーヒーで使用するコーヒーの豆は、パートナーズコーヒーという生産者の顔が見える農園指定のコーヒー豆のみを使用。ブラジル、グアテマラ、エチオピアの豆を最適な割合でブレンド2段階の焙煎でしっかりとした味で提供いたします。エスプレッソコーヒーは、ブラジル、コロンビア、インドネシアの豆をブレンドし、一回の焙煎で程よい苦味と深いコクが特徴となっております。
(※1)協働ロボットとは、人との共同作業を可能としたロボットのこと。

【本格ドリップコーヒー提供の流れ一例】」
1.発売機にて、好きなメニューを選んで購入する
2.バーコード付きのチケットをバーコードリーダーにかざす
3.「Sawyer」がコーヒーカップをバリスタマシンの「Poursteady」に移す
4.「Sawyer」が金属フィルタを持ち、コーヒー豆を削って金属フィルタへ入れる
5.「Sawyer」がバリスタマシン「Poursteady(ポアステディ)」のボタンを押しコーヒーを淹れる
6.「Sawyer」が受取カウンターへコーヒーを移し、お客様に出来上がりをお知らせする。
7.「Sawyer」が金属フィルタの中に入っているコーヒー豆を捨て、洗浄を行い元の場所に戻す

【メニュー】(※全て税込み価格・サイズはMサイズ)
・本格ドリップコーヒー 320円・アメリカーノ 290円・カフェラテ 380円・カプチーノ 380円
・ココア 380円・カフェモカ 410円・抹茶ラテ 410円

【変なカフェ(H.I.S.渋谷本店)】 URL: http://hennacafe.jp/hennacafe/
住所:〒150-0041 東京都渋谷区神南1-21-3 渋谷モディB1F
営業時間:11:00~21:00(ラストオーダー20:30)

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羽衣ストーブ館

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    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
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    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。