« 『親切な機械』三島由紀夫 | トップページ | 「ある探偵事件」寺田寅彦 »

2020年7月26日 (日)

「おやしらず」秋山清

おやしらず  秋山清


夜がしらしらにあけると 

ここは越後の国おやしらず。 

汽車は海にせまる山壁に息はきかけて走り 

人のいない崖下の海岸に 

しろい波がくだけている。 

あとからあとからとよせてきて 

くだけている。 

なんというさびしげな名前だろう、 

「親しらず」とは。 

がらす窓に 

ちいさな雨となってふる霧は 

日本海のそらと海とをおおい 

茫として沖がみえぬ。



秋山清 

19041988 大正-昭和時代の詩人。明治37420日生まれ。大正13年「詩戦行」を創刊,「弾道」「詩行動」などアナーキズム系の詩誌にかかわる。戦後,金子光晴らと「コスモス」を創刊した。昭和631114日死去。84歳。福岡県出身。日大中退。別名に局(つぼね)清。著作に詩集「象のはなし」「秋山清詩集」,評論集「日本の反逆思想」など。

« 『親切な機械』三島由紀夫 | トップページ | 「ある探偵事件」寺田寅彦 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ

燐寸図案

  • 実用燐寸
    実用燐寸レッテルには様々な図案があります。 ここにはコレクション300種類以上の中から、抜粋して100種類ほど公開する予定。 主に明治、大正、昭和初期時代の燐寸レッテルの図案。

ペンギンタロットの原画

  • 0の愚者から21の宇宙(世界)まででひとつの話が結ばれる
    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。

最近のトラックバック

フォト