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2021年12月30日 (木)

俵万智の第6歌集「未来のサイズ」

著者による「あとがき」より

 短歌は、日々の心の揺れから生まれる。どんなに小さくても「あっ」と心が揺れたとき、立ちどまって味わいなおす。その時間は、とても豊かだ。歌を詠むとは、日常を丁寧に生きることなのだと感じる。


「ほめ言葉たくさん持っている人と素顔で並ぶ朝のベランダ」


「子らは今その挨拶の意味を知る命「いただきます」ということ」


「長椅子に寝て新聞を読みおれば父が私を「母さん」と呼ぶ」


「誰だって何かで死ぬと思えども死よりも病を恐れる心」


「プレミアムモルツ飲みたくなるような病名を聞く初夏の病院」


「昼食のカレーうどんをすすりつつ「晩メシ何?」と聞く高校生」


「いきいきと息子は短歌詠んでおりたとえおかんが俵万智でも」


「自らは食べずひたすら振る舞えり料理上手な君の人生」


「べらぼうにウマいと言われ丁寧にダシのとりがいある男なり」


「すれ違うことに不慣れな生き物となりてスマホという命綱」


俵万智「未来のサイズ」(2020.9)より


この歌集では「蛇笏賞」と「迢空賞」を受賞されてる。「コロナ禍を経るなかで、より確かなものになったと思う。この歌集を作る、届ける、読む、選ぶ……関わってくださった全ての人に、ありがとうございます。」


【俵万智】1962(昭和37)年大阪府生まれ。歌人。早稲田大学第一文学部卒業。学生時代に、佐佐木幸綱氏の影響を受け、短歌を始める。1986年に角川短歌賞、1988年に現代歌人協会賞を受賞。『サラダ記念日』『プーさんの鼻』『考える短歌』など、歌集・著書多数。

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