<朗読特集> 向田邦子「思い出トランプ」
没後40年になる向田邦子さん、なにげない日常のヒトコマを鮮やかに捉えた独特の感性は今も人々をひきつけ、手がけた作品は変わらぬ人気を誇っている。
向田邦子さんは1978年に脚本家として脚光を浴びていた49歳の時に初のエッセイ集「父の詫び状」を刊行。2年後の1980年、雑誌で連載中の連作短編小説「思い出トランプ」の中の「かわうそ」「犬小屋」「花の名前」で直木賞を受賞。社会的な評価も得て、その活躍がさらに華やかな色合いを見せ始めた翌年8月22日に、飛行機事故で突然この世を去る。51歳であった。
年末年始の「朗読特集」では、直木賞受賞作を含む短編集「思い出トランプ」を朗読放送。連作について「スペード・ハート・ダイヤ・クラブ、4種類のトランプカードには人生のエッセンスが入っている。それぞれの小説には主人公の過去が一枚どこかに重要なモチーフとして紛れ込んでいればいいと思った」と言う。
「思い出トランプ」に描かれた13通りの家庭と日常、それらの物語には、不意に紛れ込んできた過去の記憶によって揺れ動く家族の姿がある。年末年始の節目を、家庭の在り方や、夫婦・親子の関係について考える大切なひとときを。
【新作】向田邦子「思い出トランプ」朗読 : 青木裕子(元NHKアナウンサー)テキスト:「思い出トランプ」新潮文庫 令和3年(2021年)
【NHKラジオ第2】12月31日(金)午後7時30分~午後9時 「かわうそ」「だらだら坂」「三枚肉」
1月1日(土)午後7時30分~午後9時 「犬小屋」「はめ殺し窓」「耳」「りんごの皮」
1月2日(日)午後8時~午後9時 「男眉」「マンハッタン」
1月3日(月)午後7時30分~午後9時 「大根の月」「酸っぱい家族」「花の名前」「ダウト」
【らじる視聴あります。】
<向田邦子>昭和4年(1929年)東京生まれ。実践女子専門学校(現在の実践女子大学)を卒業後、映画雑誌の編集者を経て脚本家となり、「阿修羅のごとく」「あ・うん」「寺内貫太郎一家」「時間ですよ」など多くの人気テレビドラマを手掛けた。昭和53年(1978年)49歳の時に、自身の家庭についてユーモアを交えて綴った初のエッセイ集「父の詫び状」を刊行。昭和55年(1980年)、連作短編小説「思い出トランプ」の雑誌連載を始めてまもなく、連作のうち「かわうそ」「犬小屋」「花の名前」で直木賞を受賞。まさに絶頂期の昭和56年(1981年)8月22日、台湾での取材旅行中に飛行機事故で急逝。
代表作は「思い出トランプ」、「父の詫び状」、「あ・うん」、「男どき女どき」、「霊長類ヒト科動物図鑑」など。
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