山本周五郎「寝ぼけ署長」ラジオ朗読(全40回)
2021年11月29日(月)~2022年1月21日(金)NHK放送
山本周五郎「寝ぼけ署長」
常に庶民の立場から江戸武士の苦衷や市井人の人生の哀感を描き、時代物、歴史物で知られた山本周五郎。
晩年にも高い評価を得た多くの傑作を書いているが、今回はそんな山本周五郎の作品の中から、戦後すぐに書かれた現代物の代表作ともいえる「寝ぼけ署長」を40回にわたって朗読する。
「寝ぼけ署長」は、終戦直後の1946年(昭和21年)12月から翌々年にかけ全10話にわたって雑誌「新青年」に発表された周五郎唯一の警察小説である。今回はそのうち7話を朗読する。
とある地方に赴任した警察署長・五道三省(ごどうさんしょう)は、ずんぐりむっくりの独身男。居眠りばかりしているので「寝ぼけ署長」というあだ名がつく。だがひとたび起きた事件に向き合うと事件の背景、裏面心理を見抜き、署長自ら次々と事件を捜査解決してゆく。警察モノの展開構成になっているが、常に庶民や弱者に寄り添いながら真実を導き出そうという姿勢は、周五郎が生涯持ち続けた人間愛、人情味あふれる文学表現となっている。
【新作】山本周五郎「寝ぼけ署長」(全40回)
テキスト:「寝ぼけ署長」新潮文庫・初版1981年(昭和56年)の2019年新版
朗 読 :中原丈雄(俳優)
【らじる☆らじる】でいつでも何回でも ↓
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=0971_01
『中央銀行三十万円紛失事件』全5回
紛失金について、署長は支店長に、『金が欲しいか、犯人が欲しいか』と問う。
『海南氏恐喝事件』全6回
娘恋しさに義父はその恋人を抹殺しようと計る。
『一粒の真珠』全5回
仲違いした父親と子供達、その息子と娘は金策のために使用人に罪を着せる過ちを犯す。
『新生座事件』全6回
財政窮地の劇団の地方公演、上演中事件が起きるとの情報が客を呼び、かえって大成功とはなるが…。
『夜毎十二時』全6回
資産家の老夫、その若妻と密かに愛し合う男、企む甥、老夫の死の原因は? 事件の真相は意外なところに。
『我が歌終る』全7回
子爵は自殺か、他殺か? 署長は、過去の栄華の影に隠された孤独な愛の姿を見抜く。
『最後の挨拶』全5回
時計職人は、13個のそれぞれ違う時刻表示の懐中時計を残して失踪するが…。
<山本周五郎>
1903年(明治36年)山梨県生まれ、本名清水三十六(さとむ)。「三十六」は、明治36年生まれに由来するといわれる。その後、東京を経て横浜に転居。横浜の西前尋常小学校の時、担任から「作家を志せ」といわれる。
卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店で住み込みの徒弟として働きながら、店の理解も得て勉学にも励んだ。
1926年(大正15年)4月「須磨寺附近」が「文藝春秋」に掲載され文壇出世作となった。
1943年(昭和18年)上期の直木賞に推されたが受賞を固辞。
1958年(昭和33年)大作「樅ノ木は残った」を完成。その後、同年「赤ひげ診療譚」、1960年(昭和35年)「青べか物語」など、次々と代表作を著した。
横浜に仕事場を設け、晩年まで創作に励んだが、1967年(昭和42年)心臓病で亡くなった。享年64(満63歳)
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