中山という男がいた
十代の頃に県立の工業高校に通っていたことがあった。市内から来てる自分とは違い、さまざまなな市外から通学する者たちと朝から午後まで過ごす。それは町内から集まった中学校とは明らかに違う人種たちと過ごす毎日だった。
なかでも体育会系で頭が細やかに働かない、中山という厄介だった男がいた。感情を強く打ち出した方が、勝ちという間違えた生き方をしていた。
或る日の休み時間に、突然に後頭部が激しく殴られた。あまりの痛さに振り返ると、彼か拳を掲げていた。
「親にも後頭部を叩かれたことないのに」
驚愕した自分は、余程に彼の心情に対して憤りを及ぼしたことを考えた。
しかし今迄にない痛みの浸透で、深く相手側から思うことを阻まれてしまった。
理由を語らずに、いきなり暴力を背後からするとは卑怯だろう。
仕事柄で暴力を振う場面を設定する時に、言葉が不器用だった彼のことを思い出して展開が予定調和にならないように考える。
成人してから会うこともなく、今もあのように生きているのだろうか。
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