長編剣豪小説『月影兵庫』シリーズ・南條範夫 (光文社文庫)
『月影兵庫 上段霞切り』南條範夫 (光文社文庫)
格式ばった生活を嫌い、気ままな素浪人をつづける月影兵庫。義理の伯父・松平伊豆守信明の屋敷から消えた京洛随一の美女・綾姫の行方を追って東海道の冒険道中へ……。
時代小説に本格的推理を織り込んだ傑作長編。
側室50数人という将軍家斉の人身御供に選ばれた綾姫は、輿入れを前に逃げ出してしまった。老中でもある叔父に月影兵庫は頼まれて、姫君をつれもどす役を仰せ付けられる。
月影はこれを機に旅ができると、江戸から京への気ままな漫遊の旅立ちとなる。いろいろな事件に関わって、道草を喰ってしまあのだった。
綾姫に叔父の政敵が手を貸したのもあって、追っ手は兵庫を含めて4人、姫君の顔を確認するのに同行した奥女中の桔梗は、後に兵庫の妻になる。旅の途中で色年増が加わって、桔梗をやきもきさせる珍道中。
月影兵庫は直参旗本(二千石)月影吉左衛門の次男坊で、身体は大柄な五尺七寸、流派は十剣無統流。その他にも薙刀、槍、柔術、捕縄術、早駆け術などこなして滅法強い。得意なのは上段霞斬り、相手の首を一瞬にして斬り落とす、愛刀は越前守助広で良く斬れる。好奇心と正義感が強くて、いろんな事件に首を突っ込んでいく性分があり、女には良くモテる。昭和の気楽な時代劇ドラマを楽しむような手軽な小説である。他にも短編集を含めて月影兵庫シリーズは全6冊。
初出=『週刊東京』1958年7~12月連載
初刊=1959年2月『月影兵庫聞書抄 上段霞切りの巻』(東京文藝社)
『月影兵庫極意飛竜剣』南條範夫(光文社時代小説文庫)
老中松平信明の嫡子信安が惨殺された。木挽町の下屋敷で兵庫を待っているところを襲われたのだ。犯人の追及に乗り出した兵庫は、片腕の男が事件の鍵を握っていることを知る。秘剣颯爽、シリーズ第二弾!(『片腕の男』改題)
『月影兵庫独り旅』南條範夫(光文社時代小説文庫)
惚れた女と一緒になって、道場を開いた兵庫。だが、恋女房の桔梗は流産し、あっけなく死んでしまう。
無常を感じた兵庫は、道場をたたんで飄然と旅に出た。そこで待ち受けるものは…?
剣と愛欲の道中記。シリーズ第三弾!
【南條範夫】
1908年11月14日 – 2004年10月30日。
東京銀座に生まれる。東京帝国大学法学部卒業。
1953年、『子守の殿』で第1回オール讀物新人杯受賞。
1956年、『燈台鬼』で直木賞受賞。
1975年、紫綬褒章受章
1982年、『細香日記』で吉川英治文学賞受賞。
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