特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造
上野の森美術館
【公式HP】 https://kyoryu-zukan.jp/
“恐竜”と聞けばそのイメージをすぐに思い浮かべることができます。しかし、既に恐竜は絶滅してしまい、誰も生きている姿を見たことはないはずです。
恐竜が“発見”されたのは19世紀のこと。それ以降、化石などの痕跡から人々は想像をふくらませ、絵画などの手段によって太古の巨大生物の姿を創造してきました。そしてその姿は、研究の進化とともに目まぐるしい変遷を遂げてきました。
たとえばイグアノドン。19世紀の“発見”当初は、四つんばいで鼻の上にツノが生えた姿だと考えられてきました(ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ《爬虫綱―地球史上第二紀に生息していたディノサウリアすなわち巨大トカゲ》)。しかしベルギーで全身骨格が発見されたことをきっかけに、ゴジラのような仁王立ちに(ズデニェク・ブリアン《イグアノドン・ベルニサルテンシス》)。鼻の上にあったツノは、親指のスパイクになります。さらに20世紀後半に「恐竜ルネッサンス」が起こると、尾をあげて前傾姿勢のすばしこそうな姿となりました(徳川広和《イグアノドン》)。
また堂々たる仁王立ちのニーヴ・パーカー《ティラノサウルス・レックス》は昭和世代には懐かしいですが、令和っ子がこの作品を見ると「なんか変!」。世代によって思い描く姿が違うのも面白いです。
同時期には同じ東京・上野の国立科学博物館で「恐竜博2023」も開催されています。今年の初夏は上野で恐竜ざんまいはいかがでしょうか。
特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」
【会期】5月31日(水)~7月22日(土)
【会場】上野の森美術館(東京・上野公園)
【主催】産経新聞社、フジテレビジョン、上野の森美術館
【公式HP】 https://kyoryu-zukan.jp/
恐竜展といえば化石の展示が主役ですが、本展は恐竜など古代生物を描いた「パレオアート」の世界に着目した異色の展覧会です。19世紀の恐竜“発見”以降、人々は化石などの痕跡から想像をふくらませ、絵画を主な手段として太古の世界の住人たちの姿を創造してきました。
19世紀の奇妙な復元図から、20世紀に活躍した恐竜画の2大巨匠チャールズ・R・ナイトやズデニェク・ブリアンらによる記念碑的作品、漫画・玩具などのサブカルチャーからファインアート、さらには現代恐竜画の旗手たちによる近年の研究に基づくパレオアートまで、世界各国から約150もの貴重な作品が集結。かつて人々が抱いてきた恐竜などの古代生物に対するイメージの歴史をたどります。絵のなかに無限に広がる、失われた世界への想像の旅。
チャールズ・R・ナイトは19世紀末から20世紀前半にアメリカで活躍しました。もともと野生動物画家だったナイトは、生物学的知見に基づき、恐竜をいきいきとした姿で描き現代に蘇らせ、それらの作品はコナン・ドイルの小説『失われた世界』の挿画として使用されたほか、映画「キング・コング」などにも影響を与えました。ステゴサウルスと肉食恐竜の対決を描いた≪白亜紀-モンタナ≫や鈍重なイメージだった恐竜を躍動感あふれる姿でとらえた≪ドリプトサウルス(飛び跳ねるラエラプス)≫は恐竜画における記念碑的作品です。ズデニェク・ブリアンは20世紀中盤から後半にかけてチェコで活動。東欧圏という化石を直接研究する機会が限られた環境にありながら、ヨーロッパ美術のリアリズムの伝統を踏まえた彼の作品は、強い説得力を持つものとして国際的に高く評価されました。
パレオアートの2大巨匠である彼らの作品は、日本の図鑑などにも模写されて、恐竜イメージの普及に大きな影響を与えました。かつての少年少女が胸おどらせ夢中で読んだ恐竜図鑑―そこに描かれた憧れの恐竜画のオリジナルが、本展で一堂に会します。
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