無料ブログはココログ

燐寸図案

  • 実用燐寸
    実用燐寸レッテルには様々な図案があります。 ここにはコレクション300種類以上の中から、抜粋して100種類ほど公開する予定。 主に明治、大正、昭和初期時代の燐寸レッテルの図案。

ペンギンタロットの原画

  • 0の愚者から21の宇宙(世界)まででひとつの話が結ばれる
    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。
フォト

« 十津川警部シリーズ8 伊豆海岸殺人ルート | トップページ | 夏樹静子サスペンス 検事・霞夕子2〜無関係な死〜 »

2023年6月21日 (水)

夏樹静子『路上の奇禍』

1年の間隔をおいて福岡市内で発生した2つの過失致死事件に疑問を持った若い記者が、独自の推理を働かせて両事件の裏側の企みをあばいていく、凝りに凝ったつくりで推理ファンには楽しみな作品。


新聞記者の松尾は日課のジョギング中にある事件に遭遇する。ゴルフのスイング練習をしていた女性が、別のジョギング男性を誤って殺害してしまった。

その女性・初音によれば、被害者・宇野が急に飛び出して来たので、スイングを止められず当ててしまった。過失致死で、初音は宇野の遺族に多額の慰謝料を支払う。


数ヵ月後に松尾は新聞紙上で別の過失致死事件の記事を見かける。

川辺という男性が老人を射殺してしまった。所持する猟銃に弾が一発残されて、暴発したらしい。過失致死として終結を迎える


さらに月日が過ぎたある日、松尾は初音が経営するブティックが移転したことを知る。

そこは一等地だった。多額の慰謝料の支払いに苦しんでいた筈の初音、どこからその費用が出たのか? 疑問を抱いた松尾が調べ始めると、意外な事実が浮かび上がる。


初音は川辺が誤射した老人の孫娘だった。つまり初音は1件目の過失致死で加害者となり、2件目の過失致死で被害者側に立っていたのだ。老人の死により多額の遺産を相続していた。


宇野が慎重な性格の人物で、前を確認せずに走らないと判かる。そして宇野の妻が川辺と不倫関係にあるのも突き止める。

初音が宇野を川辺が初音の祖父を、それぞれ殺害して利益を得ていた。2件の過失致死は事故に見せかけた、交換殺人だった。


だが2件とも既に判決が出ている。一事不再理の原則により、2度と裁かれない。

割り切れない思いを抱き、松尾は宇野の妻から真相を聞き出そうとする。

だが宇野の妻はその話を聞くと、顔面蒼白になり震えだす。どうも交換殺人事態を知らなかったらしい。驚いた松尾はその場を辞去する。


その夜に、法律に詳しい友人と会食する。これまでの調査結果を明かし、相談を持ちかける。友人は笑って松尾の解釈が誤りであるのを指摘する。2件の事件が一事不再理となり、誰も罪に問えないと思っていたが間違いだった。


確かに判決が出ている以上は、初音の宇野に対する過失致死と、川辺の老人に対する過失致死は罪に問えない。だが初音の祖父への殺人罪と川辺の宇野への殺人罪は、二人の共謀が立証できれば罪に問える。

翌日に松尾はニュースで、宇野の妻が自殺未遂を起こしたと知る。おそらく松尾の口から真相を知った、宇野の妻が罪の意識に耐え切れなくなったと思われた。

ニュースによれば、近日中に警察が宇野の妻に対して事情聴取するらしい。そして真実が明らかになると松尾はよろこんだ。


【夏樹 静子】19381221 - 2016319

日本の小説家。旧姓名の五十嵐 静子名義による作品もある。 日本の女性推理小説家の草分けであり、繊細な心理描写と巧みなトリックによる『蒸発』『Wの悲劇』などの秀作により「ミステリーの女王」と称された。夫は新出光会長の出光芳秀。兄は小説家の五十嵐均。

« 十津川警部シリーズ8 伊豆海岸殺人ルート | トップページ | 夏樹静子サスペンス 検事・霞夕子2〜無関係な死〜 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2026年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック