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2023年6月12日 (月)

『共犯者』松本清張

『週刊読売』19561118日号に掲載。

1958年に大映で映画化、テレビドラマ化されている。


内堀彦介は15年間、食器具の外交員として全国を回る貧乏な生活を送っていたが、今では膨大な財産を持っている。その資金は実は、年下の漆器販売外交員・町田武治と組んで銀行強盗を働き、奪ったものであった。二度と会わない、連絡を取らないと町田と約束し合って別れたものの、内堀はかつての共犯者から脅迫されるのではないかという疑念に苛まれる。穿鑿を始めた内堀だったが、敵は思わぬ場所から出現した……


「共犯者」登場人物

・内堀彦介

・町田武治

・竹岡良一


福岡市で家具の月賦販売で知られる、堀屋の経営者「内堀彦介」、彼は15年の食器販売で全国を回っていた。そこで知り合った「町田武治」も漆器販売で全国を回っていた。

5年前に武田が銀行強盗に内堀を誘い、500万円を奪い、二人で山分けをした。もう二度と会わないで、相手を詮索しないことを両者誓い別れた。「このことは二人だけの秘密だ」

そんな250万円を開業資金にして、堀屋を始め大きくなった。囲っている妾もいる。

だが5年前のことが露見しないかと不安でたまらない。

「故郷は宇都宮」と言っていたのを思い出して、町田の居所を調べ始める。「宇都宮の漆器商」で登録されていた。

しかし疑心暗鬼に駆られる。「もし事業がうまくいってなかったら、金欲しさに脅迫される」町田の動静を探らせるために「竹岡良一」を金で雇う。福岡にいる町田は竹岡と会うことはない。

町田は事業に失敗して千葉、大阪、神戸、岡山、尾道、柳井、防府、宇部、小倉を転々としてる報告がされる。

恐れていた事が起きる、きっと福岡までやってくる。

「小倉の小屋で体をこわして寝ている」と報告を竹岡から受け取って、内堀は町田を殺しに行く。それは罠だった。

竹岡は脅迫ではなく、詮索癖で本当のことが知りたかった。内堀が5年前の銀行強盗をしたと推定するに至り、偽りの報告をし続ける。町田は宇都宮で堅実な生活を続けていた。5年前の約束を守っていたのに、内堀は墓穴を掘った、警察の取り調べもされるだろう。

「犯罪を犯した二人が固く約束をしたのに、一方だけが疑心暗鬼にかられ、自ら墓穴を掘る」疑心暗鬼にかられた男を更に追い詰める竹岡の存在意義となる。


松本清張(1909-1992)福岡県小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。1958年の『点と線』は推理小説界に社会派の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。

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