定山渓『支笏湖殺人事件』
北海道の不凍湖・支笏湖では女性、日本最大の湖・琵琶湖では男性―遠く離れた二つの湖で発見された二つの刺殺体。死体はともに、特殊な構造を持つある凶器によって、ほぼ同時刻に殺害されていた。被害者同士の接点は皆無だった。
特異な凶器の出所に注目したルポライター・浦上伸介は、緻密な推理と大胆な取材で、事件の発端となったあるイベントを割り出す。しかし支笏湖―琵琶湖間千六百キロに及ぶ長大なアリバイの壁、はるかな過去に遡る遠大な戦慄の犯罪構図が待ち受けていた。北海道の神秘的魅力を背景に、案出された究極のアリバイ・トリック。“
最初の事件は北海道の支笏湖の湖畔で発生する。原生林の中に突っ込むように停められた小型車の中で、若い女性の刺殺された死体が発見されて、死体の身元は運転免許証から、定山渓温泉出身の水戸みぐみ。凶器は刃渡り15センチ、握りの部分まで入れると25センチにもなるラシャ切り鋏が深々と刺さっていた。
小型車を貸した友人の話から、めぐみは支笏湖でまとまった金を受取ることになっていた。相手の名は横浜の会社社長の「ナガツカ・キヨハル」だという。
めぐみは売春で生活している女で、「ナガツカ・キヨハル」から受取る金も、売春がらみの恐喝と警察は考える。その長塚清治は支笏湖の事件があった時には、北海道に来ていた。大手旅行代理店の下請けで、現地の添乗員を世話する会社の経営者だった。
今回は北海道に講演旅行に来た、人気女流推理小説作家の西川靖江を添乗するためだった。この講演は毎朝日報北海道支社の企画で、彼の現在の生活拠点は横浜という事で、横浜絡みの事件として浦上伸介の登場となる。
警察は異様な凶器であるラシャ切り鋏にも注目。ラシャ切り鋏がドイツからの輸入品で、文潮社が作家を集めたパーティーで引き出物として配ったものだった。配られた先はすべて文潮社で把握されて、それ以外に日本には輸入された実績はない。この結果から不審なラシャ切り鋏の行方が調べられ、その行方不明のラシャ切り鋏の持ち主は、西川靖江だと浮上する。
支笏湖の事件と前後して、琵琶湖畔でも殺人事件が発生している。湖畔の人通りがほとんどない林の側に乗り捨て置かれた、小型車の中で杉本浅夫という男が殺されていた。この事件でも凶器はラシャ切り鋏と判明して、二つの事件が関連していく。
事件容疑書として挙がった、長塚清治と西川靖江は鉄壁なアリバイがあった。それは警察の聞き取り捜査で証明されている。こうした状況の中で、浦上信介と前野美保のコンビは、毎朝日報の谷田実憲から情報を貰いながら、現地取材で重要な手がかりを見つけていく。
二人は現地で不可解な行動を見つけ出す。作家の利用するレストランで、社長の息付けの焼肉店で、警察の捜査の盲点を突いた取材先。仕組まれた巧妙な手口が潜んでいる事が浮かんで、容疑者たちの過去に深く根ざした動機があった。
サスペンス名作選 弁護士高林鮎子17「支笏湖10時30分の女」
6月24日 土曜 12:00 -13:55 BS日テレ
【出演者】
高林鮎子…眞野あずさ
竹森慎平…橋爪功草鹿達之介…丹波哲郎
西川靖江…杜けあき
他
【スタッフ】 原作…津村秀介(「定山渓・支笏湖殺人事件」より) 監督…鷹森立一 他 【日本テレビ初回放送日】1995年10月10日
ホームページ
https://www.bs4.jp/suspense/
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