『雨に消えて・夏樹静子ミステリー短編傑作集』夏樹静子(光文社文庫)
ある朝、ルリ子を起こしにいったらベビーベッドはカラだった。窓から誰かに連れ去られたのか……。自分を責めて探し回る母親は、度々家に遊びに来る女子高校生の存在に思い至る。しかし、彼女は学校を無断欠席しており、見つかったときには――。(表題作) 愛する我が子へ、様々な思いに翻弄される母親たちの姿を描いたミステリー、光文社文庫独自編集の傑作短編集。
【収録作品】
「雨に消えて」
「陰膳」
「水子地蔵の樹影」
「火の供養」
「砂の殺意」
「ガラスの絆」
本書は親と子に関わる事件を母親から描いてる。乳児がベビーベッドから消える「雨に消えて」、乳児の正体に慄然とさせられるが、子供のいない主婦の悲哀が胸に沁みる。
砂山に埋もれて死亡した息子の事件の真相を知ろうと母親が捜索する「砂の殺意」、犯人を追い詰める母親の執念が印象的で、復讐する無意味さが描かれる昭和な出来事。
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