『神戸殺人事件』内田康夫
「赤い寺 白い犬」神戸・三宮で浅見光彦がヤクザから救った女性は、この紙片を残して、忽然と姿を消した。その夜、現場に居合わせた元船長松村が神戸港で殺され、アリバイのない浅見に嫌疑が……。
一方、芦屋の海運会社会長宅・小野田家を訪れた客2人が相次いで殺される。消えた女との接点は何か? 小野田家の孫娘亜季は、浅見光彦に救いを求めた!
プロローグとなる新神戸駅裏になる布引の滝や、源平一の谷の合戦における鵯越えのなど地域が良く描写されて期待もてる導入部となっている。しかし会話が神戸の人になっておらず、推敲の時に神戸言語に詳しいスタッフは必要だったと感じた。
取材が三泊とは短くて、港街神戸について随分と大雑把な体現のようだ。芦屋令嬢を中心とした資産家に麻薬やヤクザが三宮で絡んだりでは、折角神戸の舞台も台無しである。この辺は神戸に詳しい作家の筒井康隆さんには敵わない。と言うか実在する舞台に対するドキュメント不足だろう。シリーズ化して売れっ子作家になると、取材日程は困難だったのだろう。プロットなどの構成に頼らないで、キャラクターの生きた展開を重視する小説にするためにも、魅惑ある港街をもっと歩いて欲しかった。神戸牛より三田牛のほうが、俄然旨いことは現地人では知れたこと。地域の上辺だけを点描するより、芦屋と神戸港に絞って展開するほうがよかった。作者のなかで魅力あるキャラクターたちが生きてるので、不完全なことになってしまった。まるで浅見光彦が都内のスタジオで演じているような気分ににさせられた。
『横浜殺人事件』に比べてドラマ化されてないようなのは、原作が行き当たりばったりが映像企画にされなかった原因かと思われる。
神戸舞台なのにドラマになってないのは、実に残念なことである。
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