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2023年7月20日 (木)

第169回芥川賞、直木賞の選考発表

169回芥川賞・直木賞の選考会が719日、築地「新喜楽」にて開かれ、芥川賞は市川沙央『ハンチバック』(文學界5月号)』に決まった。

直木賞は垣根涼介『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)、永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)が選ばれた。


今回選考を務めたのは(50音順・敬称略)、芥川賞の選考委員(五十音順)は小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一。直木賞の選考委員(五十音順)は、浅田次郎、伊集院静・角田光代・京極夏彦(新任)・桐野夏生・髙村薫・林真理子・三浦しをん・宮部みゆき。


 芥川賞を受賞した市川沙央は、1979 年生まれ。早稲田大学人間科学部(通信教育課程)卒。2023 年に『ハンチバック』で第 128 回文學界新人賞を受賞しデビュー。市川は先天性の難病をもつ重度障害者で、人工呼吸器や電動車いすを使用。デビュー作『ハンチバック』で、芥川賞受賞という快挙となった。

  

平野啓一郎の講評「最初の投票から選考委員会ら圧倒的な支持を得て、最初の投票で決まりました。作品としての強さが選考委員から語られました。

本作の主人公は特殊な困難を抱えて生きています。重度の障害をもつ作者の実際の状況と作品、社会との関係が高いレベルでバランスがとられた稀有な作品として支持を集め、受賞が決まりました。否定的な評価は無かったが、解釈に関してはいろいろな意見が提示されて議論が盛り上がり、2作受賞の可能性も検討しましたが、最終的には1作のみの受賞となりました。作者が今後どのような作品を書くのか、期待する声も大きかったです」


  芥川賞の受賞会見での市川沙央「訴えたいことがあって、去年の夏に初めて書いた純文学が『ハンチバック』です。芥川賞の会見の場にお導きいただいたことを嬉しく思います。受賞は姉に真っ先にLINEしました。私にとって自信になると思います。小説を書き始めて20年の中で、芥川賞を目指してはいなかったので驚いています。会見はニコニコ動画で最近予習していましたので、感慨深いです」


  直木賞を受賞した垣根涼介は、1966 年、長崎県諫早市生まれ。筑波大学卒。2000 年「午前三時のルースター」で第 17 回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞し、デビューした。これまで、『ワイルド・ソウル』で第 6 回大藪春彦賞、第 25 回吉川英治文学新人賞、第 57 回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。『君たちに明日はない』で第 18 回山本周五郎賞受賞。『光秀の定理』で第 4 回山田風太郎賞候補。『室町無頼』で第 6 回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞、第156 回直木賞候補、第 7 回山田風太郎賞候補。『信長の原理』でも第 160 回直木賞候補となっている。


永井紗耶子は、1977 年、神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学文学部卒。2010 年『絡繰り心中』で第 11 回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。『商う狼 江戸商人杉本茂十郎』で第 40 回新田次郎文学賞、第 10 回本屋が選ぶ時代小説大賞、第 3 回細谷正充賞受賞。『女人入眼』で、第 167 回直木賞候補。今回の受賞作『木挽町のあだ討ち』は、第 36 回山本周五郎賞受賞を受賞している。


169回芥川賞 候補作
石田夏穂『我が手の太陽』(群像5月号)
市川沙央『ハンチバック』(文學界5月号)

児玉雨子『##NAME##』(文藝夏季号)
千葉雅也『エレクトリック』(新潮2月号)
乗代雄介『それは誠』(文學界6月号)

169回直木賞 候補作 冲方丁『骨灰』(KADOKAWA
垣根涼介『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)
高野和明『踏切の幽霊』(文藝春秋)
月村了衛『香港警察東京分室』(小学館)
永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)

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