内田康夫・短編集『盲目のピアニスト』
長編旅情ミステリー作家の数少ない短編集。名探偵とか登場しませんから、普通の小説のように読めてしまいます。
「盲目のピアニスト」
全盲になった輝美は落ち込んだが、ピアノを支えに生きていこうと決めた。ピアノ講師・奥野女史から、厳しいレッスンをする日々となる。演奏を聴いた奥野の甥から、コンサートの企画を相談された。
ある日そのレッスン宅の隣家で、殺人事件が起きてしまう。その帰り道に自転車にぶつかって、輝美は杖を落としてしまう。通りがかりの男性がひろってくれて、喫茶店に誘われる。そこにはピアノがあり、輝美が演奏すると喝采を浴びる。やがて店主にアルバイトでピアノ演奏を勧められる。
次のレッスンの日に訪ねると、玄関先で奥野が殺されていた。奥野の遺産相続人である甥が、コンサート資金集めをしてた為に警察に疑われる。奥野女史は全盲であったのを知り、輝美には厳しかったのは情熱を傾けていたからだという。そして全盲だと知らずに、犯行に及んだ者が誰なのか分かってきた。
「愛するあまり」
義兄の海外赴任中に、失踪した姉の遺体が富士の樹海で発見された。遺体は腐敗して、持物と歯の治療跡で断定され、自殺扱いとなった。そして姉を治療した歯科医師が殺される。巨額の保険金に姉は入っていて、義兄が保険金詐欺容疑となり、歯科医殺しで主人公の早知子は疑われる。しかしどちらも無実で捜査は難航した。義兄は会社を辞めて、農業を営むため宮崎へと引越す。様々に疑問を持った早知子が農場へ行くと、そこには死んだはずの姉がいるのであった。
「陰画の構図」
テレビ局のカメラマンが殺されて、続いてDJやキャスターの立花カオルが上司と心中する。カメラマンの手帳に残された数字が、他人に奢られたカレーライスの金額らしく、女性テレビキャスターの謎解きが開始される。
亡きカメラマンが「どこで食べてもカレーライスは美味しいので、奢っててもらうときはどんな店でもカレーライスを頼む」という人だった。奢って貰っただけ貯金していたのだった。2400円のカレーライスは一体何処で、誰に奢って貰ったのか?
どうやら何かを隠蔽するために、殺人が犯されたらしい。
「想像殺人」
精神科医の八田へ友人の原がやってくる。「どうやら殺人を犯したようだ」
警察が八田を訪れて、やはり友人の友永が殺されたことを告げる。
「酒に酔っていたのでどうやって殺したのかは覚えていないが、自分が誰かを殺したという記憶がある」と友永殺害の自首をして、五年の刑期となった。
そして出所した原がやってくる。離婚した妻が八田と再婚したのを知り、驚愕するのだった。
「濡れていた紐」
プロデューサー里見が首を吊って死んでいた。密室で自殺かとされたが、女優の江里子は殺人事件ではないかという。それなら疑われるのは私だが、自分は殺していない。この謎を解いてと依頼された作家先生だった。
この密室殺人事件の謎は解けるか?
【目次】
盲目のピアニスト
愛するあまり
陰画の構図
想像殺人
濡れていた紐
あとがき――はじめての短篇集
(平成5年7月10日初版発行)
内田康夫の短編集はKindle Unlimitedで読めます。
『盲目のピアニスト』
『軽井沢の霧の中で』
『パソコン探偵の名推理』
『死線上のアリア』
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