『初恋』西村京太郎 サスペンス 十津川刑事の肖像
『初恋』西村京太郎
湘南の夏、せつない恋から20年。
初恋相手の死の報せを受けた十津川警部
傷心の飛騨高山・連続殺人捜査行
飛騨高山の旅館の美人女将・夕子が心臓発作で急死したと聞き、十津川警部はうなだれた。二十数年前、大学のヨット部合宿で出会った夕子こそ、十津川警部の初恋の相手だったのだ。
しかしその翌日、訃報を伝えに来た弁護士が絞殺死体で発見されるや、事態は一気に仕組まれた犯罪の様相を呈する。
飛騨高山に飛んだ哀切の十津川に、さらなる驚愕の証言が。
🔳以前に書かれた湘南の旅館を舞台にした短編が、巻頭でも紹介されている。江ノ電車内から目撃されたのは、旅館2階で亭主が鉄の灰皿で頭部を撲殺してる事件だった。そして殺人を犯したのは女将の姿という。十津川が初恋の人を救済するエピソードだったが、何と母娘が弁護士を巻き込んで巧妙に仕組んだ犯罪だった。
この長編のキレが甘いのは、過去の十津川が初恋の相手に騙されて釈放してしまったことがあるように思う。作者は早まったと考えたに違いない。
西村京太郎サスペンス 十津川刑事の肖像 初恋
BSフジ2023/10/31 16:00~18:00
【あらすじ】
警視庁捜査一課刑事の十津川省三(高嶋政伸)が班長へと昇進して間もなく、不動産業を営む黒木高雄(萩野崇)が殺人未遂の被害にあった。捜査にあたるのは、十津川班長と亀井定男(古谷一行)、そして所轄から十津川班に新たに配属された西本明(小泉孝太郎)ら。その後すぐに犯人は逮捕され、亀井が取り調べをする。時同じく、弁護士を名乗る崎田守(橋本禎之)という男性が十津川を訪ねてきた。原口夕子(手塚理美)が亡くなったと聞いた十津川はぼうぜん…。夕子は十津川の初恋の相手だったのだ。夕子は湯河原で旅館の女将をしていた。
翌日その詳細を聞く約束をして別れた2人だったが、その後、繁華街で崎田の遺体が見つかった。手がかりは崎田が握りしめていた水牛のボタン。十津川と西本は、夕子の旅館がある湯河原へと向う。しかし旅館に到着すると何と夕子が姿を現した。ぼうぜんとする十津川。事情を聞くために夕子の部屋に入ると、夕子の娘・由紀(緑友利恵)の遺影が。夕子は娘は殺されたと言う。夕子そして同僚の刈谷早苗(西尾まり)、遠山淳子(大路恵美)も由紀の月命日にお参りにくるなど、みな悲しみにくれていた。
そんな中、今度は黒木が殺された。しかも崎田が握りしめていた水牛のボタンが、黒木の部屋にあった衣類のボタンと同じだった。2つの事件は関係しているのか?再び湯河原に向かう十津川だったが…。
十津川と亀井刑事は事件解決の手掛かりをつかむため夕子が女将を務めていたホテルを訪ねる。すると急死したのは娘の由紀の方で、失踪したのは夕子だということが判明。男はなぜ弁護士を騙り、しかも母娘の生死を逆に伝えたのか…。
数日後、母娘の両方に手を出していた画家が殺されて発見される。依然行方の分からない夕子は最も疑わしい容疑者の一人だ。
外房線で千葉県の各地を巡り、連続殺人事件の謎を追う十津川と亀井刑事。御宿などの風景は、30年前に十津川と夕子が海で過ごした思い出を蘇らせる。だが同時に夕子から突然別れを告げられた傷心の記憶も十津川の心に浮かぶ…。
やがて夕子と由紀を支えていた県会議員、原口家の主治医など怪しい人物が捜査線上に浮かび、十津川の上司には捜査から手を引くようある圧力がかかる。十津川は夕子の無実と無事を願いながら真実に近づいていく…。
<出演者>
十津川省三(警視庁捜査一課刑事・班長):高嶋政伸
西本明(警視庁捜査一課刑事):小泉孝太郎
平塚八重子(警視庁捜査一課管理官):山村紅葉
刈谷早苗(銀行員・預金係):西尾まり
遠山淳子(銀行員・支店長代理):大路恵美
小原良治(夕子の恋人・内科医):川野太郎
原口夕子(原口旅館・女将):手塚理美
亀井定男(警視庁捜査一課刑事):古谷一行
ほか
<スタッフ>
脚本:田子明弘
編成企画:佐藤未郷
プロデューサー:森川真行、石塚清和(FINE)
演出:福本義人
2013年制作放送
🔳人気の「十津川シリーズ」第7弾。今回は昇進した十津川省三(高嶋政伸)と亀井定男(古谷一行)の名コンビに新入り刑事・西本明(小泉孝太郎)が加わり難事件に挑む、てんこ盛りの上に長編初恋ネタがベースにされて脚色されている。慌ただしい情報量のドラマだ。
本来なら湘南旅館を舞台にした短編のほうを、ドラマにした方がすっきりしたと考えられる。