『奥田英朗クライムサスペンス 邪魔 主婦が堕ちた破滅の道』字幕放送
BSテレ東2023年10月4日(水) 12時56分~14時56分
及川恭子は会社員の夫・茂則と子ども二人と幸せに暮らす主婦。ある夜、夫が宿直中の会社で火災が発生。茂則は軽いヤケドを負っただけだったが、警察は放火事件として捜査を始める。本城署刑事・九野薫は関係者の証言などから火災の第一発見者である茂則の犯行を疑う。九野から夫に疑惑がかかっていると聞かされた恭子の心は乱れ、やがて真実から目を背けるかのように大胆な行動をとり始める。
【出演者】
及川恭子…石田ひかり
九野薫…中村獅童
及川茂則…宅間孝行
工藤和正…矢島健一
佐伯実…徳井優
花村義明…堀部圭亮
林葉将太…螢雪次朗
吉田純子…阿知波悟美
大倉一郎…小沢和義
井上貴司…田中幸太朗
【あらすじ】
会社員の夫・及川茂則(宅間孝行)と2人の子どもと暮らす主婦・恭子(石田ひかり)は、スーパーでパートをしながら平凡ながらも幸せな生活を送っていた。ところがある日、夫の勤務先のシンテクト本城支社で火災が発生して、宿直中の夫がケガをして入院した。幸いにも軽傷で、恭子はほっと胸をなで下ろした。
第1発見者の茂則の証言で、不審者による放火事件として警察が捜査をすることになった。警察はシンテクトが以前に、ある政治団体とのトラブルから、その報復行為の可能性を前提に捜査をする。
本城署刑事の九野薫(中村獅童)と井上貴司(田中幸太朗)はシンテクト社員から事情聴取するのが、当初は茂則が当直ではなかったのに、会計監査があるという理由で、経理責任者の茂則が急遽宿直になったという。
茂則本人から事情を聞くため病院に行くのだが、本人は事件関与を否定する。しかし茂則が最近新築一戸建てを購入したことや、ギャンブルにはまっているのが判明。茂則への疑いが深まる中で、妻・恭子に不審な動きが見えてくる。
【原作】奥田英朗『邪魔』(講談社文庫)
【脚本】金子ありさ
【監督】白川士
テレビ東京 2005年制作
【エンディング曲】
「はじまりのうたが聴こえる」
歌・作詞:華原朋美
作曲:小室哲哉
編曲:武部聡志
(ユニバーサルJ)
ドラマは後半まで追い詰められて、逃げ場を失ってゆく。何とも救われない話しで、ラストは唐突に終わってしまう。
小説と違って、映像作品は視覚的な落ちどころを脚色演出しなければならない。
テレビ東京としても意欲ある企画製作だと思うドラマ化だった。
『邪魔』奥田秀朗(講談社文庫)
この小さな幸せは、誰にも壊させない。
2002年版「このミステリーがすごい!」第2位
第4回大藪春彦賞受賞
及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供2人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴1年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。
その幸福は、本物ですか?
ほんの小さなきっかけから、追い詰められてゆく人たち。
平穏な日々が、暗転するーー。
ドアホンを手に取ると「警察です」という男の低い声が恭子の耳に飛び込んだ。
心臓が早鐘を打つ。ドアホンを置く手が小さく震えた。
怖がることなんか何もない。
うちは貧乏でも金持ちでもない平凡な家庭なのだ。何も起こるわけがないじゃないか。
ほんの小さなきっかけから追い詰められてゆく人たち。
どうして自分が、こんな目に。
「自分は今迄他人に運転を任せていた、これからは自分がハンドルを握っていかなければ」
(本文より)
妻を事故で亡くして以来、不眠症に悩まされている刑事・九野。スーパーのレジ係として働きながら子育て中の主婦、恭子。華やかではないが平穏な二人の日常が、ある事件を機に交錯し始めるーー。小さなほころびがいつの間にか取り返しのつかない事態へと発展する、人生のもろさ、人の危うさを描いた著者初期の傑作。
2段組454pの長編群像劇。
2001年 写真:高橋和海 装幀:鈴木成一デザイン室
奥田秀朗 おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。
著書に『最悪』『イン・ザ・プール』『マドンナ』『ガール』『サウスバウンド』『無理』『噂の女』『我が家のヒミツ』『ナオミとカナコ』『向田理髪店』『罪の轍』など。
映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。
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